Project/Area Number |
22K06287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
古本 強 龍谷大学, 農学部, 教授 (30313208)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | C4光合成 / 葉の表裏軸 / 光環境応答 / 葉内微細環境 / 代謝制御 / タンパク質リン酸化 / 維管束鞘細胞 / 葉肉細胞 / 葉緑体 / タンパク質輸送 / 遺伝子導入 / 光量変動 |
Outline of Research at the Start |
「C4植物の葉には、表側と裏側の二種類のC4回路があり、光量に応じてそれらが機能する程度が調節されている」ということを明示するために、異なる光量で栽培した植物の葉を用いて抗体組織染色法を行い、葉の表と裏とでC4光合成マーカータンパク質の変動を調査する。 光量に依存するのか、あるいは葉の位置に依存するのかを調べるために、裏面から光を照射するなど、光の照射方法を考案しつつ、C4回路誘導の条件を調査する。
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Outline of Annual Research Achievements |
個葉の光合成測定は、一枚の葉に測定装置をセットして、そのCO2吸収速度を測定することで評価することが一般的である。この場合、無意識のうちに測定対象の葉を「均一なもの」として扱っているが、実際には葉には「分厚さ」があり、それであるが故に葉の表と裏面で微細環境は異なる。この視点が生理評価に重要な意味を持ちうることはC3植物で指摘され、さらにC4植物においても適用可能なことが示されているが、既知の代謝制御機構との関係性は見出されていない。 C4光合成植物はCO2濃縮代謝を保つことから、光量に依存した光合成活性を示すが、この光量こそ葉の分厚さの中で変わってくる微細環境要素の一つである。簡単には、表面と裏面とで極端に光量は異なるので、この光量の変化と代謝調節の関係を見出すことができれば意義深い。我々はCO2濃縮代謝の初発反応を担うホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼがリン酸化によって活性制御を受けることを見出し、その反応を担うリン酸化酵素(PEPC-PK)のクローニングに成功した。さらに、フラベリアを用いた形質転換法によって、機能抑制株の作出にも成功した。この機能抑制株の光合成は、1500マイクロモルという最大光量条件下では野生株と大きな差がないことを報告している。 他の光環境条件においての調査を行うために、中程度に低い光量600-900マイクロモル範囲で光合成を評価することにした。また、光合成活性測定技術に手馴れる前に、ヨウ素デンプン反応を用いて光合成の最終産物である葉の組織内のデンプン量を可視化した。この結果、(1)デンプンは、光照射から3時間後には飽和するほどに蓄積すること、(2)表面の維管束鞘細胞の葉緑体から蓄積が見出され裏面の同細胞の蓄積は遅れること、(3)PEPK-PK機能抑制株では野生株に比べて特に裏面でのデンプン蓄積に遅れを生じること、を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
葉の表裏軸と光合成活性との関係をヨウ素デンプン反応によって可視化することに成功したことが大きな進歩である。これにより、従来の光合成活性測定技術であるCO2吸収率とは異なる視点で、光合成を評価でき、また葉の表裏軸での違いを可視化することができた。この技術を、これまで生理評価がうまくできていなかかったPEPC-PK機能抑制株に適用し、野生株と比較して特に裏面でのデンプン蓄積量に影響することを見出すことができた。こうした結果から、今後行う実験の方針もたち、中程度の光量で、かつ光量変動を起こさせたときにどういったことが起こるのか、調査したいと考えている。 このように、技術的なブレークスルーとともに、従来調べられなかった機能抑制株を評価する視点を得たことが、高評価の理由です。
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Strategy for Future Research Activity |
最大光量条件下では野生株と機能抑制株の間で各種光合成パラメーターに差はないことを報告しているが、中程度の光量で葉の表裏軸を考慮すれば、光合成パラメーターに反映される生理的意義を身言い出せる可能性が見えてきた。したがって、今後は、中程度の光量を中心に、光量変化や照射時間などを調整し、より表現方が大きくなる環境側面を洗い出すことを計画する。さらに、これらの新しい結果について、適宜、学会で報告する。
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