異なる生殖システムから見た種分化駆動力としての性選択
Project/Area Number |
22K06383
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 一貴 東北大学, 東北アジア研究センター, 学術研究員 (20743991)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 雌雄同体 / 種分化 / 性選択 / 軟体動物 |
Outline of Research at the Start |
雌雄同体は全生物種の60%以上の分類群で見られる生殖システムである。雌雄同体生物の種分化プロセスにおいて繁殖的種内相互作用がどの程度重要な役割を果たしてきたかについてはよく判っていない。本研究では、雌雄同体である陸生巻貝類をモデル系としてこの点の解明に挑む。様々な系統の陸生巻貝を用い、行動学的・生理学的実験から交配前・交配後の繁殖的種内相互作用を、そしてDNA解析から種分化の歴史を理解する。以上より、雌雄同体生物の繁殖的種内相互作用と種分化についての理論構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
Covid-19の影響は残っていたものの適した時期に数回のフィールドワークを行うことができ、かつ数人の標本提供協力者を得られたおかげで、4つの対象陸産貝類系統の内第1・2系統の数種類について室内での実験に十分な数の個体を集めることができた。申請時までの予察的実験では扱っていない分類群について、適した飼育・観察条件を決定するのに時間を要したが、それらも含めて採集した全ての分類群を対象に行動実験を行うことができた。データ量はまだ十分とは言えないが、その結果から、第1・2系統の種類で共通して傷害をともなう交尾様式の存在が交尾ペアの形成パターンに影響を及ぼしていることが推察された。これは今まで雌雄同体生物での繁殖的種内相互作用の働き方として理論的に考えられてきたプロセスとは異なることが生じているという本研究のアイデアに沿うものである。また、本年度得られた種類に対してDNA解析も並行して行った。第2系統については適当なプライマーを選択・作成する段階に想定よりも時間を要したため、わずかなDNAデータを取得するに留まった。第1系統については続く系統解析に十分なDNAデータが得られた。第2系統のデータが不十分なため包括的な解析は行っていないが、第1系統のオオベソマイマイ属の系統解析の結果から、本属には考えられていた以上の隠蔽種が含まれている、という副産物的知見が得られた。近年絶滅してしまった種における陸産貝類の割合の高さを考慮すると、この分類学的認識の更新は保全生態学上重要であると考えられる。この成果は査読付き国際学術雑誌に公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究で用いられたプライマーが第2系統には適当ではないことが判明し、DNAデータの取得がやや遅れている。試行錯誤の結果、第2系統内の分類群ごとに適当なプライマーセットが見つかりつつあるため、2023年度内に遅れを取り戻すことは可能だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験過程から行動実験用個体の飼育条件を改良できることが判明したため、その改良を加えながら、本年度と同様に適切な時期にフィールドワーク・行動実験・DNA解析を行っていく。対象は特に第3・4系統に力を注ぐ予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)