Project/Area Number |
22K06293
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44040:Morphology and anatomical structure-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高塚 大知 金沢大学, 生命理工学系, 助教 (70633452)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 根毛 / 液胞 / アクチン / 細胞骨格 / 核移動 / 細胞成長 |
Outline of Research at the Start |
細胞内の適切な場所へ「核」が移動することは、細胞機能の獲得・遂行に必須である。その一方で、核の不必要な動きを抑制することも重要である。植物の場合、核があらぬ方向に動くのを防ぐ役割を持つ要素の一つに、巨大オルガネラ「液胞」がある。しかし、巨大な液胞は核移動が起こる細胞にも存在するため、逆に「核が移動する際には、液胞がその妨げになるのでは?」という疑問が生じる。本研究では、細胞が巨大液胞で占められているにも関わらず、ダイナミックな核移動が起こる根毛細胞をモデルとし、植物にとって普遍的な問題となりうる「物理的障壁としての液胞」の動態を制御する仕組みの解明に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、根毛細胞の核移動現象におけるアクチンの役割の詳細な評価を行った。その結果、今まで単一の動きであると考えられてきた核の動きが、実は2つの異なる方向性をもった二段階性の動きであるという予期せぬ結果が得られた。また、二段階の核移動の駆動力が、どちらもアクチンであることを明らかにした。しかしながら、興味深いことに、一段階目と二段階目の動きを駆動するアクチンは、異なる物性を持つことが示唆されたことから、核移動の方向性ごとに、異なるアクチンネットワークを使い分ける仕組みを植物細胞は持つことが示唆された。 核移動時に起こる液胞構造の再編の実体を明らかにすべく、透過型電子顕微鏡による詳細な観察を行った。その結果、核移動開始時には、核周辺の液胞構造の矮化や、核と移動先をつなぐ領域での間隙形成といった、ダイナミックな構造再編が起こることを明らかにした。また、この液胞構造再編もまた、アクチン依存的な現象であることを突き止めた。 また、核移動現象における液胞再編の必要性を検証し、液胞の再編が迅速な核移動に必要であることを明らかにした。また、核の形態が異常になる変異体と液胞再編に異常を示す変異体を組み合わせた二重変異体では、細胞の隅に核が引っかかって停滞してしまうことを見出した。これは、液胞構造と核形態という2つの物理的要因が、核の確実な移動に必要であることが明らかになった。 これらは、いずれも今までにない未踏の概念の確立の可能性を秘めた、重要な発見であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りに研究が進展しているのみならず、核移動現象の多段階性や、核移動における核と液胞の物理的動態の重要性など、予期しなかった成果も得られており、おおむね順調に進展していると判断して差し支えないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、①二段階の核移動を担うアクチンネットワークを構築するメカニズム、②液胞構造再編を司るアクチンネットワークを構築するメカニズムの解明を目標とする。具体的には、Arp2/3複合体やミオシンなど、アクチンネットワーク形成に関与することが知られている因子群に着目した解析を行う。これら因子の機能欠損変異体において、二段階性の核移動・液胞構造再編にどのような影響が生じるかを評価する。また、遠く離れた移動先の場所の位置情報を核がどのように認識しているかを明らかにすべく、移動先に存在するタンパク質であるsmall GTPaseの役割の解明にも取り組みたいと考えている。 これらの解析を通じて、巨大液胞という物理的障壁を持つ植物細胞内で、オルガネラを始めとする構造体の動態を担保する基本原理の解明への先鞭をつけたい。
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