フェロトーシス誘導に対して脆弱性を示す悪性中皮腫の分子基盤の解明
Project/Area Number |
22K07162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
佐藤 龍洋 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学分野, 主任研究員 (70547893)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 悪性中皮腫 / フェロトーシス / 中皮腫 |
Outline of Research at the Start |
悪性中皮腫はアスベスト曝露を主要因とする希少がんである。早期発見が難しく、発見時には外科的切除が不可能なケースがほとんどであることから、化学療法による治療が主体となることが多いが、著効を示す治療薬は見つかっていない。申請者らは独自の解析により、悪性中皮腫細胞株の約半数がフェロトーシスと呼ばれる細胞死に対して感受性が高いことを見出しており、本研究ではさらにこの感受性に関わる細胞内要因を詳細に解析し、これを同定する。これらの研究成果は、フェロトーシス誘導の分子機序の解明や、悪性中皮腫に対する新規治療法の開発に役立つと期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
悪性中皮腫は多様な遺伝子発現パターンを示し、遺伝子変異に対して有効な個別化治療薬はいまだ存在しない。近年、免疫チェックポイント阻害剤が有効であることが報告されたが、6割以上の患者に対しては著効を示さず、現在も治療薬の開発が続けられている。申請者らは正常中皮細胞と比較してフェロトーシスの誘導に対して細胞死を引き起こしやすいことを見出してきた。患者より樹立した約20種の悪性中皮腫細胞株を用いて抗腫瘍効果についてさらに検討したところ、これらの細胞株はフェロトーシス誘導剤RSL3に対して高感受性を示す細胞株と低感受性を示す細胞株の2群に分けることができることがわかってきた。これまで細胞株ごとの遺伝子変異の違いについて着目してきたが、薬剤感受性との相関がないことがわかり、感受性を規定する分子機構についてはいまだ不明な点が多い。しかし、RSL3感受性の異なる細胞株群で遺伝子発現差異解析を行った結果、感受性の違う細胞間で有意に発現量が異なる遺伝子を複数同定することに成功した。そこで本年度は、これらのうち主要な遺伝子に対してノックダウンを行い、各遺伝子がフェロトーシス細胞死に対する感受性に関与する可能性を検討した。その結果、特定の遺伝子ノックダウンによって高感受性株のRSL3感受性が低下することが分かった。しかし、この効果は一部の細胞株のみで有効であり、フェロトーシス易誘導性を規定する分子基盤についてはさらに検討が必要とされた。フェロトーシスによる細胞死の原因の一つとして過酸化脂質の蓄積が知られるが、その蓄積を引き起こす分子基盤は多岐に渡る。現在、フェロトーシスに関連する遺伝子群の発現変化や細胞内代謝産物について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特定の遺伝子ノックダウンにより、一部細胞株に限定されるが、RSL3感受性に変化が見られた。この結果は、フェロトーシス易誘導性に関する悪性中皮腫細胞内の分子基盤を解明するうえで重要な手がかりとなると考えられる。また、悪性中皮腫細胞株および正常中皮細胞株を用いてフェロトーシス誘導を行い、脂質過酸化に関わるさまざまな遺伝子発現量の発現変動を明らかにしつつある。これと併せて活性酸素種や細胞内脂質の種類の同定も進みつつあり、今後の研究の発展が期待できる。現在、新たなスクリーニングについても準備を進めており、本研究の進行はおおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングを実施し、フェロトーシスの易誘導性に関わる遺伝子群の同定に取り組む。また同時に、悪性中皮腫細胞および正常中皮細胞を用いてフェロトーシスを誘導し、過酸化脂質の蓄積に強く関連する遺伝子群の発現変動を明らかにする。細胞内代謝の変化として活性酸素種や細胞内シスチン取り込み量、還元型グルタチオン量を測定し、これらの結果を併せて中皮腫細胞株におけるフェロトーシス易誘導性の分子基盤の解明を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)