sPLA2の足場としての細胞外小胞とその生理的意義の解明
Project/Area Number |
22K06577
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三木 寿美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (00632499)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 脂質 / ホスホリパーゼA2 / 細胞外小胞 / エクソソーム / miRNA / がん / マクロファージ / 脂質メディエーター |
Outline of Research at the Start |
エクソソームなどの細胞外小胞(EV)は、生体膜の主な構成成分であるリン脂質からなる膜構造中にタンパク質やマイクロRNAを含有しており、それらを他の細胞に運搬することで様々な生命応答に関わるとされ、がんではEVを介した細胞間相互作用によってがん細胞の増殖や転移が制御されている。分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2)はリン脂質を分解する細胞外酵素であり、脂質メディエーターを動員してがんを制御するが、sPLA2が細胞外のどのようなリン脂質膜に作用するかは未解明だった。本研究ではsPLA2によるEVの膜修飾のがん病態における生理的意義を解明し、EV修飾因子としてのsPLA2の新しい概念の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞外小胞(Extracellular vesicles; EV)は、タンパク質やmiRNAを内包するリン脂質二重膜からなる構造体で、がん細胞から周辺あるいは遠隔の細胞へと輸送されることでがんの増殖や転移に有利な組織微小環境をもたらすことが知られているが、EVの脂質成分の影響については長らく不明であった。申請者はこれまで、生体膜リン脂質を加水分解する分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2)が生理活性脂質 (脂質メディエーター)を動員してがんの制御に関わることを報告してきており、最近sPLA2によるEV膜リン脂質の分解ががん細胞から分泌されるEVの性質を変えてがん病態の制御に関わるという予備知見を得た。本研究では、脂質メディエーターの供給源および運搬装置としてのEVの新たな機能に着目し、EV修飾因子としてのsPLA2の概念の確立を目指す。 本年度は、sPLA2-Xとリンパ腫由来のEVによるレシピエント細胞(マクロファージ)の制御するメカニズムとして、以下のことを見出した。 (1) リンパ腫由来EVをsPLA2-Xで処理した際に産生される主な脂質メディエーター(LPA、RvD2)をsPLA2未処理のEVに補充してマクロファージに作用させると、IL-10などのサイトカイン発現が亢進し、腫瘍随伴マクロファージ様の機能が増強した。 (2) 各脂質メディエーターの受容体阻害剤をマクロファージに作用させ、sPLA2処理したEVの作用を検討した結果、EVによるIL-10産生促進作用がLPA受容体阻害剤の濃度依存的に抑制された。一方、RvD2受容体阻害剤ではその効果は見られなかった。 これらの結果から、EV上で産生された脂質メディエーターは、①EVを運搬体としてレシピエント細胞に効率よく伝達されること、および、②レシピエント細胞上の受容体を介したシグナル伝達に部分的に関与することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は大きく2つのテーマ、すなわち「EV脂質のsPLA2による分解」および「sPLA2によりEVから産生された脂質メディエーターの機能解析」について研究を進める計画となっている。2つのテーマの内、前者についてはまだ準備段階となっておりやや遅れている状況ではあるが、後者については前述の通り一定の成果を上げることが出来たことを踏まえると、全体としてはおおむね順調に進展していると判断できる。 遅れている側のテーマは、前出のリンパ腫におけるsPLA2-Xの作用に加えて、皮膚がんにおけるsPLA2-IID/-IIFおよび大腸がんにおけるsPLA2-IIIなど、sPLA2の寄与が想定される様々ながんからEVを回収し、当該sPLA2とin vitroで反応させた時の脂質の変動(基質としてのリン脂質の減少と産物としての脂肪酸およびリゾリン脂質の増加)をリピドミクスにより網羅的に分析することを主題としている。この解析には様々ながん細胞種を準備することが重要であり、進捗がやや遅れている原因はその準備が十分に進まなかったことが1つの要因であると思われる。解析に必要な設備や試薬は既に用意が出来ているため、上記問題点を解消すれば進捗状況は全体的により早く進められると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の項目を重点的に推進する。 [1] 起源の異なるEVに対する各種sPLA2の作用を体系化するとともに、異なるEVで共通して見られる脂質あるいは疾患別のEVの個性を特徴づける脂質を同定する。さらに、sPLA2により遊離された脂肪酸やリゾリン脂質がその場で脂質メディエーターに変換されることがEVの起源に寄らず普遍的であることを証明する。 [2] リゾリン脂質などの脂質メディエーターを人為的に補充したsPLA2未処理のEVがsPLA2処理したEVと同様の形態変化を示すかについて、クライオ電顕や粒度測定計を用いて検討する。 [3] sPLA2-X以外のsPLA2の処理でもEVが小型化・凝集して内包物の輸送効率が変化する可能性について、sPLA2処理前/後のEVとレシピエント細胞におけるmiRNAの標的遺伝子発現の定量PCRを行うことで、レシピエント細胞へのEVの取り込み効率の変化や標的遺伝子の発現への影響を調べる。
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Report
(1 results)
Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Hepatic phosphatidylcholine catabolism driven by PNPLA7 and PNPLA8 supplies endogenous choline to replenish the methionine cycle with methyl groups2023
Author(s)
Hirabayashi T, Kawaguchi M, Harada S, Mouri M, Takamiya R, Miki Y, Sato H, Taketomi Y, Yokoyama K, Kobayashi T, Tokuoka SM, Kita Y, Yoda E, Hara S, Mikami K, Nishito Y, Kikuchi N, Nakata R, Kaneko M, Kiyonari H, Kasahara K, Aiba T, Ikeda K, Soga T, Kurano M, Yatomi Y, Murakami M
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Journal Title
Cell Rep
Volume: 42
Issue: 2
Pages: 111940-111940
DOI
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Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Lipid profiling reveals the presence of unique lipid mediators in human milk from healthy and mastitic subjects2022
Author(s)
Yuki Nagasaki, Erika Kawai, Saya Marukoka, Miho Osumi, Izumi Tsukayama, Yuka Okazaki, Yoshimi Miki, Kei Yamamoto, Makoto Murakami, Toshiko Suzuki-Yamamoto
Organizer
17th International Conference on Bioactive Lipids in Cancer, Inflammation and Related Diseases 2022
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[Presentation] PLAAT1 Deficiency Alleviates High Fat Diet-Induced Hepatic Lipid Accumulation in Mice2022
Author(s)
S.M. Khaledur Rahman, Toru Uyama, Zahir Hussain, Mohammad Mamun Sikder, Hiroyuki Saiga, Kenichi Ota, Katsuaki Hoshino, Masaki Ueno, Yoshimi Miki, Makoto Murakami, Natsuo Ueda
Organizer
第68回日本生化学会中国・四国支部例会
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