Project/Area Number |
22K06406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
松政 正俊 岩手医科大学, 教養教育センター, 教授 (50219474)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 東日本大震災 / 東北地方太平洋沖地震津波 / 大規模撹乱 / 回復過程 / 種内・種間関係 / 河口・沿岸域 / 水辺環境 / 東北地方太平洋沖地震 |
Outline of Research at the Start |
大津波後に河口の汽水域に比較的多く見られるようになったアカテガニと、個体群の回復が遅れている同属の普通種クロベンケイガニを主な対象とし、温暖化による地理分布の変動も考慮しつつ、大規模撹乱後の近縁種個体群の回復過程の違いや共存に、それぞれの種の生態学的特性や種内・種間関係がどのように関係するかを明らかにする。主な調査は岩手県の広田湾内の干潟・ヨシ帯で行うが、その結果は、この10年間における青森県から千葉県までの底生動物相について情報に照合・統合して検討・解釈することによって、スケール依存性を検討することが可能となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東日本太平洋沖地震・大津波後に河口の汽水域に多く見られるようになったアカテガニと、個体群の回復が遅れているクロベンケイガニの2種の半陸棲カニ類を主な対象とし、大規模撹乱後のこれらの個体群の回復過程の違いや共存に、それぞれの種の生態学的特性や種内・種間関係がどのように関係しているかを、スケール依存性や温暖化等による地理分布の変動の影響も考慮しつつ明らかにすることである。 2022年までに、岩手県内においてアカテガニとクロベンケイガニの両種が見られたのは古川沼の1地点のみ、アカテガニとアシハラガニが共に見られる地点は複数確認されており、両種の関係の変動には、共存地点へのその他の半陸棲カニ類の加入状況も影響すると予想していた。2023年には、古川沼のアカテガニ-アシハラガニ共存地点に、岩手県では2番目の記録となるヤマトオサガニ個体群の形成が確認されるとともに、古川沼に注ぐ川原川のアカテガニ-クロベンケイガニ共存地点にはアシハラガニの分布が広がった。そこで、それぞれの地点におけるヤマトオサガニおよびアシハラガニとその他の種類との種間関係を観察するとともに、安定同位体比解析用のサンプルを収集した。 個体群密度の推定と種内・種間関係に関する現場での観察は予想以上に難しかったため、当初の予定を変更して360度カメラを導入してインターバル撮影による種判別・密度推定を試み、予備的な結果を得た。また、本年度はアカテガニとアシハラガニの2種を対象とし、その行動様式(闘争や木登り行動等)の違いに関する室内での飼育観察・実験を行った。 本研究に関するアウトリートとして、岩手県立高田松原津波復興記念公園管理事務所が主催する陸棲カニ類の観察会(8月5日実施、対象は小学生とそのご家族)の講師を本研究の代表者が務め、古川沼においてアシハラガニやアカテガニの生態・行動を観察・解説した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題の初年度に、個体群密度の推定と種内・種間関係に関する現場での観察の方法を当初のもの(日中には肉眼、夜間にはビデオ撮影)から変更した方が良いと判断されたため、本年度には360度カメラを導入し、インターバル撮影による密度推定・行動観察方法を現場で検討したため。また、主な調査地において計画段階では見られなかったヤマトオサガニが、カクベンケイガニに加えて認められたため、その状況確認や影響評価手法の検討にも時間・労力を要した。対象種の行動や、種間関係等についての知見を確実に得るため、室内観察や実験を、当初の予定に加えて実施し始めたことも理由の1つである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に導入した360度カメラのインターバル撮影による密度推定および種間関係の記録等を進めるとともに、同手法を利用した野外実験・室内実験を行い、知見の蓄積を加速する。また、岩手県内における主な調査地点での観察を継続しながら、炭素・窒素安定同位体比解析用の試料を蓄積する。対象種としては、アカテガニ・クロベンケイガニ・アシハラガニに加えて、ヤマトオサガニも含め、潜在的な餌資源の解析対象も広げる。
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