GGCTとxCTのダブル阻害によりフェロトーシスを増強する全く新しいがん治療戦略
Project/Area Number |
22K06756
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
飯居 宏美 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (00597768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 晋 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (80590695)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | フェロトーシス / GGCT / xCT阻害剤 / フェロト―シス / xCT / 抗腫瘍効果 / がんの代謝 |
Outline of Research at the Start |
我が国のがん死亡者数は増加傾向にあり、治療抵抗性のがんに対する新しい治療戦略が求められている。近年、シスチントランスポーターの阻害による細胞内システインの枯渇がフェロトーシス細胞死を誘導することが明らかとなり、新しいがん治療標的として注目されている。これまでに我々は、γ-グルタミルシクロトランスフェラーゼ(以下、GGCT)に対する阻害剤の有効性を示してきた。そこで本研究では、シスチントランスポーター阻害剤とGGCT阻害剤の併用によりがん細胞のシステイン供給源を断ち切りフェロトーシス細胞死を増強する新規治療戦略を開発することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、GGCT阻害剤pro-GAとxCT阻害剤の併用によるがん細胞に対するフェロトーシス細胞死誘導増強の実証を目的に研究を進めた。 まず、GGCT遺伝子増幅とxCTの高発現が報告されている膠芽腫に着目し、4種類のヒト膠芽腫細胞株A172、U87MG、U251、T98細胞に、独自のGGCT阻害剤pro-GAを作用させ、増殖抑制効果を検討した。また、それぞれの細胞株におけるGGCTの発現量を比較したところ、いずれの細胞においてもヒトの正常アストロサイト細胞に比しGGCTの高い発現とpro-GAによる増殖抑制効果が見られた。また、マウス膠芽腫モデルから樹立した3種類の膠芽腫幹細胞株におけるGGCT発現量とpro-GA処理による増殖抑制効果も検討した。いずれの細胞でも同様に、GGCTの高発現とpro-GA処理による増殖抑制効果が見られた。さらに、その中でもGGCTの発現とpro-GAによる細胞増殖抑制効果が高いマウス膠芽腫幹細胞とU87MG細胞にpro-GAとxCT阻害剤であるerastinを処理し増殖抑制効果を検討したところ、統計学的有意な相乗効果を確認した。また、それらの増殖抑制効果はフェロトーシス阻害剤であるFerrostatinにより有意に回復した。そこで、さらに、pro-GAによりフェロトーシスが誘起されるか、またerastinとの併用でフェロトーシスが増強されるかについて、酸化型多価不飽和脂肪酸の生成について、フローサイトメトリー法を用いて解析したところ、proGAとerastin処理により有意に酸化型多価不飽和脂肪酸が増加し、2剤の併用によりさらなる増加が確認された。以上の実験結果を通して、pro-GAによる細胞死とerastinによる細胞死機構には、フェロトーシス細胞死の誘導が関与しているという、本研究課題における仮説について検証し、意義深い結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス膠芽腫幹細胞においてpro-GAによる細胞死とerastinによる細胞死機構には、フェロトーシス細胞死の誘導が関与しているという、本研究課題における仮説の実証を裏付ける結果を得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
Pro-GAとerastinの併用による細胞増殖抑制効果に対する相乗効果とフェロトーシス細胞死の誘導が確認できたので、フェロトーシス細胞死阻害剤であるferrostatin前処理により、酸化型多価不飽和脂肪酸の変動が抑制されるのかについて、フローサイトメトリー法で検討する。また、さらなるフェロトーシス誘導メカニズムの解明を行うため、細胞内システインの減少が、pro-GA単剤もしくはerastinとの併用で惹起されるかについて、質量分析器と用いた解析を行う。動物実験では条件検討のための実験として、ルシフェラーゼを人工的に発現させたU87MG細胞を免疫不全マウスの大脳実質内に移植した同所性移植モデルに、pro-GAを投薬し抗腫瘍効果を確認している。次にxCT阻害剤との併用効果を実証することを目指し、動物実験で使用実績が報告されているerastinまたはsulfasalazineの投薬による抗腫瘍効果について条件検討し、pro-GAとの併用でその抗腫瘍効果の増強が見られるかの検討を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(23 results)
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[Presentation] 膠芽腫幹細胞におけるγ-glutamylcyclotransferase (GGCT)ノックダウンによる増殖抑制メカニズムの解明2022
Author(s)
野瀬梢, 茂山千愛美, 飯居宏美, 森昌也, 亀井美保, 椎達哉, 吉田百花, 大草由佳子, 南京香, 安藤翔太, 中田晋
Organizer
日本薬学会第143年会
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[Presentation] シクロペンタン環により配座を固定したアセトゲニンチオフェン誘導体の合成とその作用機序の解明研究2022
Author(s)
細見 紘幸, 小柴 佐和子, 松本 卓也, 安藤 翔太, 茂山 千愛美, 飯居 宏美, 中田 晋, 岩﨑 宏樹, 山下 正行, 南部 寿則, 小島 直人
Organizer
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Author(s)
髙橋 達哉, 大田 海斗, 竜石 侑璃, 安藤 翔太, 茂山 千愛美, 飯居 宏美, 中田 晋, 岩﨑 宏樹, 山下 正行, 南部 寿則, 小島 直人
Organizer
日本薬学会第143年会
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