黄色ブドウ球菌免疫回避タンパク質SSL11によるマスト細胞の機能制御機構の解明
Project/Area Number |
22K06686
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47050:Environmental and natural pharmaceutical resources-related
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
奥 輝明 星薬科大学, 薬学部, 講師 (20409361)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | マスト細胞 / アレルギー / Coronin-1 / SSL11 / 黄色ブドウ球菌 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、黄色ブドウ球菌の産生するStaphylococcal super-antigen-like protein 11 (SSL11) と宿主タンパク質Coronin-1に注目し、マスト細胞の機能制御機構を解析し、新規のアレルギー応答制御法を提案する。 このような菌体由来の免疫制御物質の分子機能解析は進んでおらず、学術的な機能解明のみならず、将来的な医薬品応用やバイオリソースとしての有用性を考案しながら解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、黄色ブドウ球菌が産生する免疫回避決定因子の一つであるStaphylococcus superantigen-like protein 11(SSL11)やマスト細胞に発現するアクチン結合タンパク質Coronin-1に焦点を当て、アレルギー応答におけるマスト細胞の機能制御機構の解明を目指している。これまでの研究により、①SSL11はマスト細胞(マウス骨髄由来マスト細胞:BMMCおよびRBL-2H3)に結合し、抗原抗体複合体依存的な脱顆粒反応を抑制すること、②抗原抗体複合体刺激されたBMMCやRBL-2H3では、Coronin-1の412番目のセリン残基(Ser412)が一過性にリン酸化されること、③Ser412のリン酸化はPKCαによって制御されていることを明らかにしている。 2022年度の研究結果より、マスト細胞へのSSL11の前処理は、Coronin-1のSer412のリン酸化に影響を及ぼすことが示された。また、同処理はMAPキナーゼであるJNKのリン酸化を抑制していることが明らかになり、SSL11はこれらの現象を介してマスト細胞の機能に影響を与えている可能性が示された。さらに、Coronin-1のSer412のリン酸化が、マスト細胞の機能に与える直接的な影響を調べるために、CRISPR/Cas9により、Ser412をアラニン残基またはアスパラギン酸残基へと変異させた遺伝子改変マウスの作製を行った。現在、遺伝的背景を揃えるために戻し交配を行っている。また、BMMCに発現するSSL11のターゲット分子を特定し、RNA干渉法により、その発現を減弱させたRBL-2H3株を樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Coronin-1ノックアウトマウスより調製したBMMCへのレンチウイルスベクターを利用した遺伝子導入により、Coronin-1リン酸化部位の変異体を発現した細胞の作製に取り掛かった。しかしながら、タンパク質発現量が細胞機能に影響を与えるため、評価が困難であると判断し、遺伝子改変動物の作製を優先した。 SSL11の標的分子欠失細胞の作製など、おおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立したSSL11標的分子欠失マスト細胞の機能解析を行い、マスト細胞応答におけるSSL11標的分子の役割およびSSL11によるその制御機構についての解析を行う。また、SSL11と標的分子の結合様式の詳細について解析し、その分子機構を明らかにする。SSLは複数のファミリータンパク質が存在するため、その類似性なども明らかにする。 Coronin-1の欠失やSer412変異体発現による脱顆粒やサイトカイン産生(TNF-αやIL-6)への影響について調べる。変異体発現マウス由来マスト細胞を用いた予備実験では、抗原抗体複合体刺激時における細胞内へのCaイオンの流入に差異が認められたため、詳細な解析を行う。マスト細胞へのSSL11の添加によって、Coronin-1のSer412のリン酸化が抑制されたが、個別の現象であるか関連する現象であるかは不明である。この因果関係の解析は今後の重要な課題である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)