Project/Area Number |
22K07156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
花村 徹 東海大学, 医学部, 准教授 (00532053)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 乳癌 / 腫瘍免疫 / Androgen Receptor / ZAG / アンドロゲンシグナル |
Outline of Research at the Start |
複数の癌に対し免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の臨床効果が確認され、現在腫瘍免疫は非常に注目されている。しかし乳癌に対するその効果は限定的で腫瘍免疫をコントロールする何らかの乳癌特有なメカニズムの存在が疑われる。アンドロゲン受容体(AR)シグナルは乳癌において腫瘍免疫を抑制する可能性があるがそのメカニズムの詳細はわかっていない。本研究ではARシグナルによりコントロールされている様々な因子と免疫系との関連やこれらの相互作用を解析することで、乳癌において腫瘍免疫のコントロールを担っているメカニズムを明らかにし、腫瘍免疫を応用した新しい治療戦略の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍免疫を応用した治療薬である免疫チェックポイント阻害剤(ICI)はホルモン非感受性乳癌の一部に高い効果を示す一方、乳癌の大部分を占めるホルモン感受性乳癌に対しては効果を示さず、ホルモンシグナルに起因する何らかの免疫制御機構の存在が示唆される。 本研究は乳癌に発現するホルモンレセプターの一つであるアンドロゲンレセプター(AR)の腫瘍免疫における機能とそのメカニズムを明らかにし、治療開発に結びつけることを目的としている。 前年度までに我々はAR発現が乳癌において免疫抑制的な腫瘍微小環境と相関することを確認し、研究成果を報告した[Hanamura T.,et al., Breast Can Res. 2023]。続いてARシグナルによる免疫制御機構のメディエイターとしてAR依存性分泌蛋白;Alpha-2-glycoprotein 1, zinc-binding ;ZAG(遺伝子名AZGP1)に注目し、大規模乳癌コホート由来遺伝子発現プロファイルデータセットを用いた解析、マルチカラーフローサイトメトリーを用いた乳癌組織内免疫細胞組成の解析、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)由来Macrophage初代培養細胞を用いたIn-vitro解析を行った。一連の解析結果からZAGが乳癌組織内において免疫制御メカニズムの一つとして働いていることを強く示す結果が得られ、研究成果を報告した。[Hanamura T, et al., Cancer immunology immunotherapy, 2024]。 我々の研究成果はホルモンレセプターシグナルに関連した乳癌特有の免疫制御メカニズムにZAGが関与している可能性を示すものであり、腫瘍免疫を応用した新規治療の開発に対し一定の示唆を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではIn-silico解析による候補因子の抽出、候補因子と乳癌組織内免疫細胞組成との関連性の検証、In-vitro解析による候補因子の免疫学的機能の検証を2年間で行い、残りの1年をデータ整理、論文作成に当てる予定であった。現状ですで上記の解析を終え、二つの論文が公開されており当初の予定より1年以上早く進展している。残りの研究計画期間は下記のごとく発展的な解析や補足データの収集を見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析によりZAG蛋白は乳癌組織において、免疫抑制的なフェノタイプと相関し、PBMC由来Macrophageの分化、HLA発現に一定の影響を与えることが確認できている。引き続き、乳癌細胞由来のZAGがMacrophageに与える影響を検証すべく、ZAGノックアウト乳癌細胞株を用いた実験を計画中である。また、上記の解析の結果ZAGの標的候補として次点であった、NK細胞やT細胞に関しても同様にPBMC由来初代培養系を構築し、これに対するZAGの作用を検証中である。 今後は新たに研究費を取得し、発展的な研究としてZAG蛋白が免疫系に作用する際の一次票的となるレセプターやその下流の細胞内シグナルなどの具体的な分子メカニズムについて解析したいと考えている。この点を明らかにすることでZAGの免疫チェックポイント分子としての意義を確立し、治療標的として応用することを目指したい。
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