中枢神経系細胞における新型コロナウイルス持続感染機構の解析
Project/Area Number |
22K07086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49060:Virology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村本 裕紀子 京都大学, 医生物学研究所, 助教 (70436567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永樂 元次 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (40415097)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | SARS-CoV-2 / 新型コロナウイルス |
Outline of Research at the Start |
新型コロナウイルス SARS-CoV-2 は、患者に重篤な肺炎を含む呼吸器症状だけでなく、嗅覚/味覚障害や頭痛、重症例では急性脳症や意識障害などの神経症状を引き起こすこともある。また、新型コロナウイルス感染症から回復した後、長期的に続く後遺症も報告されている。しかし、中枢神経系細胞におけるSARS-CoV-2の感染機構や増殖機構は未だ不明である。本研究では、人工的に分化誘導して作製した器官類似体であるヒトオルガノイドにSARS-CoV-2を感染させて、中枢神経系細胞へウイルス感染機構や増殖機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2019年末から流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主な症状は上気道炎などの呼吸器症状であり、高齢者や基礎疾患患者では重篤な肺炎や呼吸困難を起こす。一方で、嗅覚/味覚障害や頭痛など、さまざまな神経障害を伴う症例が多数報告されている。特に、COVID-19から回復した後の長期的な後遺症(Long COVID)として、嗅覚/味覚障害、眩暈や記憶障害、ブレインフォグなど、神経障害が長期に続く例が多数報告されている。COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)は、鼻腔や肺などのヒト呼吸器組織で効率よく増殖する。加えて、in vitroにおいて神経系培養細胞や脳オルガノイドに感染すること、また、COVID-19感染により亡くなった患者の皮質ニューロンにおいてもウイルス抗原が認められたことから、神経指向性があるとも考えられる。つまり、SARS-CoV-2の中枢神経系細胞への感染がヒトの神経障害の発症の要因の1つと考えられるが、SARS-CoV-2の中枢神経系細胞への感染メカニズムだけでなく、中枢神経系細胞における増殖機構やそれに対する宿主応答については十分には理解されていない。私たちはこれまでにSARS-CoV-2が中枢神経系細胞に感染し、増殖することを確認している。そこで、SARS-CoV-2が中枢神経系細胞に感染・増殖するために関与する宿主側の要因およびウイルス要因を明らかにする目的で研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SARS-CoV-2が中枢神経系細胞に感染することは示されているが、どのような経路でどのような宿主因子を利用して中枢神経系細胞に感染するかは未だ不明である。これまでに、SARS-CoV-2の感染・増殖にはメイン受容体Angiotensin converting enzyme 2 (ACE2)や表面糖蛋白質Sの開裂に働く宿主プロテアーゼ、加えてその他の宿主因子の関与が予想されているが、中枢神経系細胞感染における各宿主因子の重要性はほとんど明らかにされていない。そこで今年度は、これら宿主因子数種類を選択し、それぞれをノックアウトしたオルガノイドの作出を試みた。まず、Crispr-Cas9を用いてゲノム編集を行い、ヒトES細胞から各宿主因子遺伝子を欠損させた。そして遺伝子欠損細胞からゲノムDNAを採取し、宿主因子領域上流および下流のプライマーを使用してPCRを行い、ゲノムから宿主因子遺伝子が欠損されたことを確認した。そのヒトES細胞を用いて分化誘導を行い、オルガノイドを作出した。現在、オルガノイドで宿主因子が発現していないことを蛋白質レベルで確認しているところである。蛋白質レベルで宿主因子が発現していないことを確認できたら、SARS-CoV-2感染実験に使用する。したがって、順調に研究が進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、中枢神経系細胞に感染する際に重要な宿主因子を同定することを目的として、作出した宿主因子欠損オルガノイドにSARS-CoV-2を感染させ、ウイルスの増殖性を調べる計画である。ウイルス増殖が著しく抑制された場合には、該当の宿主因子がSARS-CoV-2の感染や増殖に重要であると考えられる。ウイルスが多少でも増殖した場合には、オルガノイドの免疫組織化学染色や発現解析により感染細胞を検出して細胞種を推定し、中枢神経系細胞であるかどうかを確認する。宿主因子を欠損していないオルガノイドへSARS-CoV-2を感染させた場合の感染細胞と比較することで、中枢神経系細胞への感染に重要な役割を持つ宿主因子や中枢神経系細胞への侵入経路を見出す。さらに、中枢神経系細胞で増殖した後のSARS-CoV-2の全遺伝子配列を解析して、中枢神経系細胞増殖後のウイルス遺伝子変異を同定することで、中枢神経系細胞への感染・増殖に関するウイルス側の要因を見出す計画である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Cell response analysis in SARS-CoV-2 infected bronchial organoids2022
Author(s)
Sano Emi、Suzuki Tatsuya、Hashimoto Rina、Itoh Yumi、Sakamoto Ayaka、Sakai Yusuke、Saito Akatsuki、Okuzaki Daisuke、Motooka Daisuke、Muramoto Yukiko、Noda Takeshi、Takasaki Tomohiko、Sakuragi Jun-Ichi、Minami Shohei、Kobayashi Takeshi、Yamamoto Takuya、Matsumura Yasufumi、Nagao Miki、Okamoto Toru、Takayama Kazuo
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Journal Title
Communications Biology
Volume: 5
Issue: 1
Pages: 516-516
DOI
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Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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