Project/Area Number |
22K06787
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48010:Anatomy-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡辺 啓介 新潟大学, 医学部, 医学部准教授 (20446264)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 恐怖行動 / 細胞移動 / 脳・神経 / 発生・分化 / 解剖学 |
Outline of Research at the Start |
恐怖や不安は、動物の生存にとって極めて重要な情動の1つであるが、その中には経験に基づかない先天的なものが存在する。しかしながら生来の恐怖を制御する神経回路発生の分子メカニズムの実態はほとんど明らかになっていない。私達は糖転移酵素Dpy19L1が恐怖・不安を制御する脳領域の発生を制御することで、生来の恐怖行動の発現に関与している可能性を見出した。そこで本研究では、Dpy19L1に注目することで、生来の恐怖を制御する神経回路の形成を分子レベルで明らかにしていくことを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
恐怖や不安には経験に基づかない先天的な行動があることから、その神経回路は遺伝子レベルで設計、構築されていることが予想される。しかしながら、その分子メカニズムはほとんど明らかになっていない。私達は糖転移酵素Dpy19L1が恐怖・不安を制御する中隔核領域の発生を制御することで、生来の恐怖行動の発現に関与している可能性を見出した。そこで本研究では、Dpy19L1に注目することにより、生来の恐怖を制御する神経回路の形成を分子レベルで明らかにしていくことを目的としている。これまでの結果から、発生期大脳皮質 Dpy19L1が、海馬からの出力線維である脳弓形成を制御することで、遠く離れた後方中隔核の発生に間接的に関わっている可能性を考えられた。本年度は、これまでに見出したDpy19L1 KOマウス海馬領域の縮小について、詳細な解析を行なった。その結果、胎生18日目に野生型と比較して優位な海馬の縮小が見られた。さらに、この縮小は海馬の前駆細胞の増殖能の低下によるものであると考えられた。また、Dpy19L1により糖鎖修飾されることが知られるWntシグナル関連分子R-spondinとレセプターLgrの発現を検討した結果、海馬発生が起こる胎生中期には海馬誘導に重要となるcortical hemに限局的発現を示すが、胎生後期にはその発現パターンが海馬を含めた様々な領域で劇的に変化することがわかった。R-spondinの大脳皮質への強制発現を行なった結果、皮質前駆細胞の増殖が亢進した。これらの結果から、Dpy19L1はR-spondinシグナルを介して海馬発生を制御している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Dpy19L1シグナルの下流候補遺伝子として、7つの遺伝子(R-spondin1-4およびLgr4-6)の発現・ in vivo機能解析に時間を割くことになったこと、ノックアウトマウスの交配が順調に進まなかったことから、RNA sequence実験や組織学実験などに遅れが出てしまった。また、論文のリバイス実験に予想以上の時間を費やしてしまったことも研究の進捗に遅延が生じることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果から、Dpy19L1はR-spondinシグナルを介して海馬発生を制御している可能性が考えられた。また、R-spondinレセプターの一つであるLgr6が発生期海馬領域に強く発現することがわかった。そこで、胎生期大脳皮質でLgr6の機能解析を行うことで、海馬発生におけるR-spondinの機能について検討していく。また、RNAシークエンスによるDpy19L1シグナルの検討についても進めていく。以上により、Dpy19L1シグナルによる恐怖の神経回路の形成メカニズムを明らかにしていく。
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