末梢動脈疾患の病態解明とモデル動物による新規治療の開発応用
Project/Area Number |
22K06970
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49020:Human pathology-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
羽尾 裕之 日本大学, 医学部, 教授 (40393243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大浦 紀彦 杏林大学, 医学部, 教授 (40322424)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 末梢動脈疾患 / 重症下肢虚血 / 粥状動脈硬化 |
Outline of Research at the Start |
末梢動脈疾患は、高齢化や透析患者の増加に伴って今後も罹患率が増えることが予想されている。しかしヒト末梢動脈は検体採取が困難で、これまで病理学的検討はほとんど行われていない。私たちはこれまで、剖検検体を用いて冠動脈や大動脈などの血管疾患の病態解明や画像診断の精度の検証、治療効果の評価などを行い、動物モデルで病態解明や新規治療法の開発を行ってきた。本研究では、重症下肢虚血により切断された下肢病理検体から末梢動脈を採取し、末梢動脈疾患の病理学的特徴を明らかにする。一方で世界に先駆けて末梢動脈疾患の新規動物モデルを開発し、画像所見と病理像との対比、非侵襲的・侵襲的な新規治療の開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では重症下肢虚血による切断肢の末梢動脈の病理組織学的変化を明らかにする為に重症下肢虚血の切断肢から末梢動脈(大腿動脈・膝窩動脈・前脛骨動脈・後脛骨動脈・腓骨動脈)を取り出した。自施設症例とともに、分担研究者の大浦からは切断肢から採取された血管検体が供与され、検討に十分な症例数の蓄積を行った。狭窄の程度を確認するために、Ex-vivoで血管造影を撮像した。さらに剥離した血管全体の軟線撮影を行い、血管壁における石灰化の程度や分布を見た。石灰化の面積については画像解析ソフトで定量評価を行った。生理的食塩水に血管を浸し、血管内超音波・光干渉断層法・血管内視鏡を用いてEx-vivoで血管内イメージングを撮影した。また、血管は10%緩衝ホルマリン固定24時間後に5mm間隔で水平断とし標本とした。これらの病理組織標本から狭窄度、内膜・中膜の性状、石灰化の程度や分布、内腔の狭窄機序(内膜肥厚、粥腫破綻、血栓塞栓、石灰化結節、びらんなど)、脂質沈着の程度などを検討した。また臨床的背景と病理組織像との対比を行った。さらに血管の解剖学的部位の違い(中枢側・末梢側、大腿動脈・膝窩動脈・前脛骨動脈・後脛骨動脈)による病理組織学的特徴を検討した。本研究成果は英文原著論文として現在投稿中である。 また末梢動脈疾患のモデル動物の作成を試みている。ウサギに高脂肪餌を与え、末梢動脈に血管傷害を与えると、軽度の内膜肥厚と脂質沈着が認められる。我々は本動物にさらに介入を加えたところ、内腔の高度狭窄や完全閉塞を伴った石灰化病変が観察された。本モデルで観察された血管病変は石灰化を伴った完全閉塞病変で、重症下肢虚血肢から採取された末梢動脈の病理像と類似していた。今後、再現性の確認を行って末梢動脈疾患のモデル動物の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
重症下肢虚血による切断肢の末梢動脈の病理組織学的変化を明らかにすることができた。臨床的背景と病理組織像との対比を行い、血管の解剖学的部位の違いによる病理組織学的特徴を検討できた。現在、この内容を英文原著論文として投稿中である。またウサギを用いて末梢動脈疾患のモデル動物の作成を試み血管完全閉塞モデルの作製に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は以下の動物実験を主に行っている。第一のモデル動物として、家兎の高脂肪餌による飼育下で末梢動脈に対しバルーンカテーテルによる内膜傷害を行うものである。内膜傷害に加えて我々が新規で検討している薬剤の介入を行うことで、高度動脈硬化病変による末梢動脈の閉塞病変の作成を試みる。現時点で一部の個体において、ヒト末梢動脈疾患の病理組織像と非常に類似した高度の石灰化や高度狭窄病変が認められた。さらに今後は病変形成の再現性について検討し、本モデルを末梢動脈疾患のモデル動物として世界で初めて確立する。本病変の病理組織学的変化を明らかにし、ヒト末梢動脈モデルとしての適性の有無について検証する。モデル確立後においては、末梢動脈疾患に対する抗血小板薬や抗凝固薬などの薬剤の治療効果について検討する。 第二のモデル動物として、マイクロミニブタを用いた検討である。高脂肪餌によってマイクロミニブタは動脈硬化性変化が出現することが知られている。本動物に対して末梢動脈にステント留置を行い、一定期間後にステント内に形成された新生内膜に対して薬剤コーティッドバルーンにて治療を行うものである。末梢動脈疾患におけるステント治療後の再狭窄病変に対する治療効果を検討する。バルーン治療前後で光干渉断層法及び血管内視鏡にて血管内イメージング画像を撮影し、病変の画像的な評価を行う。これらの画像と摘出された末梢動脈から作成した病理組織切片の所見を対比する。末梢動脈疾患の再狭窄病変における治療戦略の一つとして、薬剤コーティッドバルーンによる治療効果を病理組織学的に検証する。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)