Project/Area Number |
22K07095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49060:Virology-related
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
藤井 克樹 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (40518122)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ロタウイルス / ウイルス分離 / MA104細胞 / 回転培養 / 蛍光抗体法 / 病原性 / 抗原性 |
Outline of Research at the Start |
本研究はロタウイルス(RV)の病原性および抗原性(抗体の交差反応性)の解析を行うものである。RVには多数の遺伝子型(≒血清型)が存在し、特に近年はこれまでに無かった新規流行株が続々と発生している。本研究では、新たに臨床検体から培養細胞にてウイルス分離を行い、近年の主要なRV流行株のライブラリを構築する。そして、これらの株間の病原性および抗原性の違いについて比較解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
2年度目は初年度から引き続き、臨床検体(便)検体からロタウイルス(RV)の分離を試みた。初年度の結果を踏まえてMA104-N*V(回転培養)の条件で分離・継代を実施したところ、国内の主要流行株であるG1P[8](Wa)、G1P[8]-E2、G1P[8](DS-1)、G2P[4]、G3P[8](Wa)、G3P[8](DS-1) 、G8P[8]、G9P[8] (lineage 3)、G9P[8] (lineage 6)、G9P[8]-E2、G12P[8]およびAU-1-like G3P[9]の計12種類のRV株の分離に成功した。続いて、これらの株の大量培養および超遠心法(スクロースクッション法および塩化セシウム密度勾配遠心法)による精製・濃縮を試みた。塩化セシウム密度勾配遠心法で得られるRVの完全ウイルス粒子(TLP:Triple-Layered Particle)の収量は株や培養条件によって大きく異なり、安定的な回収方法の確立は今後の課題と考えられた。続いて、これらの株の力価測定法として、96ウェルプレートを用いた蛍光抗体法による検出方法の検証をおこなった。細胞はMA104-WTおよびMA104-N*V、検出には市販の抗VP6モノクローナル抗体、測定にはセルイメージングシステム(Operetta)を使用した。この方法によりいずれのウイルス株も検出可能であったが、ヒトRV株はMA104細胞への感染効率が低く、抗体価測定用の抗原として使用するためには、高濃度に濃縮したウイルス液の調製が重要になると考えられた。今後の解析に必要なウイルス株は概ね分離できたものの、ウイルスの検出・測定法の改良が課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年度目までの研究で、ヒトRVの効率的な分離・継代条件(MA104-N*V細胞を用いた回転培養)により、国内の主要流行株のほとんどを分離・継代することに成功した。これにより確立されたウイルス株ライブラリは、今後のRV研究において非常に重要な財産になると考えられる。新たな課題として、更なる高濃度のウイルス液を得るために、超遠心による精製・濃縮方法を検証する必要が生じているが、今後はこれらの課題に取り組みつつ、現時点で可能な解析方法により、ウイルス株間の感染効率や病原性、抗原性の違いについて検証を進める予定である。これは当初の予定とおおむね同等以上の進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、MA104-N*V細胞を用いた回転培養により、ヒトRVの増殖が効率化されることが明らかになった。しかし、中和試験等に用いる抗原ウイルスとしては、より高濃度のウイルス液を作製した方が試験に供与しやすいため、培養条件や精製・濃縮方法の更なる改良が望まれる。これまでの傾向から、RVは高いMOIで感染させることにより増殖効率が高く維持されることが示唆されているため、MOIを一定以上に保った継代方法を心掛けることが重要と考えられる。またノロウイルスの培養細胞における増殖を促進させることで知られる胆汁酸が、RVにも有効である可能性があるため、胆汁酸等の添加物によってRVの感染率や増殖効率が向上するか検討する予定である。これは蛍光抗体法による検出感度向上にもつながることが期待される。
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