Project/Area Number |
22K06492
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 46030:Function of nervous system-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大石 康博 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (20838198)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 知覚 / 反響回路 / 刺激検出課題 / 光遺伝学 / 行動課題 |
Outline of Research at the Start |
以下の三つの課題に取り組む。(1)反響入力に関わる神経活動の同定。知覚過程で反響入力に関わる神経活動を明らかにするために、反響入力の抑制により減衰する神経活動の成分 を同定する。 (2)ボトムアップ入力とトップダウン入力の活動の因果関係の検証 反響入力を構成する入力の因果関係を二光子イメージング法で直接的に検証する。 (3)反響入力と樹状突起活動の因果関係の検証。トップダウン入力の光抑制により、樹状突起の神経活動が減衰する可能性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
私たちは日々、五感が外界の真実をありのままに伝えてくれていると信じて暮らしています。しかし実際はそうではなく、蚊があなたの脚に止まり針を刺した時、気づいて追い払うこともあれば、気づかずに後の痒みに悩まされた経験もあるはずです。脳はどのように刺激に気づく(知覚する)のでしょうか?この問題は、知覚・意識研究の最も根本的な課題とされてきました。近年の知覚の研究から、脳内の『感覚野→前頭皮質→感覚野』の情報の流れ(反響入力)が知覚に関与すると考えられています。しかし、ヒト被験者で非侵襲的に得られる情報は限られていました。この仮説を検証するために、申請者は知覚を研究するためのマウスの行動モデルを立ち上げました。本課題のこれまでの取り組みにより、マウスの触知覚には「一次感覚野(S1)→二次運動野(M2)→S1」の反響入力が関与することが明らかになりました。そこで、本年度は知覚過程の反響入力の動態と機能の検証に取り組んでいます。そのためには、知覚課題中のマウスから、神経活動を記録して知覚と相関した神経活動を同定し、その神経活動を操作してその因果関係を検証する必要があります。まず、従来の知覚課題では、知覚と運動の神経活動を区別できなかったために、知覚過程と知覚応答(運動)の間に遅延時間を設けた(Delay)課題を確立しました。その上で、知覚課題中のマウスから電気生理学的手法、二光子カルシウムイメージングを用いて神経活動を記録する手法、さらに神経活動の記録中に反響入力を操作する手法の確立を行ないました。それぞれの条件検討は順調に進行しており、それらを組み合わせた実験に取り組み、知覚に因果関係のある神経活動の解明に取り組んでいます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遅延時間のある刺激検出課題は、遅延のない課題と比較するとマウスの行動の統制が難しいため、トレーニング方法を新たに検討しました。その結果、遅延のない課題同様にマウスに知覚を報告させることができました。基準としては、マウスの十分な刺激を与えられた場合には、1秒以上の遅延後に90%以上の確率で刺激あり(飲水行動)で知覚を報告させることができます。次に、知覚課題中のマウスから電気生理学的な手法で神経活動を記録し、さらに反響入力を操作しました。現在は反響入力のうち、復路のフィードバック入力を抑制した際にどのような神経活動の変化がS1に生じるのか?を知覚応答の頻度(行動の成績)と合わせて検証しています。また、知覚課題中のマウスから二光子カルシウムイメージングにより神経活動を記録する手法を確立しています。二光子カルシウムイメージングでは、反響入力を構成する軸索、入力の受け取り口である樹状突起の活動を計測することが可能です。これらの神経構造は微小であるために観察が難しかったのですが、二光子顕微鏡の検出器、カルシウムインジケーター(GCaMP)の検討により解決できました。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の前半では、マウスの行動課題と光遺伝学を組み合わせて、知覚と反響入力の因果関係を明らかにできました。そこで現在は、その神経メカニズムを電気生理学および二光子顕微鏡法を用いて解明することに取り組んでいます。新しい系の確立には時間を要していますが、各要素は確立に成功しており、今後はそれらを組み合わせた研究に集中して従事することができます。
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