テトラヒドロビオプテリンによる神経・循環器系の機能調節と疾患治療への挑戦
Project/Area Number |
22K06871
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48030:Pharmacology-related
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
一瀬 千穂 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (10247653)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | テトラヒドロビオプテリン / チロシン水酸化酵素 / リン酸化 / 一酸化窒素 / 自律神経 |
Outline of Research at the Start |
テトラヒドロビオプテリン(BH4)は、チロシン水酸化酵素(TH)および一酸化窒素合成酵素(NOS)の活性に必須のコファクターである。このため細胞内のBH4量やその酸化・還元状態、利用効率が変化すると、神経伝達物質であるモノアミンや一酸化窒素(NO)の産生が大きく変化し、神経・精神疾患、循環器疾患、持続勃起症等の発症やその防御機構にかかわる可能性が高い。この研究ではBH4生合成酵素の遺伝子改変マウスを用いて、BH4によってどのようなメカニズムで神経終末のTHのタンパク質量が制御されるのか、BH4を介して自律神経系とNO産生系の間にどのような相互調節が働いているのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
セピアプテリン還元酵素(SPR)遺伝子の第1エクソンの5’上流にloxPサイト、第2-第3エクソン間のイントロンにFRT-pgk-ネオマイシン耐性遺伝子-FRTとその3‘下流にloxPサイトを挿入したマウスと、ヒトドパミンβ水酸化酵素(DBH)プロモーター-Cre-ERTトランスジェニックマウスを交配し、Sprfl/fl, Cre-ERT、Sprfl/fl、Sprfl/+マウスを作成した。次いでこのマウスにタモキシフェン(Tam)を投与し、Spr遺伝子を誘導的に破壊したTamを投与しない段階で、Sprfl/fl, Cre-ERTマウス、Sprfl/flマウスでは、副腎(Ad)でのSPRの発現量はC57BL/6の5.3%および7.6%、Sprfl/+マウスでは47.3%に低下していた。Adのビオプテリン(Bio), ノルエピネフリン(NE), エピネフリン(Epi,) ドパミン(DA)の量はC57BL/6、Sprfl/fl、Sprfl/fl, Cre-ERT、 Sprfl/+間で有意差がなかった。Sprfl/fl, Cre-ERT、Sprfl/fl、C57BL/6 (6-7カ月齢、♀マウス、n=3)に対しTam 1 mgを連続5日間腹腔内投与し4週間後に組織の生化学的解析を行ったところ。Sprfl/fl, Cre-ERTマウスの副腎(Ad)でエクソンの除去が検出された。Tam を投与したSprfl/fl, Cre-ERTマウスのAdのBioはSprfl/fl、C57BL/6と差がなかったが、EpiおよびDAはC57BL/6に比べて有意に減少していた。Adでは髄質細胞でのBH4産生が低下しそれに伴ってDAと最終産物のEpiが減少したが、チロシン水酸化酵素(TH)のリン酸化状態を変化させるには十分ではないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蛍光ウエスタンブロッティングで組織ライセートを用いて、THとそのリン酸化体を定量する条件を決定した。一方、Sprfl/fl, Cre-ERTマウスではSpr遺伝子の誘導的破壊によって、THのリン酸化状態を変化させるほど大きなBH4の減少を起こすことはできなかった。SPR遺伝子の破壊にもかかわらずBio量が変化しなかったことから、SPRによるBH4の生合成過程はアルドース還元酵素などで代替される可能性があると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
脳組織および副腎のライセートを免疫沈降し、ユビキチン化THの検出を試みる。また免疫共沈法と質量分析によってTHと共存する因子の同定を試みる。BH4欠損マウスにBH4、L-DOPA(ドパミン前駆物質)、L-threo-DOPS(NE前駆体)、D2およびα2アゴニストを投与し、組織におけるTHのたんぱく質量とリン酸化状態を変化させる条件を探索する。BH4生合成の律速酵素であるGTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)遺伝子の誘導破壊マウスを作成し、BH4の減少を確実に起こす。このマウスでは交感神経系の異常を生じる可能性が高いが、心電図の周波数解析でこれを検出する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)