がん治療口内炎の局所治療を可能とするFGF-ヘパリン修飾ナノエマルション含嗽剤
Project/Area Number |
22K06705
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
池内 由里 (高橋由里) 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (10339525)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 化学放射線療法に伴う口内炎 / 線維芽細胞増殖因子 / ナノエマルション / 含嗽剤 / 放射線障害 |
Outline of Research at the Start |
化学放射線療法に伴う口内炎に対する確立した治療法はなく、局所投与可能な新規の治療薬が求められている。近年、細胞の生存・増殖を維持・促進する活性を有する線維芽細胞増殖因子 (FGF) ファミリーの一種が、細胞の放射線障害と口内炎を予防・減弱することが確認された。そこで本研究では、FGFをヘパリンで保護した上でナノエマルションとした含嗽剤を製剤化し、口腔粘膜細胞に局所的に活性体FGFを送達することができるか解明し、口腔内の炎症疾患に対する効果を明らかにすることで、口内炎に対する新規治療システムとしての有効性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、活性タンパク質であるFGFをヘパリンで保護した上でナノエマルションとした含嗽剤を製剤化し、口腔粘膜細胞に局所的に活性体FGFを送達することを目的に、FGFを保持させるのに最適な構造の油相の形成を行った。油相にはMCTを使用した。エマルションにおいて乳化剤の影響は大きいことから、乳化剤としてTween 60およびオレイン酸ポリグリセリルを用いた。 最適な油相の製剤特性として、粒子径およびゼータ電位に着目し、調製方法を確立する目的で、超音波ホモジナイザーの照射時間を変更し、最適な照射時間の検討を行った。乳化剤としては、Tween 60と比べてオレイン酸ポリグリセリルを用いることで粒子径が減少した。超音波ホモジナイザーの照射時間の最適化を行うことで、目標としている粒子径である100~200 nmの油相が調製できた。 油相のゼータ電位を正とすることで、油相にFGF-ヘパリン複合体を静電気的相互作用により吸着させようと考えている。そこで、Stearylamine Hydrochloride (SA) を添加してナノエマルションを調製した。SAを添加することで油相のゼータ電位は、正となることが確認できた。さらに、SAの添加量を変化させてナノエマルションを調製することで、最適なSA添加量の評価を行った。 活性体FGFを口腔粘膜細胞に局所的に送達するためには、FGFをヘパリンで保護する必要がある。そこで、FGF-ヘパリン複合体の生成を評価する方法の検討を行った。FGF-ヘパリン複合体について、粒子径を測定することで評価できることが示された。さらに、複合体の形成の評価を行うため、ヘパリン及びFGFの1H-NMR測定を実施し、複合体形成の評価のためのスペクトルの解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、FGFを保持させるのに最適な構造の油相を形成することができている。油相の粒子径を100~200 nmとすることで、エンドサイトーシスにより油滴を細胞内に送達することができる可能性がある。ヘパリンは酸性ムコ多糖類であり、分子中に多数の硫酸基が含まれていることから負に帯電している。油相の表面にFGF-ヘパリン複合体を静電気的相互作用に吸着させるためには、油相表面のゼータ電位を正にする必要がある。そこで、陽イオン性界面活性剤であるStearylamine Hydrochloride (SA) を添加してナノエマルションの調製を行った。その結果、SA添加ナノエマルションのゼータ電位は正となり、さらに、SAの添加量を増減することで、ゼータ電位の値を調整可能であることが確認できた。FGF-ヘパリン複合体については、粒子径を測定することで評価できることが示されている。FGF-ヘパリン複合体の形成の確認のために、1H-NMR測定を行い、そのスペクトル解析を行っている。以上より、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、FGF-ヘパリン複合体の生成が確認できた時点で、FGF-ヘパリン複合体を油相の表面に吸着させ、ナノエマルションの油相へのFGF-ヘパリン複合体修飾を行う。FGF-ヘパリン複合体修飾を行うにあたり、FGF-ヘパリン複合体のゼータ電位と油相の表面のゼータ電位について、それぞれ最適値の検討を行い、油相への薬物吸着量を最大にする条件を見出す。FGF-ヘパリン複合体と油相との間の相互作用は、口腔粘膜細胞に局所的に活性体FGFを送達するうえで重要なポイントであると考えている。 FGF-ヘパリン複合体修飾エマルションからのFGFの放出については、フランツ型拡散セルを用いて評価する。さらに、FGF-ヘパリン修飾エマルションからのFGFの細胞付随型への移行及び細胞透過性について、Caco-2培養細胞を用いたin vitro試験により評価する。対照として、FGF水溶液について同様に試験を行い、エマルション化がFGFの細胞送達に及ぼす効果を明らかにする。In vitroにおける細胞増殖促進活性の評価については、FGF-ヘパリン修飾ナノエマルションがFGF受容体をもつ細胞の増殖を促進する活性を有するかどうかを、培養細胞を用いて評価する。さらに、in vivoにおける送達性の評価については、FGF-ヘパリン修飾ナノエマルションをマウスの口腔内に含ませた後、口腔粘膜を摘出し、粘膜中のFGFを抽出することで、抽出液中のFGF濃度を測定する。以上より、FGFの口腔粘膜組織への送達について評価し、FGF-ヘパリン修飾ナノエマルション含嗽剤の有効性を明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)