Project/Area Number |
22K06605
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
板野 直樹 京都産業大学, 生命科学部, 教授 (40257712)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | がん幹細胞 / 糖代謝 / ストレス応答 / ストレス耐性 / がん |
Outline of Research at the Start |
がん細胞は、その高い増殖性や栄養要求性のため、グルコース飢餓等の栄養飢餓状態にあり、慢性的な代謝ストレスに曝されている。このとき致死的でない低容量代謝ストレスへの持続的な曝露により、がん細胞集団がストレスに対して適応能力を高めていると考えられる。しかし、持続的な低容量代謝負荷が、がん細胞集団のストレス耐性を強化する分子機構は依然として未解明である。本研究では、がん細胞における低容量の糖代謝負荷が、抗がん剤耐性がん細胞の出現に及ぼす影響について検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
治療抵抗性(ストレス耐性)がん幹細胞の出現機構を解明し、その対策を講じることが、今日における対がん戦略の要である。代表者らはこれまでに、糖鎖の発現とがん進展との関連について研究を展開し、ヒアルロン酸多糖の産生によって生じる細胞内糖代謝への慢性的負荷が、抗がん剤耐性がん幹細胞の出現に深く関わっていることを明らかにしてきた。昨年度は、低用量のツニカマイシン(TM)で対照乳がん細胞を長期間処理してN-型糖鎖修飾を部分的に阻害したところ、ヒアルロン酸過剰産生と同様に、がん幹細胞様細胞が増加することを明らかにした。ヒアルロン酸は、細胞外マトリックスを構成する主要な高分子多糖であり、細胞内糖ヌクレオチドであるUDP-N-アセチルグルコサミンとUDP-グルクロン酸を基質としてヒアルロン酸合成酵素により生合成される。従って、ヒアルロン酸の過剰産生による糖ヌクレオチドの消費は、細胞内糖代謝に負荷をかけることで、タンパク質のN-型糖鎖修飾に影響を及ぼすと考えられた。そこで本年度は、乳がん病態モデルマウスより樹立した初代乳がん細胞とヒアルロン酸過剰産生乳がん細胞、さらには低用量TMで処理した乳がん細胞を用いて、N-型糖鎖前駆体のドリコール結合オリゴ糖のHPLC分析を行った。その結果、ヒアルロン酸過剰産生及びTM処理乳がん細胞では、成熟型ドリコール結合オリゴ糖の量が有意に減少し、糖鎖修飾が部分的に阻害されていることが明らかとなった。さらに、MALDI-TOF-MS質量分析装置を用いたグライコミクス解析により、糖鎖の包括的プロファイリングを実施し、ヒアルロン酸過剰産生細胞と低用量TM処理細胞に特徴的なN-型糖鎖のパターンを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度に予定していた研究項目「低容量糖代謝負荷に特徴的なバイオマーカーの探索」については、研究実績の概要で述べているように、当初計画に沿ってHPLC解析を実施し、ヒアルロン酸過剰産生及びTM処理乳がん細胞において、成熟型ドリコール結合オリゴ糖の量が有意に減少し、糖鎖修飾が部分的に阻害されていることを明らかにした。また、グライコミクス解析を実施し、ヒアルロン酸過剰産生及び低用量TM処理乳がん細胞に特徴的なN-型糖鎖のパターンを明らかにした。以上の理由で、研究は概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は当初の計画通り、研究項目「低容量代謝負荷により作動する生存シグナル・ストレス防御機構の解明」を進める。具体的には、低用量TM処理乳がん細胞からmRNAを単離し、cDNAの合成とライブラリーの作製後、次世代シーケンサーによるRNA-seq解析を実施する。発現変動遺伝子については、クラスター解析による分類を行い、パスウェイ解析によりパスウェイマップ上での各遺伝子の変動を捉える。これら網羅的解析により、低容量糖代謝負荷に共通して作動する生体シグナル伝達経路を明らかにする。
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