Project/Area Number |
22K07068
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
紙谷 尚子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (40279352)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | ピロリ菌 / CagA / PAR1b / BRCA1 |
Outline of Research at the Start |
日本人の胃癌患者の99%は、cagAと呼ばれる遺伝子を持つCagA陽性ピロリ菌の慢性感染によって発症する。ピロリ菌は菌体内で産生したCagA蛋白質を胃上皮細胞内に直接注入する。申請者は、CagAがPAR1bを抑制することによりBRCA1の核移行を阻害し、胃上皮細胞の遺伝子にDNA二本鎖切断を誘導することを見出した。本研究では、CagA依存的な胃発癌の背景にあるBRCA1核移行抑制の分子機序を解明する。先行研究で、PAR1b以外のキナーゼ によるリン酸化もBRCA1の核移行に必要であることが明らかとなった。そこで、責任キナーゼを同定し、CagAがキナーゼ活性に与える効果を解析する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ピロリ菌はcagA遺伝子を保有する菌株と保有しない菌株に大別されるが、日本人の胃から採取されるピロリ菌は、ほぼ100%cagA陽性株である。cagA陽性ピロリ菌は、菌体内で産生したCagA蛋白質をヒト胃上皮細胞内に注入する。胃上皮細胞内に侵入したCagAは、上皮細胞極性の形成・維持に必須の役割を担うPAR1bに結合し、そのキナーゼ活性を抑制することで上皮細胞極性を破壊する。同時に、CagAはPAR1bを抑制することによりBRCA1の核移行を阻害し、ゲノム不安定性を誘導する。先行研究において、PAR1b以外のキナーゼによるBRCA1のリン酸化もまたBRCA1の核移行に必要であることを見出した。そこで本研究では、ヒトのキナーゼを標的としたsgRNAライブラリを利用し、BRCA1をリン酸化する責任キナーゼを同定し、CagAがキナーゼ活性に与える効果を解析する。 本研究では、BRCA1の核移行を評価する実験系を構築した。相同組換え修復レポーター(HR-GFP)は、制限酵素I-SceIにより生じたDNA二本鎖切断(DSB)が相同組換えによって修復された場合にのみGFPを発現するレポーターベクターである。核内BRCA1は相同組換えに必須であることから、BRCA1が核移行した細胞はGFP陽性となる。そこで、ヒト胃上皮細胞由来のAGS細胞を用いて、HR-GFPを安定発現するとともにTet-onシステムでI-SceI-RFPを誘導発現する安定発現細胞株を作製した。この安定発現細胞にsgRNAライブラリを導入し、ドキシサイクリンの添加によりDSBを誘導した。DSBが相同組換えによって修復されるとGFP陽性となるが、BRCA1の核移行が阻害された細胞ではGFP陰性となる。細胞からゲノムを抽出し、次世代シーケンサーによりGFP陰性細胞に特異的なsgRNA配列を解析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
sgRNAライブラリのスクリーニングでは、GFP陰性細胞に特異的なsgRNA配列を解析し、BRCA1をリン酸化する候補キナーゼの同定を目指している。スクリーニング結果から、複数のキナーゼが候補として挙がった。そこで、候補キナーゼについて特異的siRNAを用いたノックダウン実験を行い、免疫染色によりBRCA1の細胞内局在を解析している。また、候補キナーゼの特異的阻害剤を入手可能な場合には、阻害剤についても検討している。しかしながら現時点では、BRCA1をリン酸化する新規キナーゼの同定には至っていないため、やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、候補キナーゼの特異的siRNAならびに特異的阻害剤を使用した検証実験を行い、BRCA1をリン酸化するキナーゼを同定する。キナーゼXを同定した後は、AGS細胞以外のヒト胃上皮細胞(MKN28細胞、GES-1細胞、KatoIII細胞など)においても、キナーゼXがBRCA1の核移行を制御することを検討する。また、PAR1bとキナーゼXがBRCA1の核移行において、協調的に機能する可能性を研究する。さらに、cagA陽性ピロリ菌感染がキナーゼXに与える影響を解析する。
|