Project/Area Number |
22K06904
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
黒川 理樹 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70170107)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 長鎖非コードRNA / TLS / FUS / 相分離 / ALS / 天然変性領域 / IDR / 転写制御 / RNA結合タンパク質 / TLS/FUS / 神経変性疾患 |
Outline of Research at the Start |
私達は、新規の長鎖非コードRNA(lncRNA)がRNA結合タンパク質TLS/FUSに結合してcyclin D1遺伝子の転写を抑制することを示した。TLSは相分離を誘導し沈殿すると神経変性疾患であるALSを惹起する。また、相分離は転写を制御する。私達は、lncRNAがTLSによる相分離を抑制することも示した。以上より「lncRNAはTLSの相分離に作用し転写を制御するのか」という問いを着想した。これを解くために、次の目的を設定する。HeLa細胞総RNAからTLSに結合する新規lncRNAを検出する方法を確立する。このlncRNAから、相分離と転写を抑制するものを同定する。これらを実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の核心をなす問いは、「lncRNAはTLSの相分離に作用し転写を制御するのか」である。これに答えるために目的を設定した。目的は、相分離により形成される液滴に作用して転写を抑制するlncRNAを見いだすことである。これにより、新規の転写抑制機構を示すことになる。この目的を達成するために、2022年度はTLSに結合するlncRNAの検出法の確立を目指した。具体的には、GST-TLSにヒトHeLa細胞総RNAを結合させ、lncRNAを検出する方法を確立した。まず、大腸菌発現のGST-TLSを調製して、HeLa細胞総RNAを結合させた。結合RNA画分からTLS結合RNAを調製した。このTLS結合RNAから相補的なCyanine3標識のcRNAを合成し、ヒトlncRNAマイクロアレイにハイブリダイゼーションさせた。シグナル強度を測定し出発物質であるHeLa細胞総RNAから、精製されたGST-TLS結合RNAの中でシグナルが2倍以上に上昇したRNA配列を目的のlncRNAとした。この解析で1700種類以上のlncRNAが見いだされた。これらの配列で、10倍以上増加したRNAが50件ほど、20倍以上が10件以上となった。この中から、6種類のlncRNAを次の解析に用いた。2023年度は、これらのlncRNAが実際にTLSに結合し、相分離制御作用を有するかを検証した。具体的には、GST-TLS試料を遠心して相分離・沈殿形成を誘導する実験系を確立した。このGST-TLS沈殿系に新規に同定したTLS結合性lncRNA6種類を添加して、相分離・沈殿形成の抑制効果を検出した。その結果、6種類のlncRNA(lncRNA1‐lncRNA6)すべてに、沈殿抑制効果が検出された。これが本年度の成果である。この成果をもとに、相分離に作用して転写を抑制する新規のlncRNAを探索していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、Ⅰ.TLSに結合するlncRNAの検出法の確立、Ⅱ.TLSに結合するlncRNAの検証,Ⅲ.目的のlncRNAを選択する実験法の確立とTLS結合性・相分離抑制性・転写抑制性のlncRNAの同定、以上3項目を3年間で実行する実験計画を作成した。これまでに、Ⅰ、ⅡとⅢのTLS結合性・相分離抑制性のlncRNAの同定を達成したので、順調に進展していると認識される。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、初年度で得られたRNA配列がTLSに結合することを検証した。シグナルが20倍以上に上昇したlncRNA配列からビオチン標識RNAオリゴを合成、実際にTLSと結合することを確認した。現在までに上位6種類のRNA配列について、GST-TLSへの結合とHeLa細胞核抽出液(NE) 中のTLSとの結合が確認された。これらすべてのlncRNAに、TLSの相分離・沈殿形成を抑制する活性を見出した。この成果を受けて、HeLa細胞のcyclin D1プロモータールシフェラーゼ転写系を用いて、転写抑制作用を検出する。これは、si-lncRNAで、lncRNA発現を抑制して転写抑制を解除するリポーター系なので、よりシンプルに、lncRNA添加によりルシフェラーゼ活性を抑制できる実験系の構成も試みたい。大変チャレンジングな実験計画である。
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