新規転移阻害タンパク質の機能解析を通した癌細胞遊走能調節の分子基盤の解明
Project/Area Number |
22K06835
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48020:Physiology-related
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
三輪 尚史 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (40255427)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 癌細胞 / 遊走能 / 転移 / 浸潤 |
Outline of Research at the Start |
癌細胞が原発巣から遊離し、血行性またはリンパ行性に遠隔臓器にて増殖することは「転移」と呼ばれる。研究代表者がアフリカツメガエルより見出したダイカルシンというカルシウム結合タンパク質は、卵巣癌細胞に結合し細胞内Erk1/2活性を抑えることにより、卵巣癌細胞の遊走能を低下させ、浸潤・転移を阻害する。本研究では、ダイカルシンによる卵巣癌細胞の遊走能阻害の分子基盤を解析し、広く様々な種類の癌細胞の遊走能の調節機構を解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度において、ダイカルシンによる癌細胞の遊走能阻害の分子基盤を解析することを目的とし、下記の成果を得た。 ダイカルシンの細胞外投与による癌細胞の遺伝子発現プロファイルの解析 1.ダイカルシンをOV2944細胞の培地中に添加した後、培養細胞のRNA-Seq解析を行い、ダイカルシン依存的なシグナル分子として複数の候補遺伝子を同定した。得られた候補遺伝子のうち、数十の遺伝子についてダイカルシン投与後の転写の変化を、リアルタイムPCRで検証することを試みている。2.ダイカルシンの標的分子である糖脂質GM1bを培養細胞に添加した後、RNA-Seq解析を行い、ダイカルシンの作用に拮抗するシグナル分子候補を抽出した。得られた候補遺伝子のうち、いくつかの遺伝子についてGM1b添加後の遺伝子転写量の変化について、リアルタイムPCRで検証することを試みている。 ダイカルシンのErk1/2以外のキナーゼパスウェイへの影響の検討 3.ダイカルシンのマップキナーゼファミリーへの影響について、p38MAPK,Aktへの関与をウエスタンブロットにより解析した。ヒトOVCAR-3細胞では、p38MAPKのリン酸化は低く、p38MAPKの活性化程度は低いことがわかった。また、Aktのリン酸化について、ヒトOVCAR-3細胞の培地にダイカルシンペプチドを添加しウエスタンブロット解析を行ったところ、Aktのリン酸化はみられたものの、ダイカルシンペプチド添加による影響は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の令和5年度計画は、1.Erk1/2以外のキナーゼパスウェイの検索、2.アメーバ様遊走に関与する因子の活性化への影響の解析、3.アクチンの重合への影響の解析である。1.について、Erk1/2以外の主要なキナーゼであるp38MAPK,Aktへの影響をヒトOVCAR-3細胞を用いて解析し、ダイカルシンはp38MAPK,Akt活性にあまり影響を及ぼさないことがわかった。また、2.については、ダイカルシンの細胞外投与のミオシン軽鎖キナーゼの活性化に及ぼす影響を解析している。また、癌細胞の遺伝子発現プロファイルと関係づけることを続けている。3.については、ヒトOVCAR-3細胞とは異なる培養細胞株であるが、ダイカルシン投与後にF-アクチンの特性が変化することを見出すことができた。以上より、研究の進展はおおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に引き続き、ダイカルシンの癌細胞の遊走能に及ぼす影響を解明する。そのために、ダイカルシンの細胞外投与による癌細胞の遺伝子発現プロファイルをさらに解析し、候補遺伝子の発現量変化ついて、Real-time PCR解析により検証する。また、培養細胞の移動相と非移動相のライブイメージングを解析することにより、ダイカルシンの移動相に及ぼす影響(持続時間やタイミングの変化)を解析することを予定している。本実験によって得られる成果は、ダイカルシンによる癌細胞の情報伝達調節の分子機構を明らかにすることにつながり、癌細胞の遊走能調節機構の解明において有意義な結果になる可能性が高いと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)