アルツハイマー病脳血管障害が神経機能を悪化させる作用機序の解明
Project/Area Number |
22K06643
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe |
Principal Investigator |
笹原 智也 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員(上席・主任研究員クラス) (30735345)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 血管内皮 / 血管機能障害 / アミロイドβ / アミロスフェロイド / β-セクレターゼ / δ-セクレターゼ / 脳血管アミロイド血症 / アルツハイマー病 / Neuro-vascular Unit |
Outline of Research at the Start |
アミロイドβ蛋白質は脳微小血管の機能障害を介してアルツハイマー病(Alzheimer's disease,AD)を増悪する。アミロイドβ蛋白質による血管機能障害は数多く報告されているが、惹起された血管機能障害によるAD増悪の作用機序は未だ明らかにされていない。 血管内皮細胞の障害がAD増悪に関与することから、本研究では脳微小血管内皮細胞と神経細胞を共培養系した評価系を用いて脳微小血管の内皮障害がどの様な作用機序でADの増悪をもたらすかを解明する。さらには解明した作用機序の阻害がADに対し有効な治療効果を示すかを検証する。これら一連の研究を通して血管機能障害によるADの増悪機序を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
脳血管機能障害はアルツハイマー病(AD)を増悪するが、その詳細な作用機序は未だ解明されていない。これまでに、我々は毒性が高いアミロイドβ(Aβ)オリゴマーのアミロスフェロイド(ASPD)により血管機能障害が惹起されることを見いだし、その血管障害に伴うAD増悪機序を解明するために脳微小血管内皮細胞と脳周皮細胞、大脳皮質神経細胞を用いて脳微小環境を模倣する新規共培養評価システムを構築している。また、本システムを用いた解析によりASPDが血管内皮細胞と脳周皮細胞それぞれの機能障害を介して、神経細胞でβ-セクレターゼ増加およびδ-セクレターゼ活性化を誘導すること、また阻害薬を用いた検証により内皮細胞と神経細胞を仲介するメディエーター候補としてアンジオテンシンII(Ang II)を発見している。これ以降の2022年度の研究成果について以下に纏める。 β-およびδ-セクレターゼはAβ前駆体からのAβ産生に関わることから、ASPDの血管障害により誘導されるβ-セクレターゼの増加およびδ-セクレターゼの活性化は、AD原因物質の一つであるAβの産生を加速することを示唆している。ELISAを用いた評価により、ASPDによる血管内皮および周皮細胞それぞれの細胞機能障害により神経細胞内のAβ蓄積量が増加することを見いだした。 次に血管内皮細胞から遊離し、神経細胞に作用するメディエーター候補Ang IIについてELISAを用いて検証をさらに進め、ASPD刺激に応じて血管内皮細胞のからAng IIが遊離すること、加えてAng IIや類似アナログで神経細胞を刺激することでβ-セクレターゼ量が増加することを確認した。 以上本年度の研究では、血管障害によりAD増悪に関わるAβの産生が増加すること、さらには血管内皮細胞と神経細胞を仲介するメディエーターを特定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したとおり、予定していた2022年度の実験計画を達成することができた。また、次年の2023年度実施予定であった「分子機序の解明」についても部分的に着手し、予備的な結果を得ることができている。本年度解明予定だった血管周皮細胞から遊離するメディエーターについては、未だ特定できておらず、来年度も引き続き探索を進める。以上の進捗状況を踏まえ、2022年度の研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究では、本年度の研究に続き「周皮細胞由来メディエーターの特定」と「メディエーターが神経細胞に作用した後、アルツハイマー病(AD)マーカーを増悪する作用機序の解明」、「最終年度実施予定の動物試験に先立った、モデルマウスでのADマーカー増悪の確認」を進める。詳細を以下に記載する。 本年度達成できなかった「周皮細胞由来メディエーターの特定」を引き続き進める。探索方法として、各種阻害薬やELISAキット、LC-MSなどを用いて特定を進める。発見できたメディエーター候補については、神経細胞に処置することでδ-セクレターゼが活性化するかを検証する。 「メディエーターが神経細胞に作用した後、ADマーカーを増悪する作用機序」の解明については、各種阻害薬や蛍光指示薬を用いた薬理学的解析手法により細胞内分子機構の解明を進める。 脳血管障害はADの増悪因子である。従って、血管メディエーターの特定とそれに関連するメカニズムを解明することができれば、新規AD治療薬の提案にまで研究を発展させることが期待できる。研究の最終目標として、本研究の解析にて得られたメディエーターの作用機序を抑制することにより、AD症状を抑制できるかをADモデルマウスにて検証する予定である。それに先立ち、使用予定のADモデルマウスと得られた研究成果を照らし合わせ、ASPDが沈着した脳血管周囲の神経細胞内でβ-セクレターゼ量や活性化δセクレターゼ量、Aβ量が増加しているかなどを検証し、動物試験のモデルとして適当かを判断する。 以上の本研究を通して、血管機能障害がメディエーターを介してADを増悪する作用機序の解明とそれに基づく新規治療ターゲットの提案に繋げる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)