肝がん患者でのアルブミン低下と治療薬レンバチニブの遊離形体内動態・薬物応答の関連
Project/Area Number |
22K06732
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
藤田 健一 昭和大学, 薬学部, 教授 (60281820)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | レンバチニブ / 体内動態 / 遊離形血漿中濃度 / 遺伝子多型 / メタボロミクス / 肝細胞がん / 血漿中蛋白結合 |
Outline of Research at the Start |
肝細胞がん患者の中には肝機能の低下した患者が多く存在する。経口マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブの血漿中蛋白結合率は約98%と高い。肝機能障害において血漿中アルブミン濃度が低下し、薬物代謝の低下により肝クリアランスが低下する場合、遊離形血漿中濃度が上昇する可能性がある。本研究では,遊離形血漿中濃度を基準としたレンバチニブの体内動態や効果・毒性に対する血漿中アルブミン濃度や輸送担体の遺伝子多型の影響を解明することを主目的とする。非侵襲的に採取した血液循環腫瘍細胞における薬力関連因子の情報も加味する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
レンバチニブを投与する切除不能進行・再発肝細胞がん患者を対象として、効果や毒性に関与する薬物動態学的な因子を検討するための前向きな探索的臨床研究を遂行した。現在までに36症例登録し、レンバチニブによる治療を行った。 金沢大学の加藤将夫教授の研究室において、液体クロマトグラフ-三連四重極型質量分析計(LC-MS/MS)を用いた血漿中濃度の測定法を確立し、3症例について予備的に測定した。また、これらの患者の血漿検体について、平衡透析法を用いて遊離形分率を算出した。LC-MS/MSにて測定した総血漿中濃度に遊離形分率を掛けて、遊離形濃度を算出した。本研究費にて使用ライセンス契約をしたWinNonlinのノンコンパートメントモデルを用いて、総血漿中濃度基準のAUCや遊離形血漿中濃度基準のAUCなどの、薬物動態学的パラメータを予備的に算出した。 また金沢大学において、液体クロマトグラフ-飛行時間型質量分析計(LC-TOFMS)を用い、16症例の血漿検体を移動相・カラム・極性が異なる複数の測定条件下で分析し、網羅的に低分子化合物を検出した。レンバチニブ投与開始前と開始後15日目における同一患者の血漿メタボロミクスを比較した結果、有意に(p<0.05)シグナル強度が増加した化合物群として、長鎖アシルカルニチン(C12, C14, C16およびC18)が見出された。 27症例について、治療中に発生した副作用のデータ、腫瘍縮小や延命などの治療効果に関するデータを集積した。 全血検体からゲノムDNAを抽出し、レンバチニブの代謝に関与するCYP3A5、輸送に関与するABCB1、ABCG2、及びOATP1B1の代表的な遺伝子多型、CYP3A5*3、ABCB1 1236C > T, 2677G > T、及び3435C > T、ABCG2 421C>A、OATP1B1 521T>Cの解析を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レンバチニブを投与する切除不能進行・再発肝細胞がん患者を対象とした前向きな臨床研究は、目標症例数を40例としている。これまでに、36症例までエントリーすることができた。体内動態解析の方法を確立して予備的な検討を開始した。16症例について、血漿メタボロミクス解析を実施した。また27例について、レンバチニブの治療効果や副作用データを収集した。薬物動態関連因子の遺伝子多型についても解析を開始した。以上より、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度も今年度に引き続き、前向きな臨床試験への患者のエントリーを継続する。これまでにレンバチニブによる治療を開始したすべての患者について、体内動態、血漿メタボロミクス、遺伝子多型を解析する。これらのデータや各患者の血漿中アルブミン濃度、肝機能などと、レンバチニブの治療効果や副作用との関連を調べていく。本研究では、レンバチニブによる治療開始前の患者の尿も採取している。次年度は尿検体を用いたメタボロミクス解析も開始し、体内動態やレンバチニブの薬物応答との関係を調べる。 レンバチニブと代謝物の体内動態に関連する因子を組み込んだPBPKモデルを作成し、これら化合物のヒトにおける体内動態を説明し得るようにパラメータを最適化する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)