Project/Area Number |
22K06496
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47010:Pharmaceutical chemistry and drug development sciences-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原田 真至 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (10451759)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | セリウム / 触媒反応 / ドミノ反応 / Nazarov環化 / ヘテロ原子 / ハロゲン / 一電子酸化 / 合成化学 / ランタノイド / 多機能触媒 / 複数反応促進 / 環状骨格 |
Outline of Research at the Start |
低分子生物活性化合物の多くが環構造を持ち、活性発現のために官能基を持つ。そのため環構築反応の開発と官能基導入法の開発は有機合成化学上の意義にとどまらず、医薬科学への貢献にもつながる研究対象である。しかし、それら2つの反応は独立した反応として行うことが通例である。我々の研究グループでは、ランタノイドのルイス酸性と多配位性を活かした触媒開発に継続的に取り組んできた。そこに、ランタノイドの酸化・還元能を組み合わせることで複数の反応を連続的に進行させる触媒開発ができると考えた。ランタノイドの特性をさらに引き出すことで環を構築しつつ官能基導入も同時に実現する新たな化学合成プロセス開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
生物活性物質の化学合成には、分子の背骨と形容される炭素骨格の構築プロセスと、分子が機能を発揮するために必要な官能基を導入するための酸化/還元プロセスなどの多段階の工程が必要である。そのため、その高効率的かつ持続可能な方法論開発は重要な研究課題として位置付けられる。本プロジェクトでは、これまで独立して開発が行われてくることが多かった炭素骨格構築と官能基導入の2つの反応を、毒性の低い1つの触媒で連続的に達成する触媒反応開発を目的としている。本研究課題の達成によって、医薬分子合成プロセスの廃棄物の低減や反応操作の簡便化につながることが期待される。 前年度までにセリウム塩触媒が目的反応を促進することを見出していたため、市販されていないセリウム塩合成などによって更なる触媒検討を行った。その結果、Nazarov環化と水酸基導入が連続的に進行する反応系の確立に成功した。基質一般性の検討から、種々の置換基・官能基の共存下においても連続反応が問題なく進行することを確認している。また、水酸基以外のヘテロ官能基導入の検討にも着手し、塩素や臭素などのハロゲンの導入に成功している。セリウムを含むランタノイド金属は多くの配位子を許容できる性質があるため、ヘテロ原子を含む求核的反応剤の共存下でも触媒活性が失活しなかったと考えられ、本研究でセリウムに着目した妥当性が改めて示された結果だと考えている。一方で、引き続き検討を要する点として、連続反応のジアステレオ選択性の改善と、ハロゲン導入反応の化学選択性の改善がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに、セリウム塩を用いることでNazarov環化と酸化的官能基化(水酸基導入)が進行することを見出していた。その知見を元に、まずはセリウム塩をさらに検討した。現在までの検討範囲では、トリフリックイミド塩を最適触媒として選択している。基質一般性の確認も行い、種々の置換基・官能基の共存下でも連続反応が進行することを確かめた。一方で、ジアステレオ選択性が低い問題は依然として解決できておらず、基質一般性検討においても多くの基質で選択性は低かった。 酸化的官能基化で導入する官能基について、前年度までは水酸基(OH)をもっぱら検討してきたが、その他のヘテロ官能基の導入について検討を始めた。活性メチン部位のヘテロ官能基化には、電気的に陽性な試薬(求電子的試薬)を利用することが一般的である。しかし、炭素よりも電気陰性度の高いヘテロ原子を導入する場合には試薬の不安定性やコストの問題があり、実用面での課題となる。本研究で開発を進めている方法論では、電気的に陰性な試薬(求核的試薬)を用いることが可能であり、適用可能な試薬選択の幅が広がり、実験操作が簡便になり、また低コストになることが期待できる。一方で、試薬として用いる金属塩は電気的に陽性な性質を持つため、求核的試薬と反応して失活してしまうリスクも懸念された。検討の結果として、現在までに、塩素(Cl)と臭素(Br)の導入に成功している。これは、セリウムを含むランタノイド金属が多くの配位子を許容できる性質があるため、ヘテロ原子を含む求核剤の存在下でも触媒活性が失活しにくかったためだと考察している。一方で、反応系中に共存する水が反応した水酸基導入体も無視できない量として副生してしまっていることは課題点として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
Nazarov環化/水酸基導入の連続反応に対して、ジアステレオ選択性を改善する条件を見つけることを最優先で進める。低温での反応を試行してみることに加えて、以下の条件も検討する。光照射:予備的な知見として450nmを最大波長とする青色LEDを照射するとジアステレオ選択性が有意に向上することを見出している。配位子の添加:触媒中心周辺の環境を変化させることでジアステレオ選択性の向上を目指す。 Nazarov環化以外の炭素環形成反応の検討を始める。Nazarov環化は5員環形成反応であるため、6員環や7員環などを目標設定する。 酸化的官能基導入について、アジド(N3)やシアノ(CN)の導入を検討する。また、既に成功しているハロゲン導入については、収率の向上と化学選択性の向上を目指す。副反応として問題となっている水の付加については、反応系中に脱水剤を共存させることで抑制することを検討する。 さらに、不斉反応に展開すべく、不斉配位子の添加も積極的に検討していく。
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