Project/Area Number |
22K06915
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49010:Pathological biochemistry-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田井 育江 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90749508)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | リンパ管 / Prox1 / Folliculin / FLCN / リンパ管弁 / 弁構造 / prox1 / 髄膜リンパ管 / 血管新生 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は、「リンパ管弁、リンパ静脈弁維持におけるFlcnの機能の解析」「Flcn欠失リンパ管内皮細胞におけるTfebの役割」「TfebのProx1転写調節機構の解明」の3つの課題により、リンパ管機能の維持全体からみた、Flcnシグナルの全容とその意義の解明に取り組むものである。将来的にはがんリンパ行性転移やリンパ浮腫などの病態解明、治療への応用を目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
発生期における静脈内皮からリンパ管内皮への分化転換、リンパ管の構築、リンパ管弁の形成の全てにProx1は分化シグナルのマスター因子として重要な働きを持つが、Prox1自体がどのような発現制御を受けているかは未解明である。また、リンパ管への分化転換シグナルが入ると漸次的にリンパ管への分化が進行し、その遺伝子発現変化は生涯にわたって不可逆的に維持されると考えられてきたが、生後のリンパ管におけるProx1の発現調節と機能についての知見は乏しい。 申請者はこれまでにがん抑制遺伝子の1つであるFolliculin(Flcn)遺伝子を新生仔マウスで血管・リンパ管特異的に欠損した際、静脈とリンパ管が末梢で接続し、血管とリンパ管の独立した構造が崩れることを見出したものの、リンパ管弁を含むリンパ管機能の維持および加齢変化までの過程は依然としてほぼ不明である。また、脳脊髄液のリンパ管への回収・循環は、神経細胞死を誘導する変性タンパク質等の老廃物の除去に働き、リンパ管機能の低下は神経変性疾患の一因になると想像される。本年度は、血管内皮特異的Flcn欠失マウスを用いて詳細な組織学的解析を行い、乳び胸水および乳び腹水が観察されることを見出した。また、リンパ管過形成だけでなく、リンパ管弁構造の喪失を含むリンパ管機能不全の症状が認められた。さらに、Flcnの腎臓特異的ノックアウトマウスの表現型がTfebのノックアウトで打ち消されるという報告をヒントに(Napolitano et al., Nature 2020)、 University of NaplesのAndrea Ballabio教授からTfeb-floxマウスの提供を受け、Flcn欠損マウスとの交配を進め、血管内皮特異的Flcn欠失マウスにおけるリンパ管関連の形成異常とProx1の高発現が転写因子Tfebを介する結果をin vivo解析で得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
リンパ管弁、リンパ静脈弁に特異的なCreマウスは存在しないことから、まず、両弁に特異的な分子であるIntegrin-α9(Itga9)に着目し、そのプロモーター領域を利用したItga9-CreERT2マウスを作製し、Flcn-floxマウスを交配して両弁特異的Flcnノックアウトマウス(Itga9-CreERT2+Flcnflox/flox)を作成した。このマウスについて、腸間膜のwhole mount免疫染色法を用いて、Prox1がリンパ管弁およびリンパ静脈弁で過剰に発現されていることを確認した。また、血管内皮特異的Flcn欠失マウスの詳細な解析により、乳び胸水および乳び腹水を呈することを明らかにし、リンパ管弁構造の喪失と過形成といったリンパ管機能不全の症状が認められことを見出し、現在さらに詳細な解析を行っているところである。さらに、血管内皮特異的Flcn欠失マウスで見出された静脈内皮の異常(異所性にprox1が高発現し、リンパ管と接続する)は、転写因子Tfe3の核内移行によりin vivo, in vitroいずれにおいても説明しうるものの、リンパ管の拡張、リンパ管弁の形態異常という表現型はTfe3の欠失によってレスキューされないことがわかっている。この点について現在までに、University of NaplesのAndrea Ballabio教授からTfeb-floxマウスの提供を受け、Flcn欠損マウスとの交配を進め、血管内皮特異的Flcn欠失マウスにおけるリンパ管関連の形成異常とProx1の高発現が転写因子Tfebを介する結果をin vivo解析で得ており、精力的に研究を推進できていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮特異的Flcn欠失マウスでは乳び胸水および乳び腹水が観察されており、リンパ管弁構造の喪失と過形成といったリンパ管機能不全の症状が認められる。これについて、Flcnを欠損したリンパ管を経時的に組織学的解析し、リンパ管の機能不全がリンパ管弁の早期喪失の結果であるのか、リンパ管全体において細胞接着等のintegrityが破綻することでリンパ漏・リンパ浮腫が生じ、その結果としてのshear stressの低下がリンパ管弁を退縮させたのかを明らかにする。 これまでに、静脈内皮細胞においてTfe3がProx1のエンハンサー領域に結合し、Prox1の発現を直接制御することを見出している。リンパ管内皮細胞においては、Tfebが同様の役割を持つ可能性を示唆する結果をin vivo解析で得ていることから、同エンハンサー領域を用いたChIPアッセイやルシフェラーゼアッセイにより、Tfebがこの配列に結合し、Prox1を誘導しているか否かを検討する。
最後に、両弁の形成過程および老化に伴う退縮の推移を、野生型マウスと両弁特異的Flcnノックアウトマウス(Itga9-CreERT2+Flcnflox/flox)の間で比較する。両弁の機能低下を示唆する観察結果が得られた場合、リンパ液の正常な循環が阻害されていると考えられるため、リンパ管造影および薬剤誘導性浮腫モデルの解析を行い、リンパ液の循環にどのような変化が生じているかを検証する。 リンパ液の循環効率の低下を示す知見が得られた場合、さらに、病態における意義に関する解析の一環として、変異型アミロイド前駆体タンパク質を持つアルツハイマー病モデルマウスを用いて、変性タンパク質の脳から髄膜リンパ管への排出状況を確認する。現在までに抜脳後の頭蓋骨全体を組織学的に評価するwhole mount免疫組織染色を行い、髄膜リンパ管の可視化に成功している。
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