ゲノム「改編」とゲノム「安定維持」を両立可能とさせる分子メカニズム
Project/Area Number |
22K06336
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45010:Genetics-related
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
田中 誠司 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (50263314)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ゲノム安定維持 / ゲノム改変 / ゲノム維持 / DNA複製 / ゲノム改編 / Rループ |
Outline of Research at the Start |
生命体の全遺伝情報を担うゲノムDNAは、その生物の同一性を守るため、世代を超えて安定に維持されてゆく。そのため、生物は、ゲノム安定性の脅威となるようなDNA情報の変化を起こしやすい領域・配列の活性を抑制するような仕組みを持ち、ゲノム改編を防止している。一方、出芽酵母の銅耐性因子をコードするCUP1遺伝子領域のように、そのゲノム情報を積極的に改編(コピー数変化)することで、環境(高濃度銅イオン)適応能を高め、生存に貢献する領域も存在する。そこで、本領域をモデルとし、ゲノム「改編」と「安定維持」を両立させることを可能にしている分子機構の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム改変と安定維持を両立させているモデル領域とした出芽酵母CUP1領域について、そのコピー数変動メカニズムを明らかにするため、 1. CUP1コピー数増加条件下において、下記因子の欠損(生育必須遺伝子についてはhypomorph変異)が及ぼす影響を解析した。 a) DNA2本鎖切断(dsb)修復にかかわる因子;b) RNAループ解消に関わるとされるRNaseHとヘリカーゼ;c) CUP1領域内に存在する複製起点のコンセンサスであるACS配列(複製起点としての能力を喪失させると予想される変異) その結果、 1-a: 相同組換え(HR)に関わる因子の欠損では著しいコピー数増加の抑制が見られた。一方、非相同末端結合(NHEJ)に関わる因子の欠損は顕著な影響を示さなかった。また、HRに必須のRad51タンパクが存在しない条件下においてもわずかではあるがコピー数増加が見られたため、HR以外にもコピー数増加にかかわる経路があることが示唆された。SSAが関与することを予想し、解析を継続中。1-b): これらの因子が欠損あるいは変異した細胞では、コピー数増加が促進された。このことは、本研究開始時に予測したモデルが正しいことを示唆する。一方、複数存在するRNaseHにおいては、その影響が異なっていたことより、これらの因子間での役割分担が存在することが示唆された。1-c): 出芽酵母パブリックデータベースであるSGDで示された本領域内複製起点ARS810にあるACSを変異させても、コピー数増加には影響がなかった。一方、ARS810の位置については、SGDのものと異なる予測もあるため、そちらのACSを置換したところ、コピー数増加がやや抑制された。この結果を受け、本領域内の複製起点の同定を進めている。 2. その他の解析は進行中。コピー数現象を検出する系について新たに着想したため、モデル系を構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CUP1領域のコピー数増加について、 1. 関与するトランス因子群については、確定的な結果がほぼ得られた。 2. 一方、シス側の因子である複製起点について、これまでの一般的な理解とは異なる新たな特徴を持つという、全く予期しなかった興味深い結果を得つつある。 3. また、その解析実施にあたり、具体的な方法の立案も含め、大きな困難が予想されていたコピー数減少の解析について、新規な着想があり、その解析系の構築を開始できたことは、研究目的達成のための大きな一歩となったのではないかと考えている。 以上の点より、概ね順調に推移していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.領域特異的なコピー数増加モデルの証明を引き続き目指し、以下のような方向で研究を推進する。 a) Rループ解消に関わる因子の変異について、精度の高いデータの取得。b) Rループ存在を実証するためのクロマチン免疫沈降実験。c) 該当領域の複製フォーク進行方向や複製起点の同定。d) 転写が十分条件となるか否かの決定。e) dsbの直接的な検出。
2. 領域特異的なコピー数減少を理解するための研究の推進。 領域特異的なコピー数減少を検出するための系の構築(詳細は省くが、現在3通りの方法を着想しており、それらをまず全て構築した後に比較検討する)
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)