様々なストレス関連疾患の原因となるストレスホルモンの分泌制御機構解明
Project/Area Number |
22K06470
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 46030:Function of nervous system-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片岡 直也 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20572423)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ストレスホルモン / ファイバーフォトメトリー / CRHニューロン / 負の情動刺激 / 視床下部背内側部 / 視床下部室傍核 / 網羅的神経回路解析 / 視床下部肺内側部腹側部 / 視床下部視床下部室傍核 |
Outline of Research at the Start |
ストレスホルモン分泌を担うCRHニューロンが存在する PVHへストレス信号を入力する神経路は様々な報告がある。さらに、様々な環境刺激によって変化する血中ストレスホルモン濃度の分泌制御を担う中枢神経メカニズムも明らかになっていない。本研究では、PVHより上位に位置する複数の神経核が複雑な神経ネットワークを形成し、相互に神経活動のバランスを制御することでストレスホルモン分泌の強弱を決定すると仮説をたてた。この仮説を検証するため神経ネットワークのバランスを捉えるマルチファイバフォトメトリを駆使し、ストレスホルモン分泌と神経伝達路の活動相関をから、ストレスホルモン分泌制御機構の全容解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ストレスホルモン分泌に関わる視床下部室傍核(PVH)には視床下部や分界条床核、扁桃体中心核などから入力を受けていることから、PVHより上位の神経核がどのような神経ネットワークを形成しているのか、どの神経路がストレスホルモン分泌に強く関与するのか明らかになっていない。そこで、神経細胞群の活動の変化と、血中ストレスホルモン分泌や頻脈、熱産生といったストレス反応の変化との連関を網羅的に捉え、ストレスホルモン分泌に関わる高次中枢神経ネットワーク機構を明らかにすることを目的とする。 本研究計画では、恐怖反応に関わる扁桃体中心核(CeA)や分界条床核(BST)がPVHへ抑制性入力を行っている可能性や、申請者の免疫組織化学実験(予備実験)から視床下部肺内側部副側部(vDMH)からCRHニューロンへ興奮性入力がある可能性を見いだしていることを踏まえ、PVHの上位では複数の神経核が協調してCRHニューロンの活動バランスを制御することで、ストレスレベルの違いに応じたストレスホルモン分泌の出力トーンを決定していると仮説をたてた。この仮説を検証するため、光遺伝学を用いたvDMH―PVH経路の機能の証明と、PVH(CRHニューロン)の上位の脳領域からの入力パターン変化が血中ストレスホルモン分泌量や体温、血圧脈拍などのパラメーターに与える効果をマルチファイバフォトメトリとin vivo 小型顕微鏡を駆使したCa2+イメージングと体温、脈拍、血圧を計測するテレメトリーシステム、カテーテル採血法を組み合わせて明らかにする。 2023年度は様々な情動刺激を与えた際のマルチファイバフォトメトリ計測と、miniscope を用いた視床下部神経細胞イメージングの条件検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、vDMH―PVH 神経路選択的にTeTxLC を発現させ、vDMHからPVHへ情報伝達物質の放出を人為的に抑制する動物を作製し、この動物に社会的敗北ストレスを与え、ストレス前、ストレス後に採血を行う予定であった。当初はアニマルランセットを用いて顎骨後ろに位置する静脈から採血を行う予定であったが、出血が酷く止血が困難となった動物が死亡する問題があった。そこで、採血方法を大腿静脈へカテーテルを挿入し、カテーテルの末梢側にはPin-port と呼ばれる間便に採血や薬物投与が行えるポートを設置することで、実験動物に触れること無く採血を行う方法を検討した。ラットでは大腿静脈へ挿入したカテーテルから採血や薬物投与が行えていたが、マウスでは大腿部の手術が非常に困難であり、カテーテルからの採血を行う事が出来なかった。そこで、改めて採血方法をアニマルランセットに戻すこととした。その結果、vDMH―PVH 神経路選択的にTeTxLC を発現させたマウスからストレス前、ストレス後の血液サンプルを回収することに成功した。現在、血液サンプルの解析を行っている。 本研究では、vDMHやCeA, BST の活動変化がCRHニューロンの神経活動とストレスホルモン分泌に与える影響を細胞レベルで詳細な解析を行うため、小型顕微鏡を用いたCRHニューロン観察技術が必要となる。そこで、視床下部神経細胞へAAVを用いてGCaMP6 を発現させるウイルスを注入し、その直上へGRINレンズを留置した動物を用意した。GRINレンズの直径は500 um と1000 um の2種類が市販されているが、太いGIRNレンズは侵襲性が高いため、本研究で脳深部の視床下部を観察する場合は直径500 um のGRINレンズを採用した。現在、これらの動物を用いてCa2+イメージングの条件検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は視床下部室傍核(PVH)とvDMH, CeA, BST のそれぞれがどのような接続関係にあるのか検討するため、Creを発現させる逆行性感染AAVをPVHへ注入し、vDMH, CeA, BST, PVHへCre依存的にGCaMP6sを発現する順行性AAVを注入した後、これらの脳領域へファイバカニューラを留置する。この動物へ心理ストレスを与えた際の神経活動をマルチファイバーフォトメトリーのセットアップを用いて行う。心理ストレスの種類によって神経活動に変化があるのか確認するため、社会的敗北ストレスの他に、拘束ストレスやフットショック刺激を与えた際の神経活動を捉える。同時記録した脳領域間の活動変化や血中ストレスホルモン濃度、体温、脈拍などの変化の時系列データから、各神経細胞群の機能的寄与を算出するため相互相関係数(r)を基に、異なるストレス暴露によるPVHへの各神経入力のストレスホルモン分泌制御への寄与を明らかにする。 さらに、昨年度検討を開始したminiscope を用いた視床下部神経細胞のCa2+イメージングを行う為の条件検討を行う。GCaMP6 が発現している神経細胞が多い場合は、カメラで1細胞ごとの観察が困難になるため、カメラ上で数個のGCaMP6 発現神経細胞が観察できるようにAAVの力価を調整する。さらに、miniscope 側の撮影条件の検討については、昨年度Web上に公開されているminiscope のソフトウェアを用いてイメージングを行ったものの、GCaMP が発現した神経細胞の解像度が非常に悪く、カメラで捕らえられた神経細胞の数も少ない事が明らかとなった。この問題を解決するため、上記のAAVの力価の調整と併せて、ウイルス注入部位とGRINレンズ先端部分の位置の調整を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)