森林へのバイオチャー散布による炭素隔離効果:リター分解メカニズムの樹種間比較
Project/Area Number |
22K06408
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
友常 満利 玉川大学, 農学部, 准教授 (90765124)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関川 清広 玉川大学, 農学部, 教授 (40226642)
吉竹 晋平 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (50643649)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | バイオチャー / リター / 有機物分解 / 森林生態系 / 地球温暖化 |
Outline of Research at the Start |
革新的な地球温暖化緩和策の一つとして、有機物の炭化物であるバイオチャーを森林に散布し、生態系に炭素を隔離する技術がある。近年、バイオチャー散布が樹木の炭素吸収量も増加させ、それが土壌表層の落葉 (リター) の分解促進による栄養塩供給に起因することが明らかにされた。しかし、リターの分解速度は「リター特性」に大きく依存するため、リター供給源となる樹種によって、バイオチャー散布による分解促進効果は大きく異なる可能性がある。本研究は様々な樹種ごとに、リター特性とバイオチャー散布による分解促進の関係を定量的に評価し、またその促進メカニズムを解明するものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
革新的な地球温暖化緩和策の一つとして、有機物の炭化物であるバイオチャーを森林に散布し、生態系に炭素を隔離する技術がある。近年、バイオチャー散布が樹木の炭素吸収量も増加させ、それが土壌表層の落葉 (リター) の分解促進による栄養塩供給に起因することが明らかにされた。しかし、リターの分解速度は「リター特性」に大きく依存するため、リター供給源となる樹種によって、バイオチャー散布による分解促進効果は大きく異なる可能性がある。本研究は様々な樹種ごとに、リター特性とバイオチャー散布による分解促進の関係を定量的に評価し、またその促進メカニズムを解明するものである。 本研究は①リターの特性、②リターの分解速度、③リター層の構造の3つに分けて研究を進めている。初年度において①リターの特性に関しては、まず調査林の設定を行った。リターの特性が大きく異なると同時に今後の普及を考慮して日本に広く分布する樹種として、落葉広葉樹林(コナラ)、落葉・常緑広葉樹混交林(コナラ・シラカシ)、植林の対象となる常緑針葉樹林(スギ)、放棄が問題となっている竹林(モウソウチク)とした。各林分においては毎木調査を行い、林分構造の情報を習得した。リター特性の分析として化学組成の分析を行い、各リターの特性の違いを明らかにした。②リターの分解速度に関しては対象林に方形区を設け (1.5 m×1.5 m)、バイオチャー散布の準備を整えた。散布用のバイオチャーは各林分から有機物資材を採取し閉鎖型炭化炉を用いて作出した。またリターバック法によるリター分解速度の測定のため、各林分からリターを採取しリターバックを作成した。③リター層の構造に関しては、②の測定と同時に物理性・化学性・生物性の測定が行えるように各項目の予備測定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象とする林分は本方策の普及や調査活動の利便性を考慮し、シラカシ林からコナラ・シラカシ混交林へ変更、またヒノキ林を対象から外すこととした。散布するバイオチャーは、作出方法が確立したため、より実践的な研究結果となるように市販の炭ではなく各森林で採取された有機物資材から作出したものを使用することとした。最終的な目的とする「リター分解の林分間比較」についてはおおむね順調に進められている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度において①リターの特性に関しては、リターの性質として植物生理学的な手法を用いた葉の外部形態の分析を行う。また、これまでに得られた各林分の基礎情報を整理する。②リターの分解速度に関しては、作出したバイオチャーを散布し実験区とする。その後に、リターバックを設置する。散布したリターバックは年2回の回収を行い、残存量を明らかにする。③リター層の構造に関しては、②の測定とともに保水性や通気性などの物理性の測定を行う。化学性・生物性の測定は、②で回収したサンプルを保管し、次年度以降にまとめて分析を行う。最終的には以上の結果を統合し、バイオチャー散布によるリター分解の促進を考慮した炭素隔離技術を、より効果的かつ広域に波及させるための方策について議論する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(9 results)