骨髄微小環境におけるSiglec-15 を介した多発性骨髄腫の病態進展機序の解明
Project/Area Number |
22K07031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49030:Experimental pathology-related
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石橋 真理子 日本医科大学, 医学部, 講師 (20599047)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 多発性骨髄腫 / 腫瘍微小環境 / Siglec-15 / 抗腫瘍免疫抑制 / 抗腫瘍免疫 / 骨病変 |
Outline of Research at the Start |
多発性骨髄腫は、複数の遺伝子異常の蓄積だけでなく、骨髄微小環境における骨髄腫細胞(腫瘍細胞)、免疫細胞、破骨細胞、ストローマ細胞等の細胞間相互作用が病勢進行に強く関与しているとされている。骨髄腫の治癒に向けて、これら複雑な細胞間相互作用を理解し、骨髄微小環境を改善することが必要である。糖鎖認識ドメインを持つSiglec family分子のSiglec-15が骨髄腫細胞に発現し、骨髄腫症例において発現量が予後に関連していることを見出した。本研究では、骨髄微小環境においてSiglec-15が、骨髄腫細胞の悪性化、抗腫瘍免疫抑制、骨病変の促進にどのように関与するのか解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
Siglec family分子はシリアル酸結合免疫グロブリン様レクチンであり、自然免疫など関わる糖鎖認識タンパク質である。ヒトのsiglec family分子14種類のうち、特にSiglec-15は多発性骨髄腫の骨髄腫細胞(腫瘍細胞)に高発現しており、Siglec-15を高発現する骨髄腫患者は有意に予後不良であることを以前に明らかにした。このことから、骨髄腫においてSiglec-15発現の骨髄腫細胞が病態進行に関与すると推察され、解析を行った。骨髄腫細胞上のSiglec-15は、骨髄腫細胞の増殖能の亢進には関与しなかったが、in vitroにおいてT細胞免疫を抑制した。更に、抗Siglec-15抗体の阻害により、T細胞の活性は回復した。また、Siglec-15は、マクロファージや破骨細胞にも発現していることが報告されている。骨髄腫細胞と共培養したマクロファージにおいて、直接的な相互作用によりSiglec-15の発現が強く誘導された。また、破骨細胞の分化に伴い、Siglec-15の発現が誘導されていた。このことから、骨髄腫細胞上のSiglec-15は免疫抑制分子の機能があると推察された。一方で、マクロファージや破骨細胞が発現しているSigelc-15は、骨髄の免疫微小環境に与える影響は不明であるため、マクロファージや破骨細胞におけるSiglec-15の機能について解明中である。更に、骨髄腫マウスモデルを使用し、骨髄微小環境のSiglec-15の機能の解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄腫細胞に発現するSiglec-15はT細胞免疫を抑制し、抗Siglec-15抗体によりその抑制は解除された。また、マクロファージや破骨細胞は骨髄腫細胞との共培養により、Siglec-15の発現が強く誘導された。現在は骨髄腫マウスモデルを使用し、骨髄内おける骨髄腫細胞の増加に伴い、それぞれの細胞のSiglec-15の発現がどう変化するか解析中である。また、骨髄腫マウスモデルに抗Siglec-15抗体の投与による骨髄微小環境の変化の解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) マクロファージと破骨細胞におけるSiglec-15の機能解析: 骨髄腫細胞と共培養した時に、Siglec-15を介したマクロファージの特性変化(マクロファージの極性、サイトカイン産生能、免疫活性または抑制)を解析する。解析には、Siglec-15ノックダウンシステム、または、抗Siglec-15抗体を使用する。同様に、Siglec-15を高発現した破骨細胞が免疫に与える影響に関して解析を行う(in vitro)。 (2) Siglec-15が骨髄微小環境に与える影響の解析: 骨髄腫マウスモデルを用いて、骨髄内の腫瘍量の増加に伴い、骨髄腫細胞、マクロファージ、破骨細胞のSiglec-15の発現がどう変化するフローサイトメトリー等を用いて解析する。更に、抗Siglec-15抗体投与により、骨髄微小環境下においマクロファージ・樹状細胞、T細胞等の免疫細胞の割合、活性化、増殖能、破骨細胞に違いが出るのか検討を行う(in vivo)。また、骨髄微小環境下での細胞間相互作用を明らかにするため、大腿骨組織を脱灰し、免疫組織蛍光染色で検討する。 (3) Siglec-15のリガンドの解明: Siglec-15のリガンドが不明なため、骨髄腫細胞、マクロファージ、破骨細胞、また、T細胞のそれぞれの蛋白抽出液と組換え蛋白Siglec-15-Fcを用いた免疫沈降法・質量分析にて、Siglec-15に結合するリガンドを同定する。 これら解析にて、骨髄腫おいてSiglec-15が抗腫瘍免疫抑制と骨病変促進などによる骨髄微小環境異常を誘導する機構を解明し、骨髄腫の新たな治療標的の礎となるべく、本研究をさらに推進する。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)