ウイルス性基本転写因子の核内集積から解き明かす新たな遺伝子発現制御機構の解明
Project/Area Number |
22K07090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49060:Virology-related
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
神田 輝 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (50333472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 大志 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (20706949)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | EBウイルス / 転写 / 複製 / RNAポリメラーゼII / 基本転写因子 / 遺伝子発現制御 |
Outline of Research at the Start |
ヒト腫瘍ウイルスであるEBウイルスは、細胞に感染した後いったん潜伏感染状態となる。その後、感染細胞に様々なウイルス産生刺激が加わることで子孫ウイルスを産生する。効率の良いウイルス産生のために、ウイルスは自前の基本転写因子群を利用して、「後期遺伝子」がコードするウイルス粒子の構造蛋白質を効率良く発現する。本研究では、ウイルスが自前で持つ基本転写因子群の一つ、viral TATT binding protein (以下vTBP)に注目し、ウイルス産生細胞におけるvTBPの細胞核内局在を解析することで、子孫ウイルスを効率よく産生するための仕組みを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
EBウイルスは細胞に感染後、いったん潜伏感染状態となる。潜伏感染細胞から溶解感染(ウイルス産生感染)への移行効率は細胞種ごとに大きく異なるが、その効率を決める因子は不明である。マーモセットBリンパ球にEBウイルスが感染したB95-8細胞は、数あるEBウイルス感染細胞の中でも感染性ウイルスの産生効率に優れる。B95-8細胞にウイルス産生を誘導すると、初期遺伝子発現細胞の大部分が後期遺伝子も発現する。一方、組換えBウイルスが感染したHEK293細胞では初期遺伝子発現細胞のうち後期遺伝子が発現する細胞はわずかである。B95-8細胞において、ウイルス後期遺伝子を効率よく発現する仕組みを解明するため、ウイルス産生中のB95-8細胞におけるRNAポリメラーゼII (RNAPII)の核内配置を調べた。BZLF1遺伝子(ウイルス産生感染のスイッチ遺伝子)を誘導発現したB95-8細胞の細胞核内には高率にウイルスの複製コンパートメントが形成された。そして宿主細胞のRNAPIIが宿主クロマチン領域からウイルスの複製コンパートメントに移行し、高度に集積した。一方、組換えEBウイルスが感染したHEK293細胞にBZLF1遺伝子をトランスフェクションすると、初期遺伝子は効率よく発現するものの、複製コンパートメントの形成、およびRNAPIIの集積はわずかに認められたのみであった。以上より、効率よくウイルスを産生するB95-8細胞では、複製コンパートメントの形成と宿主RNAPIIの複製コンパートメントへの集積が行われることで、ウイルス後期遺伝子が効率よく転写される可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
B95-8細胞ではBZLF1の誘導発現系が良好に機能した。一方、組換えEBウイルス感染HEK293細胞にも同じ系を試みたが機能せず、複製コンパートメント形成とPNAPII集積の頻度を上げることはできなかった。現在、BZLF1の誘導発現系がHEK293細胞で機能しなかった原因を追究している。また当初の研究計画ではEBウイルスのコードするBcRF1遺伝子産物(viral TATA-binding protein, vTBP)とRNAPIIの局在を、それぞれを特異的に認識する抗体を用いて解析する予定であった。しかしBcRF1ノックアウトウイルス感染細胞でBcRF1抗体を用いた蛍光免疫染色を行った結果、残存シグナルが認められたため、BcRF1抗体の特異性に問題があることが判明した。以上のような理由から、当初の実験計画の変更を余儀なくされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
改めて実験条件を最適化しつつ、組換えウイルス感染HEK293細胞にBZLF1遺伝子を誘導発現する実験系を構築し、複製コンパートメント形成効率が増加するか否か調べる。またHEK293細胞における初期遺伝子、後期遺伝子発現細胞の割合を定量的に調べる。さらに誘導前後におけるRNAPIIの局在変化を調べ、B95-8細胞と比較する。またBcRF1(vTBP)ノックアウトウイルス感染HEK293細胞、およびエピトープタグ付加BcRF1を発現する組換えEBウイルス産生HEK293細胞を樹立する。これらの細胞にもBZLF1を誘導発現させて、複製コンパ―トメントの形成、宿主RNAPIIの局在を調べる。以上により、B95-8細胞とHEK293細胞の間で複製コンパートメント形成効率、および後期遺伝子発現効率の違いが生じる原因を追究する。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)