Research on the conversion mechanism from VBNC to culturable in pathogenic bacteria
Project/Area Number |
22K07064
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
|
Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
濱端 崇 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 細菌感染研究室長 (40311427)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 充敏 国立感染症研究所, 細菌第二部, 室長 (20646624)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | VBNC / コレラ菌 / ウルセランス菌 / 培養可能 / カタラーゼ / ジフテリア菌 |
Outline of Research at the Start |
細菌が「生きているが培養できない(Viable but nonculturable; VBNC)」状態からいかなるメカニズムで培養可能状態に転換するのかは全く不明である。本研究ではグラム陰性菌であるコレラ菌とグラム陽性菌であるジフテリア菌/ウルセランス菌をカタラーゼ添加によりVBNC状態から培養可能状態に転換させ、その過程での遺伝子発現を解析することにより、それぞれの菌がVBNC状態から「目覚め」、培養可能状態に転換する際の遺伝子調節メカニズムの解明を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではグラム陰性のコレラ菌とグラム陽性のウルセランス菌を用い、「生きているが培養できない(VBNC)」状態から培養可能(Culturable)状態への転換(以下VC転換)に関与する遺伝子を探索・解析し、この転換機構の解明を目指す。 カタラーゼ添加によるVC転換の2h後から発現上昇するコレラ菌の2成分制御系オペロンpspABCおよびrpoE-rseAがVC転換に強く関与していると仮定し、これらの単独および二重欠損株を作製した。発現の消失はRT-qPCRで確認した。これらを野生株(WT)と共に低温低栄養で保存すると、rpoE欠損株が最も早く約60日でVBNC化したが、psp欠損株および二重欠損株は約90日かかり、rpoE欠損をpsp欠損がレスキューするような現象が観察された。またVBNC化した二重欠損株にカタラーゼを作用させると、VC転換は野生型と同様に起こることがわかった。 VBNC化したウルセランス菌にカタラーゼを添加し、経時的にBHI寒天培地に播種しVC転換を調べたところ、0hでもコロニーが形成されたが、これは播種の際にカタラーゼが混入しているためであることが判明した。そこでカタラーゼ添加後、BHI寒天培地に播種する際にカタラーゼの阻害剤である3-amino-1,2,4-triazole(3-AT)を混合し、播種後のカタラーゼの作用を抑制する系を構築し解析したところ、3-AT存在化では20h以降に急激にコロニーが出現した。したがってウルセランス菌ではカタラーゼ添加後20hまでの遺伝子発現がVC転換に関与していることが示唆された。現在、カタラーゼ添加後0, 6, 12, 18, 24h後でBHI寒天培地に播種およびサンプリングを行い、カタラーゼ反応性とVC転換効率の好適なVBNCを選抜し、RNA-seqによる遺伝子発現解析に向けてRNAサンプルを調整中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はコレラ菌のpspA欠損株を用いてVC転換を解析していたが、その株ではpspBCは欠損していないことがわかったため、今年度は新たにpspBCの欠損株を作製し、RT-qPCRで発現が消失したことを確認し、rpoEとの二重欠損株も作製した。二重欠損株でもカタラーゼによるVC転換が起こったことから、VC転換のマスター遺伝子がこれらの他にある、あるいは複数存在していることがわかった。 しかしrpoE単独欠損株、psp単独欠損株、およびrpo-psp二重欠損株のVBNC化のプロファイルから、これらの遺伝子が何らかのメカニズムに関与している可能性は高いと考えられた。特にrpoE欠損株のVBNC化がpsp欠損を持たせ二重欠損にすると遅くなるという現象は極めて興味深く、より複雑なシグナル伝達系の存在を示唆するものと考える。 ウルセランス菌については、昨年度は培養条件を30度、3日と決定したが、コロニーサイズにばらつきが大きく3日では小さなコロニーを見逃す可能性があるため、4日に延長した。またカタラーゼ添加後BHI寒天培地に播種する際のカタラーゼの持ち込みを抑制する方法の検討なども行なったためプロトコールの確立に時間を要したが、カタラーゼの阻害剤である3-ATをBHI寒天培地に播種する際に混合することで、VC転換の経時的条件の観察が可能になった。現在はこの系を用いて、カタラーゼ刺激によるVC転換効率のよいロットを1週間ごとに作成しているウルセランス菌のマイクロコズムから選抜しながらRNA調整のためのサンプリングを行っている。全体的に進捗状況はおおむね計画通りであると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
コレラ菌においては、rpoE単独欠損株、psp単独欠損株、およびrpoE-pspA二重欠損株のカタラーゼ添加によるVC転換時の遺伝子発現プロファイルを、野生株とも比較し細菌学的およびRT-qPCRやRNAseq等の分子生物学的手法を用いて詳細に検討する。Quorum Sensing(QS)系とVBNCとの関連については、本研究で使用している野生株O395がhapR欠損であるため、プラスミドでhapRを形質転換した株を用いて解析を続けている。現在はカタラーゼ反応性の良い好適なVBNCロットを得るためスクリーニングを続けているが、好適なロットが得られれば同様の手法を用いて、特にVC転換のプロファイル、またVC転換時のhapRを含むQS関連遺伝子、さらにQSの制御に関与していると言われているsmall RNAの挙動については詳細に解析し、QSのシグナル経路とのVBNC化やVC転換との関連の有無を明らかにする。 ウルセランス菌については、現在進めているVC転換時の菌のRNAを調整し、RNAseqにより解析し、VC転換に関与する遺伝子の特定を進める。すでに論文発表しているコレラ菌およびジフテリア菌のVC転換時における遺伝子発現プロファイルとも比較解析し、グラム陰性菌とグラム陽性菌のVBNC化ならびにVC転換のメカニズムの差異について検討する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)