Project/Area Number |
22K07028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49030:Experimental pathology-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢野 智樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (20546121)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | オルガノイド / 細胞間接着 / 形態形成 / NASH / NAFLD |
Outline of Research at the Start |
肝臓は人体の生命維持において非常に多岐に渡る機能を有していることから、病気などにより肝臓の機能が失われると人は生命の危機にさらされる。肝機能低下に繋がるものの一つとして非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) があり、NASHは繊維化が進行し肝硬変や肝ガンとなる危険性を孕んでいる。今日まで正常肝からNASHへと進行する原因は不明な点が多いことから、本研究はこの原因を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
肝臓は人体の生命維持において非常に多岐に渡る機能を有していることから、病気などにより肝臓の機能が失われると人は生命の危機にさらされる。肝機能低下に繋がるものの一つとして非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)が挙げられる。NAFLD には単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) が含まれ、NASHは繊維化が進行し肝硬変や肝ガンとなる危険性を孕んでいる。今日まで正常肝からNAFLDへ、また単純性脂肪肝からNASHへと進行する直接の原因は不明な点が多く残されていることから、本研究はこの原因を明らかにすることを目的とした。本研究の目標達成のためにヒト肝臓オルガノイドを使用するが、これまでに報告されているヒト肝オルガノイドはオルガノイド樹立からの培養期間が2,3ヶ月ほどであり、非常に短期間である。また、このヒト肝オルガノイドにおける代謝や糖新生、解毒作用などの肝臓機能についても非常に乏しい。そこで、本研究を進めるにあたり、長期間培養可能であり、且つ、高度に分化し肝機能を再現するようなヒト肝オルガノイドの開発に着手した。その結果、ヒト肝オルガノイド樹立から半年以上とこれまでの報告に比べて非常に長期培養が可能な培養条件を見出すことに成功した。また、肝臓の機能を非常によく再現するような培養条件も見出すことに成功した。さらに、これまで報告されていない新たなオルガノイド樹立方法を開発した。このような培養方の開発や樹立法の開発をそれぞれまとめた論文を投稿中である。これらの成果に加えて、現在では、正常肝細胞が取りうる形態と肝細胞腺腫の取りうる形態とを制御できるような培養方法を開発しており、この培養方法を用いて肝細胞腺腫へと形態変化をライブイメージングにより解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝臓は人体において皮膚に次いで大きな臓器であり、重さは成人で1kgを超える。大きさもさることながら、肝臓は代謝や糖新生、解毒作用など人体の生命維持において非常に重要な機能を数多く有している。故に、肝臓の機能低下は生命の危機に関わる。肝炎ウィルスなどの感染メカニズムが解明され、治療が大きく改善されてきた一方で、非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)などの肝臓の代謝機能低下による重度の肝疾患への進行を防ぐことは未だに至ってはいない。この問題へのアプローチには初代ヒト肝細胞が用いられるが、非常に高価であるうえに、培養により増殖させることができないため、安定的な供給がままならず研究に用いられることには大きな制限がある。そこで、初代ヒト肝細胞から高度な分化能を有したヒト肝オルガノイドが樹立でき、さらに長期培養が可能になれば、この制限を解くことになるので、ヒト肝オルガノイドの長期培養条件の検討を行った。これまで報告されているヒト肝オルガノイドの培養は長くとも2、3ヶ月ほどであり、分化能が低く肝機能を再現しているとは言いづらいものであった。我々は肝がんが増殖できる理由を解明することで、その増殖条件を正常ヒト肝オルガノイドの培養条件に加えることで長期培養できるのではないかと考えた。その結果、世界で誰も成し得なかったヒト肝オルガノイドの長期培養方法を開発することに成功した。また、トランスクリプトーム解析することで、高度に分化するようなヒト肝オルガノイド培養条件を見出すことにより、高度分化培養条件の開発することに成功した。さらに、これまで報告されていない新たなオルガノイド樹立方法を開発した。また、現在、これまで報告されたことのないヒト肝細胞オルガノイドのライブイメージング取得の試行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこのヒト肝オルガノイドを使用し、糖新生、尿素回路、薬物代謝、脂質合成、胆汁酸分泌など重要な肝機能について検討を行う。さらに、ヒト肝オルガノイドにゲノムワイド関連解析 (GWAS)によってNAFLD及びNASHに関与していると予測された遺伝子群を各々ゲノム編集により遺伝子変異を導入し、ヒト肝オルガノイドの形態的・機能的変化を標識試薬により簡便に観察しスクリーニングする。観察によりヒト肝オルガノイドに形態的・機能的な変化が見られた遺伝子についてさらに詳しく解析し、正常肝かNAFLDへ、また単純性脂肪肝からNASHへと進行する直接の原因を明らかにしていく予定である。これらの解析に加えて、ヒト肝細胞オルガノイドのライブイメージングに取り組んでおり、新たに開発した正常肝細胞が取りうる形態と肝細胞腺腫の取りうる形態とを制御できるような培養方法をライブイメージングにより肝細胞腺腫へと形態変化を解析していく予定である。
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