Project/Area Number |
22K06883
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
松田 永照 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (00335481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 紀明 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80391960)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | メチル化DNA結合タンパク質 / コンディショナル欠損(cKO)マウス / 中枢神経系の発生 / アポトーシス / 細胞増殖 / 神経幹細胞 / 神経細胞 / 遺伝子発現 / 神経分化 / ES細胞 / ノックアウトマウス / 胚発生 |
Outline of Research at the Start |
遺伝子の発現制御に重要なDNAメチル化は、メチル基の導入と維持を担うDNAメチル化酵素と、メチル基に結合して転写を調節するメチル化DNA結合タンパク質(MBP)から構成される。これまでに、DNAメチル化酵素は胎生期の中枢神経系の発生や発達に重要な働きを担うことが知られているが、MBPについては不明である。申請者らは新規MBPのZbtb38を発見し、ES細胞の増殖にZbtb38が重要であることを報告した。本研究では、ES細胞の神経分化誘導系と時間特異的なコンディショナル欠損マウスを組み合わせた方法により、中枢神経系の発生や分化におけるZbtb38の生理的な機能とその制御機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子の発現制御に重要なDNAメチル化は、メチル基の新規導入と維持を担うDNAメチル化酵素と、メチル基に結合して転写を調節するメチル化DNA結合タンパク質(MBP)から構成される。DNAメチル化酵素は胎生期の中枢神経系の発生や発達に重要な役割を果たすことが明らかにされたが、MBPに関してはまだ分かっていない。我々は新規MBPであるZbtb38を発見し、ES細胞の増殖においてZbtb38が重要な役割を果たすことを報告してきた。さらに我々は、全身性のZbtb38のヘテロ欠損胎仔では中枢神経発生に重要なSox2転写因子の発現が低下していることを見出した。しかしながら、全身性のZbtb38のヘテロ欠損胎仔は胎生9.5日目(E9.5)の神経系分化前に致死となったため、マウス生体内の神経発生におけるZbtb38の生理的な機能が分かっていない。本研究では、ES細胞の神経分化誘導系と神経系特異的なZbtb38欠損マウスの作製と解析を行い、中枢神経系の発生と分化におけるZbtb38の生理的な機能とその制御機構を明らかにする。 具体的には、まず中枢神経系の発生におけるZbtb38の発現変動を調べる。次にZbtb38のflox(fl)マウスとNestin-Creマウスとの交配により、中枢神経系特異的なZbtb38のヘテロ欠損(Δfl/+)マウスを作製と検証を行う。また、この交配による出生後のマウスおよび胎生期の胎仔脳を解析して、Zbtb38のヘテロ欠損による大脳などの中枢神経系への影響を明らかにする。さらに、ES細胞の神経分化誘導系を用いて、Zbtb38遺伝子欠損によるES細胞の神経細胞へ分化への影響を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、中枢神経系の発生過程におけるZbtb38の発現 胎生期の神経系の発生過程におけるZbtb38のmRNA発現を調べるため、野生型マウス由来の胎仔脳を定量RT-PCR法を行った。その結果、神経発生の初期から後期にかけてZbtb38の発現が上昇していることが分かった。また、胎仔の脳におけるZbtb38の発現部位を調べるため、脳の凍結切片より抗Zbtb38抗体を用いて免疫組織染色を行った。その結果、Zbtb38が脳の全体に発現しているが、神経発生中期(E13.5)では主に前板と脳室帯、後期のE16.5では主に皮質板と辺縁帯に発現していることが分かった。以上のことから、Zbtb38が中枢神経系の発生に関与する可能性が強く示唆された。 2、中枢神経系特異的なZbtb38のマウスの作製と検証 神経系特異的なZbtb38のヘテロ欠損マウスを作製するため、Zbtb38のfl/flマウスとNestin-Creマウスを交配させた。ゲノムDNAの解析により、出生した仔マウスの遺伝型(fl/+とΔfl/+)が確認されたことから、神経系特異的なZbtb38ヘテロ欠損マウスの作製ができた。出生したマウスを形態学的な解析を行った結果、Zbtb38のΔfl/+マウスはコントロールマウスに比べて、体(頭部、全長と四肢)や大脳が顕著に縮小していることが確認され、すべてのΔfl/+マウスが1か月以内に死亡した。これらの結果から、Zbtb38は出生後のマウスの生存や脳の発達に必要であること、Zbtb38が胎生期の中枢神経系発生に必要であることが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1、胎生期の神経発生におけるZbtb38の生理機能 Zbtb38の欠損が胎生期の神経発生の各段階に及ぼす影響を調べるため、Zbtb38のfl/flマウスとNestin-Creマウスとの交配による胎仔脳の解析を行う。具体的に、(1)神経前駆細胞の自己複製(増殖)、(2)神経前駆細胞の分化(神経細胞、アストロサイトとオリゴデンドロサイト)、(3)脳成長の各段階に与える影響を、形態学的(ヘマトキシリン・エオシン染色による層構造の構築)・組織学的(アポトーシス、細胞増殖や細胞分化に関与する各マーカー遺伝子の発現パターン)手法により解析する。これらの解析を通して、胎生期の神経系発生におけるZbtb38の生理的な機能を明らかにする。 2、ES細胞の神経細胞への分化におけるZbtb38 の解析 Zbtb38を欠損したES細胞およびZbtb38を過剰発現したES細胞をNdiff227培地により分化誘導を行う。分化した細胞について、初期(神経前駆細胞)と中後期(神経細胞、アストロサイトとオリゴデンドロサイト)に分けて、各細胞のマーカー遺伝子の発現を定量RT-PCRなどの手法を用いて解析する。また、並行して細胞増殖や細胞死の解析も行う。これらの解析を通して、Zbtb38がどの段階にどの細胞種の増殖・分化・生存に必要なのかを明らかにする。 3、Zbtb38の生理機能に関わるメカニズムの解析 Zbtb38が直接影響を及ぼす遺伝子を同定するため、Zbtb38の欠損による顕著な表現型を示す細胞を採取し、RNAシーケンス(RNA-seq)による網羅的発現解析を行う。
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