Project/Area Number |
22K07010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49030:Experimental pathology-related
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
浅井 直也 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80273233)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 膵癌 / 細胞動態 / ヒトiPS細胞 / 癌モデル / 癌幹細胞 / 3D培養 / ミトコンドリア機能 / 膵がん / 浸潤 / 細胞運動 / 遺伝子改変動物 |
Outline of Research at the Start |
本研究では「膵癌の発生と進展のメカニズムの解明」を目標に、申請者が研究テーマとするGirdin遺伝子に着目して“癌幹細胞”と“癌浸潤”を焦点として解析を行なう。実験にはヒト癌を忠実に模倣するKPC膵癌マウスを用いる。間質が豊富な膵癌組織は、癌細胞の個々の細胞を追跡するのに適しており、鶏有精卵への腫瘍移植系を用いてライブイメージングを行い、癌幹細胞の動態や癌細胞の浸潤を解析する。また、ジフテリア毒素による細胞除去法を応用し、癌幹細胞の新生とニッチ環境との関連性について検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度の結果より、マウスの発癌実験系ではなくヒト癌細胞を用いた研究が妥当であるとの方針を立てた。各種のヒト膵癌細胞株を取り集めてsphere培養を行うと共に、文献・データベースにて調べるなど細胞株の特性について検討を行ったが、ほとんどの細胞株は低分化腺癌の特性を呈していた。臨床的にヒト膵癌は明瞭な線管を形成すると共に豊富な繊維性間質を伴う高分化腺癌の組織像を呈することが特徴である。本研究では、膵癌における細胞動態の解析を目指しており、分化度の低い癌細胞株の使用は不適当と考えられた。 ヒト膵癌に高頻度に見られる遺伝子変異は、Big4と呼ばれるKRAS、TP53、CDKN2A、SMAD4の4つで、別遺伝子の変異が重なることで分化度が低下すると考えられる。マウスにTP53変異とKRAS変異を導入したKPCマウスでは高分化度な膵癌が発生する。KPCマウスから得られた腫瘍をマトリゲル中でオルガノイド培養すると細胞塊に腺腔を有する球状・風船状の癌組織を形成するが、コラーゲンゲル中で培養すると枝状に分岐する管腔構造を形成し、ヒト癌により近い組織像を呈した。この結果から、変異数が少ない癌細胞を用いることで分化度の高い膵癌の解析が可能と考えられた。 膵組織の内分泌腺からはインスリンが分泌されることから、糖尿病の治療を目的としてiPS細胞から膵組織を作り出す研究が盛んに行われており、膵組織への分化誘導について多くの試みがある。ヒトiPS細胞にKRAS、TP53、CDKN2A、SMAD4の変異を組み買わせて導入し、膵組織に分化誘導する事で膵癌モデルを構築する方針を立て、プロトコールの検討と準備を進めている。また、膵癌の間質を構成する癌関連線維芽細胞との共培養を目指して、iPS細胞からの分化誘導についても準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵癌の細胞動態に関する研究を実施するため、様々なモデル系での検討を行った結果、1)マウス腫瘍ではなくヒト腫瘍を用いることが必要、2)ヒト膵癌に類似した組織を形成する高分化な癌細胞を用いることが必要、3)ヒト膵癌に類似する組織構築を導く適切な培養法を確立することが必要、といった3条件をクリアする事が大切と考え、実験計画の修正を行っている。 上記の1)と2)の条件についてはヒトiPS細胞から膵癌モデルを作成する方針を立てて実施に取り組んでいる。膵癌に関連する遺伝子変異を組み合わせて導入した複数の膵癌モデルを比較する事で、癌での事象と遺伝子変異との関連を特定することができる利点がある。 3)については豚膀胱間質による3D培養法を行うと共に、膵癌の間質を構成する癌関連線維芽細胞との共培養を目指して、iPS細胞からの分化誘導についての準備を進めている。 ヒトiPS細胞を用いることでヒト膵癌の臨床に即した独自性の高い研究成果を得ることが可能となるので、研究全体として正しい方向へと進むことは出来ていると考えているが、修正に時間が掛かってしまったことから、進捗状況としてはやや遅れ気味と自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトiPS細胞にKRAS点変異、TP53欠損、CDKN2A欠損、SMAD4欠損の4遺伝子変異を組み合わせた導入を行う。遺伝子変異が膵組織への分化誘導を妨げる場合には、Cre/loxPシステムによる時期特異的ノックイン/アウトを行う予定であり、TMX投与にて活性化するCreERT2遺伝子と蛍光レポータ遺伝子を、遺伝子導入による影響の少ないAAVS1セーフ・ハーバー領域に導入することを検討している。遺伝子の導入にはCrispr-Cas9による標的遺伝子座へのノックインを行うことを計画している。蛍光レポータ遺伝子として細胞膜とヒストンを標識する赤色蛍光蛋白を用いる事で、個々の細胞形態と細胞分裂を観察することを可能となる。 分化誘導したiPS細胞由来の膵導管細胞を器官培養するため、マトリゲルおよびコラーゲンゲルを用いた3Dオルガノイド培養、膵臓の器官培養に適している膀胱間質組織を行う。また、癌組織と癌周囲環境の相互作用を解析するため、ヒトiPS細胞から誘導した膵星細胞もしくは膵癌由来の癌関連線維芽細胞との共培養、免疫不全マウスへのin vivo移植を行う。培養組織に対して各種の分化マーカーによる免疫染色、増殖・アポトーシスの検索などの組織学的解析を行う。
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