Project/Area Number |
22K06702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
保坂 卓臣 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (30611579)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 薬物代謝酵素 / ダウンレギュレーション / 腎不全 / 肝疾患 / 尿毒素 / サイトカイン / 肝星細胞 |
Outline of Research at the Start |
肝硬変等の肝疾患に伴い、肝薬物代謝酵素の発現低下(ダウンレギュレーション)が起こり、薬物治療が影響を受けることが知られている。この肝薬物代謝酵素のダウンレギュレーションは腎不全患者でも認められる。しかし、その機序は未だ明らかになっていない。腎不全患者の血中には尿毒素と呼ばれる有害物質が蓄積すること、肝疾患時には肝星細胞が活性化してTGF-βやIL-6等のサイトカインが分泌されることが知られている。そこで本研究では、尿毒素やサイトカイン、また肝星細胞と肝細胞のクロストークに着目し、腎不全および肝疾患に伴う肝薬物代謝酵素のダウンレギュレーションの機序を明らかにすることを目的とした。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に尿毒素であるインドキシル硫酸(IS)による肝薬物代謝酵素の発現低下機序を解析した。 ISは尿細管上皮細胞や血管内皮細胞において炎症関連転写因子であるNF-κBを活性化すること、炎症性サイトカインによる肝薬物代謝酵素の発現低下にはNF-κBが関与することが報告されていることから、ISによる肝薬物代謝酵素の発現低下はNF-κBの活性化を介している可能性を考えた。そこでまず、HepaRG細胞にISを処置しNF-κB標的遺伝子のmRNAレベルを測定したところ、IL6及びCCL2の発現増加が認められたためNF-κBの活性化が示唆された。次に、NF-κB 標的siRNAを導入し、NF-κBをノックダウンしたが、ISによるCYP3A4及びCYP2C9の発現低下は抑制されなかった。このことからISによる肝薬物代謝酵素の発現低下にNF-κBの活性化は寄与しないことが示唆された。 次に、HepaRG細胞において2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxinなどのaryl hydrocarbon receptor (AHR) リガンドによるCYP3A4の発現低下が報告されていること、ISがAHR標的遺伝子であるCYP1A2を誘導したことから、ISによる肝薬物代謝酵素の発現低下にAHR活性化が寄与しているのではないかと考えた。そこで、HepaRG細胞にAHR標的siRNAを導入し、AHRをノックダウンしたところ、ISによるCYP3A4及びCYP2C9の発現低下が完全に抑制された。このことからISによる肝薬物代謝酵素の発現低下にAHR活性化が決定的な役割を果たしていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎不全に伴う肝薬物代謝酵素のダウンレギュレーションに寄与すると考えられる因子として、代表的な尿毒素であるインドキシル硫酸を見出し、さらにそのダウンレギュレーション機序としてAHRの活性化が決定的な役割を果たすことを明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1)インドキシル硫酸(IS)によるCYP3A4やCYP2C9の発現低下がHepaRG細胞だけでなく、初代ヒト肝細胞でも認められるか否かを明らかにし、認められた場合はAHR活性化が関わっているか否かをAHRノックダウン実験により明らかにする。 2)ISがAHR活性化を介してCYP3A4やCYP2C9を発現低下させるより詳細な機序を明らかにするため、溶媒またはISを処置したHepaRG細胞をサンプルとしたATAC-Seqを行い、CYP3A4やCYP2C9遺伝子周辺のオープンクロマチン領域を示すピークがISにより低下するか調べる。ピークが低下した領域に結合し、CYP3A4やCYP2C9の発現に寄与する転写因子を同定するとともに、AHRがその転写因子と相互作用し、その機能を阻害するか否かを明らかにする。 3)肝星細胞株LX-2の培養上清をconditioned medium(馴化培地)として用いてHepaRG細胞を培養後、CYP3A4の発現レベルを解析する。これにより、LX-2細胞から細胞外へ分泌される液性因子がHepaRG細胞におけるCYP3A4の発現を低下させるかを明らかにする。発現低下が認められた場合、低下に寄与する因子を同定するため、活性化肝星細胞が分泌するとされる主要なサイトカインに対する中和抗体やこれらの受容体阻害薬の影響を解析する。
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