Project/Area Number |
22K06916
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49010:Pathological biochemistry-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
井下 強 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (20601206)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | LRRK2 / リソソーム / Rab GTPase / グリア / パーキンソン病 / 神経科学 / 小胞輸送 |
Outline of Research at the Start |
本課題では、神経変性疾患の一つパーキンソン病の発症機序と治療法開発のため、ショウジョウバエモデルを用いて、小胞輸送に関わるパーキンソン病の発症に関わる遺伝子間の相互作用と協働する分子・生理機構の解明を目指す。パーキンソン病関連遺伝子欠失体や分子遺伝学的手法による発現調節を組み合わせ、協働する分子・生理機構を特定し、関連遺伝子間の相互作用を解析し、カギとなる分子とその局在、活性制御機構を特定する。さらに、分子遺伝学的手法により、パーキンソン病病原性変異体における神経機能異常を改善させる、カギとなる分子の発現、活性調節法を探索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、神経変性疾患の一つパーキンソン病の発症機序と治療法開発のため、ショウジョウバエモデルおよびヒト細胞を用いて、小胞輸送に関わるパーキンソン病原因遺伝子間の相互作用と協働する分子・生理機構の解明を目的とした。パーキンソン病関連遺伝子欠失体や分子遺伝学的手法による発現調節を組み合わせ、協働する分子・生理機構を特定し、関連遺伝子間の相互作用を解析し、カギとなる分子とその局在、活性制御機構を特定した。さらに、分子遺伝学的手法により、パーキンソン病病原性変異体における神経機能異常を改善させる、カギとなる分子の発現、活性調節法の探索を目指した。分子機構の詳細解析には、培養細胞を用いた生化学的解析を行い、量的変化や活性・リン酸化制御機構における相互作用の解明を計画した。 小胞輸送に関わるパーキンソン病原因遺伝子の遺伝学的スクリーニングの結果、晩発性パーキンソン病原因遺伝子LRRK2がもっとも重要な遺伝子であることが確認された。LRRK2は、Rab small GTPaseのリン酸化を介して、小胞輸送・リソソームの制御に関与することから、本年度は、培養細胞を用いた生化学的解析(リソソーム免疫沈降によるLRRK2関連分子の単離)を中心に進めた。ハエモデルにおいては、グリアを介した神経炎症においてのLRRK2の役割の検討を進めた。さらに、パーキンソン病家系から新規LRRK2変異を同定し、これらの変異がLRRK2の機能に及ぼす影響をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに、晩発性パーキンソン病原因遺伝子LRRK2のショウジョウバエオルソログ(dLRRK)の活性喪失で、small GTPase Arl8が神経終末に異常蓄積することを見いだした。Arl8はシナプスで有芯小胞の輸送に関与することが示唆されるとともに、神経細胞体ではリソソームの動態にも関与する。パーキンソン病では、リソソームの活性が低下していること、LRRK2がリソソームストレスで活性化することも示唆されることから、本年度はヒト肺上皮由来A549細胞を用いて、リソソームストレス下、LRRK2シグナルに関与する分子の生化学的探索を実施した。具体的には、LRRK2ノックアウトA549細胞を作製し、LRRK2存在下、非存在下、リソソームストレスの有無でリソソーム免疫沈降を実施し、LRRK2シグナル分子を質量分析で同定した。得られた分子群は現在スクリーニング中である。また次年度の同定分子の機能解析にむけて、A549細胞、iPS細胞にLRRK2 I2020T変異を、新しく開発したゲノム編集でノックインした。 一方、LRRK2はミクログリアを介して、神経炎症に関与することも指摘されている。ショウジョウバエ脳において、神経炎症を再現する系を構築し、ヒトLRRK2 およびdLRRKの役割を評価した。dLRRKはミクログリアを介した炎症に関与することが示唆された。 さらに、パーキンソン病家系から見つかった7つの新規バリアントがLRRK2のキナーゼ活性、GTPase活性、複合体活性、微小管結合能に及ぼす影響を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
リソソームストレス下、LRRK2依存的にリソソームに集積する分子について、リソソーム免疫沈降の繰り返し実験により再現性を確認し、有意な分子を絞り込む。有意と判断される分子について、内在性LRRK2の発現が高いA549細胞およびiPS細胞から分化させたミクログリアとドパミン神経を用いて、機能アッセイを実施する予定である。得られた分子については、病態への関与を評価後、パーキンソン病の創薬標的としての可能性を、パーキンソン病病理サンプル(LRRK2変異症例を含む)を用いて評価する予定である。 同様に、LRRK2が活性化するリソソームストレス条件において、BMPやグルコシルセラミドを含む特定の脂質の増減がリソソームで認められるかどうか探索することも計画している。 パーキンソン病家系から見つかったLRRK2遺伝子の7つの新規バリアントについては、1症例の病理データも含め論文原稿としてまとめ、今年度末に投稿中である。
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