Project/Area Number |
22K07052
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
久留島 潤 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50636488)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | 腸球菌 / プラスミド / 接合伝達 / 合成生物学 / 遺伝学 / 遺伝子水平伝播 / 薬剤耐性 / VRE / レポーター / イメージング / 細菌感染症 |
Outline of Research at the Start |
複数の抗菌薬に高度な耐性を示す多剤抗菌薬耐性菌による感染症は、「静かなパンデミック」と呼ばれ世界的に懸念されている。本研究では、薬剤耐性を付与する遺伝子が接合伝達性プラスミドを介して細菌種間を伝播する仕組みについて基礎的な研究を行う。具体的には、細菌自身の細胞の細胞分裂や染色体ゲノムの複製と薬剤耐性プラスミドとの協調的制御機構に必要な因子を網羅的に同定し、それらの時空間動態を定量的イメージング法によって分析する。本研究の成果から、細菌の進化に関する基礎生物学的な知見が得られるとともに、薬剤耐性菌の新規制御法の創出に向けた分岐基盤となることが期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
腸球菌(Enterococcus spp.)流行株の間で拡散している薬剤耐性プラスミド(pMG1型およびpELF1型プラスミド)の細胞内動態を解析するために、前年度に整備した遺伝学的技術的基盤を利用して各遺伝子機能の解析を中心に行った。加えて今年度は、蛍光タンパク質ならび生物発光タンパク質によるレポーター系の腸球菌に最適化を完了した。 独自に構築した塩基配列欠損導入法により、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)E. faecium KUHS13株の遺伝子Xの欠失体を作成したところ、高頻度接合伝達性バンコマイシン耐性プラスミドpELF2(pELF1型プラスミド)の接合伝達能を完全に失うことを見出された。KUHS13の保有するpELF2は、典型的な腸球菌の環状構造伝達性プラスミドとは異なり、直鎖状構造のプラスミドであり、既知の接合伝達遺伝子や複製に関わる配列が見出されていない。今回同定した新規接合伝達遺伝子XについてもpELF2および同型の直鎖状プラスミドファミリーに特異的な遺伝子であり、未だまったく明らかにされていない腸球菌直鎖状プラスミドの接合伝達機構の解明につながるものである。 pMG1型プラスミドであるpHTbetaの接合伝達に関わる遺伝子発現調節機構を明らかにするために、接合伝達能が低下する変異体であるpHTbeta_traD欠失体と接合伝達能が上昇する変異体であるpHTbeta_traF欠失体のトランスクリプトームプロファイルを比較解析を行なった。その結果、各遺伝子欠損により相反する影響を受けるプラスミド上の転写発現領域が見出され、pMG1型プラスミド特有の接合伝達制御に関与することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部改良の余地があるものの、おおむね必要な技術基盤の構築が完了した。また、実際に新規遺伝子の同定が達成できたことから、研究の総まとめに向けての道筋を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
pELF1型のpELF2プラスミドについて、遺伝子Xの接合伝達における役割を明らかにするために、独自に開発した染色体組み込み型のIPTG誘導発現カセットを用いて、遺伝子X欠損の相補実験を進めている。また、RNA-seqおよびバイオインフォマティクス解析により、遺伝子Xが複数の遺伝子を含むオペロン内に含まれていることを明らかにした。同オペロン内の遺伝子の接合伝達への寄与を調べるために欠損株を構築中である。また、上記の構築したレポーター系を用いて、生細胞における各種因子と遺伝子Xとの相互作用を中心に解析を進めていく予定である。 pMG1型のpHTbetaについても本年度に構築した遺伝子導入系を誘導発現系を用いて、既知の機能不明接合伝達因子の蛍光融合体を構築して細胞内動態の解析を進める予定である。
|