Project/Area Number |
22K06387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
香月 雅子 東京都立大学, 理学研究科, 客員研究員 (30743116)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 構造色 / ハムシ / RNAi / RNAseq / 昆虫 |
Outline of Research at the Start |
鳥類や昆虫など多くの分類群で見られる構造色は人々を魅了し、社会でも塗料など生物工学として応用されている。しかし、構造色形成にはどの遺伝子が関わり、どのようなメカニズムによって形成され、構造色を持つことにどのような適応的な意義があるのかという生物の持つ構造色への理解については、未だにその多くの事が未解明の現状である。本研究では、構造色を持つコウチュウを主な実験対象とし、て構造色の形成メカニズムとその適応的意義の解明に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、フェモラータを中心としたコウチュウ目を対象に、1)構造色の形成メカニズムの解明、2)構造色の生態学的意義を明らかにすることを目的としている。 目的1に関しては、RNAseqによる比較トランスクリプトーム解析の結果を基に、RNAi法による操作実験を行う計画であった。また、蛹時の構造色形成過程におけるSEM(走査電子顕微鏡)による観察から、構造色と色の形成がどのように行われるのかも明らかにする予定であった。昨年度トランスクリプトーム解析から得られたDEGの中にクチクラ形成に関わる遺伝子が見られたため、この遺伝子に関わる経路に関与する遺伝子群の発現抑制を行った。結果、これまでと同様の構造色に変化が見られた別の遺伝子を発見した。さらに、コントロール個体と本年度に対象とした遺伝子のRNAi個体の構造色の反射波長を測定し、定量化と比較を行った。結果、コントロール個体は構造色が緑色を経て本来の色である赤紫の構造色を形成するのに対し、本年度対象とした遺伝子の中の一つをノックダウンした個体でも、昨年度構造色の変化が見られた個体同様、緑色で構造色が維持されることが明らかとなった。 目的2の構造色の適応的意義の検証は、構造色の色彩評価と野外・室内での行動観察によって明らかにする計画であった。野外での天敵を推定するための予備実験が終了し、さらに来年度行う構造色と野外環境温度の関係をみるための実験環境の設営も現在進めている。 これらの実験に加え、本種原産国の野生型個体で見られる構造色多型では、どのような構造色形成層に違いがあるのかを明らかにするため、博物館からの借用した古い標本を対象として、異なる構造色個体での構造色形成層を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、フェモラータを中心としたコウチュウ目を対象に、1)構造色の形成メカニズムの解明、2)構造色の生態学的意義を明らかにすることを目的としている。 これまでのトランスクリプトーム解析とRNAiによる実験結果から、構造色形成に関わることが示唆される遺伝子が複数見つかった。そしてこの構造色の形成過程を反射率の測定によって定量化することができた。また、本種のゲノム配列の決定も行うことができたため、ゲノムベースでの解析も進めている。さらに、日本に生息する本種の構造色は赤紫色の個体のみであったため、異なる構造色を持つ野生型個体との比較が困難であったが、博物館の標本サンプルを借りることができ、構造色の多型と構造色形成層との関係を調べることが可能となった。 構造色の形成メカニズム解明に関する室内実験と並行し、適応的意義の探索のため、捕食回避説を検証するための捕食者の特定に関する実験方法も確立できた。また、体温調整仮説の検証も同様に実験方法の確立も行うことができた。来年度は、実際に生息環境での実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの研究成果をまとめ、さらなる候補遺伝子に対するRNAiを行うことにより、構造色形成に関与する遺伝子の探索を行なっていく。さらに、クチクラ層のSEM観察を行い、RNAiによって構造色形成層の影響を精査していく。また、TEMによるクチクラ層のメラニン含有量の比較ができないか検討していく。 最終年度は、研究対象種が生息する県にある機関の所属となったため、構造色の適応的意義の解明を目的とし、野外での観察と実験を中心におこなっていく予定である。捕食者の特定と、捕食率の定量化、また、温度調節の機能があるかを操作実験を行い検証を進めていく予定である。
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