Project/Area Number |
22K07070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三好 伸一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (60182060)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ビブリオ / 温度センサー / トランスポゾン |
Outline of Research at the Start |
敗血症等の重篤な感染症の原因となるビブリオ・バルニフィカスは、リラックス型細胞として夏季の海水(20-30℃)に広く分布し、食用の魚介類を汚染している。そして刺身や寿司の喫食によって生体内(37℃)に取り込まれ、緊張型細胞となり感染症を起こす。すなわち、この病原細菌は温度変化を正確に感知する温度センサーシステムを備えている。 本研究では、温度センサーシステムを構成する蛋白質をトランスポゾン変異法によって同定する。さらには、変異株のプロテオーム解析や構成蛋白質のバイオインフォマティクス解析によって、それぞれの構成蛋白質の機能を解明し、それらを標的とする新たな感染症制御策を考案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
汽水から海水に生息するビブリオ・バルニフィカスは、26℃(夏季の海水温)ではプロテアーゼVvsAを大量に生産・分泌するが、37℃(ヒトの体温)ではVvsAを殆ど生産・分泌しない。つまり、この細菌は環境温度を感知するセンサーシステムを備えている。 温度センサーシステムの構成蛋白質の探索のため、平成5年度もトランスポゾンTn10挿入変異株ライブラリーから、37℃でも十分量のVvsAを生産する変異株を選抜し、個々の変異株について、Tn10が挿入された遺伝子を同定する研究を継続した。変異株をスキムミルク加平板培地に接種し、37℃でもVvsAを生産しスキムミルクを分解する変異株を8個選抜した。次に、vvsAの発現量(mRNA量)を測定した結果、7個の変異株では37℃でも十分に発現していることが示された。さらに、genome walking法を用いてTn10が挿入された遺伝子を同定し、その発現量を26℃と37℃で測定した。その結果、3個の変異株では、温度に関係なく、遺伝子を高発現していることが確認された。したがって、3つの遺伝子の産物は、高温(37℃)への温度シフトを感知するセンサー蛋白質であると推察される。 令和5年度は、26℃でもVvsAを生産しない変異株の探索も行い、結果として8個の変異株を選抜した。そのうち、5個についてはTn10が挿入された遺伝子を同定すると共に、その遺伝子が26℃でも十分に発現されていることを確認した。したがって、同定された5つの遺伝子の産物は、低温(26℃)への温度シフトを感知するセンサー蛋白質であると推察される。 温度センサーシステムは、多種類の蛋白質の生産を協調的に調節していると考えられる。よって、令和6年度には、トランスクリプトーム解析を行い、令和5年度に同定した8個の蛋白質が、温度センサーを構成していることを検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、3つの研究項目を同時並行的に実施することを計画している。 4年間の研究期間の2年目にあたる令和5年度は、「研究項目1:温度センサーシステム構成蛋白質候補の抽出」及び「研究項目2:温度センサーシステム構成蛋白質の同定」について研究を行った。両研究項目については、計画に従って順調に進展している。しかし、「研究項目3:温度センサーシステム構成蛋白質の機能解析」については、未だに研究に着手できていない。よって、総合的には「(3)やや遅れている」と判断した。 研究項目2に関して、当初の計画では、遺伝子の発現量(蛋白質の量)を電気泳動法で観察する予定であった。しかし、遺伝子の発現量に関する定量的、かつ網羅的なデータを得るため、トランスクリプトーム解析法に変更することとした。この計画変更によって、研究項目2の研究のみならず、研究項目1の研究も加速される。さらに、令和6年度の早期に、研究項目3の研究にも取りかかることができるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究項目1:温度センサーシステム構成蛋白質候補の抽出」に関しては、目的とする変異株の選抜を継続し、令和6年度には、温度センサーシステムを構成する蛋白質候補の抽出作業を完了する。 「研究項目2:温度センサーシステム構成蛋白質の同定」に関しては、研究項目1で選抜した変異株の各々について、トランスクリプトーム解析を行い、その結果を野生株のものと比較する。この比較研究において、Tn10が挿入された遺伝子の産物が、多数の遺伝子の発現を網羅的に調節していることが明らかになれば、それが温度センサーシステムを構成する蛋白質であると結論できる。 「研究項目3:温度センサーシステム構成蛋白質の機能解析」に関しては、研究項目2で同定した蛋白質の各々について、常法のバイオインフォマティクス解析を行い、機能モジュールや機能発現に必須のアミノ酸残基に関する情報を取得する。そして、各々の蛋白質が環境温度の変化を感知する仕組みについて考察する。
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