Project/Area Number |
22K06407
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
別所 和博 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00792227)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 数理生物学 / 理論生物学 / 進化生態学 / 集団遺伝学 / メタ個体群 / 倍数性 / 藻類学 / 応用数学 / 配偶体 / 胞子体 / 生活環 / 世代交代 / Fst / 倍数性構造 |
Outline of Research at the Start |
haploidとdiploidの世代交代や、倍数性を示す生物など、異なるゲノム数と表現型をもつ個体が混じり合う(倍数性構造を示す)生物集団について、それが空間構造と相似であるという視点から、自然選択と遺伝的浮動がいかなる進化動態を引き起こし、それを野外で収集された遺伝・生態情報を用いていかに検証すればいいのかを数理モデルで明らかにする。さらに、異なるゲノム数をもつ個体の共存がいかにして実現され、多様な繁殖システムが進化・維持されるのかを、自然選択によるニッチ分化や遺伝的浮動に伴うクラス間の遺伝的分化などの視点から明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
個体が持つ染色体セット数で特徴づけられる倍数性(や核相)が個体群にもたらす構造を、それが空間構造と相似であるという視点から数理的に解析する研究を実施した。本年度は自身がこれまで取り組んできたhaploidと配偶体とdiploidの胞子体が世代交代する大型藻類の生態と進化について多くの成果を得た。まず、大型藻類で観察されるhaploid-diploid生活環についてこれまで取り組まれてきた研究を、主に数理的視点から総括し、そのまとめを和文論文として発表した。次に、haploid-diploid生活環を示す生物の個体群動態とその存続、配偶体と胞子体の存在比についての数理的解析を英文論文として発表した。さらに、haploid-diploid生活環を示す生物についての興味深い生物現象である配偶体からの胞子体への栄養供給の進化についての研究結果を英文論文として発表した。最後に、haploid配偶体とdiploid胞子体が入り交じる集団に対して、空間構造を定量する統計量として研究されてきたFstを定義し、その性質を調べるという研究を進め、その成果を論文雑誌に投稿した。年度末には日本生態学会第71回全国大会(2024年3月21日、横浜)にてシンポジウム「倍数性構造集団における生態・進化」を開催し、配偶体と胞子体の世代交代や倍数性に関する研究者らを招聘し、最新の情報を共有した。核相で特徴づけられる世代交代と倍数性は共に染色体セット数で特徴づけられるという意味では良く似た概念だが、厳密には異なる。今後、これらの分野における用語や概念等を整理し、二つの分野を統一的に扱える理論的なフレームワークを整備していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年度は大型藻類について多くの成果が得られた。特に、haploid-diploid生活環についての和文による総説、haploid-diploid生活環を示す生物の個体群動態についての論文、haploid-diploid生活環を示す生物の進化に関する論文の3報が出版された。さらに、haploid-diploid集団について定義されるFstに関する論文も投稿され、現在査読中である。また、倍数性に関するシンポジウムを開催し、メタ個体群(空間構造)と藻類の進化生態学について多くの進展が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、倍数性構造集団における生態と進化についての理論研究を進める。倍数性構造とのアナロジーが成立する空間構造下での生物の生態・進化についての理論は、倍数性構造を示す生物に限らず応用上重要な生物も含む、多くの生物を理解するにあたり重要な知見であり、引き続き注力する。また、核相に基づく世代交代と倍数性は強い関連性を持つが、厳密には異なる概念なので、そういった染色体セット数が変化する生命現象についての用語や概念等を整理することが、今後、これらを統一的に理解するために必要となると考えており、そこにも取り組みたい。
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