Project/Area Number |
22K06349
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
武石 明佳 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 理研白眉研究チームリーダー (30862007)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 線虫 / 高温 / 進化 / 温度 / ゲノム / エピゲノム |
Outline of Research at the Start |
温度は生き物にとって特に重要な環境因子であり、生息域や種の生存を大きく左右する。各生物種の適生温度の範囲は、生息域の環境温度に合致する。しかし、生き物が進化の過程において、どのような分子メカニズムで環境温度の変化に適応してきたのかについては不明な点が多い。本研究では、C. elegansを生存極限温度で継世代的に飼育して高温に適応した株を作製する。得られた株のゲノムやエピゲノム状態を解析し、高温適応の責任分子を同定する。実験的に進化の過程を再現することで、温度適応の過程を遺伝学、分子生物学、比較進化学的に解析することを可能とし、生き物に普遍的な温度適応メカニズムを解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
常に気候変動が生じる地球上において、温度は生き物にとって特に重要な環境因子であり、生息域や種の生存に大きな影響を与える。各生物種の至適生育温度の範囲は、生息域の環境温度に合致していることが知られる。しかしながら、進化の過程において、生き物がどのような分子メカニズムで環境温度の変化に適応してきたのかについては不明な点が多い。本研究では、C. elegansをモデル生物として、遺伝学的および分子生物学的な解析により、生き物の至適生育温度を決定する分子基盤を明らかにすることを目指す。 C. elegansの至適生育温度は12-26度(摂氏)であり、野生型を26度(高温環境)で継続飼育するとほとんどの個体が死滅する。高温環境環境で生き残った個体を複数世代に渡り高温環境で境内・飼育し続けることにより、高温耐性株を5株得ることに成功した。20度で継続飼育を続けたコントロール株と高温耐性株の全ゲノム解析を行い、高温耐性株でのみ認められる遺伝子変異を4719カ所同定した。さらにGO解析や遺伝子変異体を高温に晒す実験を行い、高温耐性を誘導する9遺伝子を同定した。現在、9遺伝子のうち、2遺伝子に着目して遺伝学的、分子学的な解析を進めており、高温耐性を誘導する組織および細胞の同定や詳細な分子メカニズムを明らかにする。 本研究で、特定の環境因子の変化によって誘導される環境適応応答(ミクロ進化)を解析することにより、生き物の進化の過程を単一分子レベルで明らかにすることが期待できる。線虫の遺伝子の多くが進化的に保存されていることから、線虫の高温適応メカニズムは、他の生物種の生育至適温度の制御機構の理解にも応用できる可能性が高く、気候変動に対する動植物の耐性予測など、医学・農学分野の発展にも貢献することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、高温耐性系統の単離および全ゲノム解析を行なった。コントロール株との遺伝子比較により、高温耐性株のみで生じた4719の遺伝子変異(内、タンパク質の機能に大きな影響を与えると推定される変異は116変異)を同定した。GO解析や、これらの遺伝子の変異体を高温飼育して高温耐性を調べる実験により、高温耐性の責任遺伝子を9遺伝子同定した。同定した責任遺伝子の一つであるoctr-1(オクトパミンレセプター)については、高温環境でoctr-1変異体が野生型と比較して長寿命であることが他研究室から示されている。そこで、顕著な高温耐性を示し、さらにこれまでに高温に対する応答に関与することが知られていない2遺伝子(高温耐性遺伝子)に着目をして、研究を進めている。 高温耐性遺伝子は、遺伝子発現解析のデータベースによると、いずれも神経細胞や筋肉細胞など広範囲で発現する。そこで、高温耐性に関与する組織を調べるために、各高温耐性遺伝子の変異体における組織・細胞特異的なレスキュー実験を計画した。現在は、神経細胞におけるレスキュー系統の作製を完了し、変異体の高温耐性が抑制されるかについて検証を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の実験を計画している。 -高温耐性の責任細胞の同定(2023年度):遺伝子発現解析データベースにおいて各高温耐性遺伝子が神経または筋肉細胞で発現することが示されている。これらの細胞においてレスキュー実験を行い、責任細胞を同定する。データベース上の発現細胞におけるレスキュー実験で変異体の高温耐性が抑制されない場合は、各高温耐性遺伝子のプロモーター:GFP系統を作製する。プロモーター:GFP系統を20度および26度で飼育して発現細胞を調べ、同定された発現細胞でレスキュー実験を行う。 -高温耐性遺伝子の機能解析(2023、2024年度):高温耐性を示す変異体の表現型を詳細に解明する。26度における個体の生存率や産卵数、卵の孵化率などを調べることにより、変異体の高温耐性の要因および高温耐性遺伝子の機能を同定する。また、高温耐性遺伝子の関与するシグナル経路を遺伝学的、分子生物学的に明らかにする。 -高温耐性メカニズムの進化保存性の検証(2024年度):同定した高温耐性遺伝子の機能が、他の線虫種や生物種で保存されているかを検証する。至適生育温度がC. elegansとは異なる線虫(沖縄に生息するC. inopinataや寄生線虫など)において遺伝子や発現パターンが保存されているかどうか、また変異体が高温環境に対してどのように応答するかを調べる。線虫以外の生物種については、データベースを用いて遺伝子の進化保存性を調べ、可能であれば変異体の高温耐性を調べる共同研究を行う。
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