ピースミールマイトファジーにおける膜構造変換プロセスの3次元モデル解析
Project/Area Number |
22K06300
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44040:Morphology and anatomical structure-related
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
荒井 律子 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (10342742)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | マイトファジー / オートファジー / 電子顕微鏡 / オルガネラ膜 / 微細形態 / 3Dモデル |
Outline of Research at the Start |
『マイトファジー』とは、細胞内大規模分解系であるオートファジーを介してミトコンドリアを選択的に分解する現象である。最近、鉄欠乏もしくは低酸素ストレスのような生理学的環境変化によって、ミトコンドリア構造の一部が『隔離膜』によってかじりとられる‘ピースミール’マイトファジーが発動することが分かってきた。この新たなマイトファジーは、癌の進行、虚血性疾患、赤血球分化などに関係している可能性があるが、細胞レベルにおけるマイトファジー進行機序については、未だ知見に乏しい。この生理学的重要性および新奇性に富むオルガネラバイオロジーの謎に答えるために、関連分子の機能解析を伴う高度な微細形態学的研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
『マイトファジー』とは、細胞内大規模分解系であるオートファジーを介してミトコンドリアを選択的に分解する現象であり、ミトコンドリア機能の異常性から生体を守ろうとする重要な細胞応答機構である。近年になり、鉄欠乏もしくは低酸素ストレスのような生理学的環境変化によって、ミトコンドリア構造の一部がかじりとられる‘ピースミール’マイトファジーが誘起されることが分かってきた。この時小胞体を介して新生される『隔離膜』がミトコンドリアの標的領域を隔離するはすであるが、その膜構造変化の詳細については不明な点が多く残されていた。本研究では同マイトファジーの進行プロセスを微細形態学的な見地から明らかにすることを目的としている。本年度は、独自に改良・確立した電子顕微鏡法(隔離膜検出のための特殊固定法と電子線トモグラフィー)を用いた解析を行った。その結果、ミトコンドリアの出芽様領域を隔離膜が密着するように囲い込み、その隔離膜の伸長端と小胞体との間には細管状もしくは線状の構造が形成されていることが明らかとなった。すなわち、ミトコンドリア部分隔離の実際と隔離膜形成のための脂質変換箇所の実像を詳細な3次元モデルとして表すことに成功した。また、ピースミールマイトファジーの極めて初期の段階(ミトコンドリアの標的領域が平坦である状態)では、近傍に小胞体の集積を伴う短い隔離膜がミトコンドリア表面に密着して形成されていることが分かった。以上のことから、ピースミールマイトファジーが発動すると、小胞体を経由した隔離膜形成がミトコンドリア表面上で開始し、その後の継続的な隔離膜の密着的伸長によってミトコンドリア構造の部分隔離が進行すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、これまでに独自に改良・確立した電子顕微鏡法-隔離膜検出のための特殊固定法、電子線トモグラフィー、CLEM(光-電子相関顕微鏡法)、免疫電子顕微鏡法-の複合的応用利用を図り、哺乳類細胞ピースミールマイトファジーにおける隔離膜構築過程と機能分子の役割を3次元微細形態モデル上で同時に明らかにすることを目的としている。初年度である本年度において隔離膜検出のための特殊固定法(アルデヒド・四酸化オスミウム混合液による細胞固定および電子線トモグラフィーを用いた解析を概ね終了させた。また、マイトファジーのみならず、オートファジー全般において、小胞体膜から隔離膜成分が供給されるとした小胞体起源説に注目が集められる中、膜構造変換箇所を可視化することに成功した。本年度において生理学的重要性を有するマイトファジーおよびオートファジープロセスの研究を進展させることができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに独自に改良・確立した電子顕微鏡法-隔離膜検出のための特殊固定法、電子線トモグラフィー、CLEM(光-電子相関顕微鏡法)、免疫電子顕微鏡法-を用いて、ピースミールマイトファジーに関与すると考えられる分子(小胞体膜の脂質構成変化と新生膜構築の開始に関わると考えられる分子、隔離膜への脂質供給を担うと考えられる分子、ミトコンドリアと隔離膜の密着を保持すると考えられる分子、隔離膜のクロージングとミトコンドリア膜の分断に関与する可能性のある分子)の役割について解析を進める。具体的には、1)ピースミールマイトファジー進行過程における各機能分子の局在を微細形態上で明らかにすること、2)各機能分子を欠損した時の表現型を微細形態レベルで検証することを行う。各種電顕技術は、それぞれにメリット・デメリットを有するが、本研究では個々の手法の改善および並行・併用を伴う複合解析を実践することにより、信頼性の高い成果を得ることを想定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)