大腸上皮の分化指標に基づく大腸がん予後予測新規因子の解明
Project/Area Number |
22K07187
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三好 弘之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30362479)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 誠 公益財団法人田附興風会, 医学研究所, 所長 (70281714)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 大腸がん / スフェロイド / 幹細胞 / 分化 / マーカー遺伝子 |
Outline of Research at the Start |
大腸がんの治療成績は年々改善しているが、肝臓や肺などに転移した場合は依然として予後不良である。本研究では、生体から分離した上皮細胞を効率よく体外培養するスフェロイド培養技術を用いて、患者それぞれの大腸がん幹細胞と正常大腸上皮細胞の遺伝子発現プロファイルを比較解析する。これにより、大腸正常上皮のどのような性質を引き継いだ大腸がん細胞が悪性化しやすいかを明らかにし、新たな治療法や予後予測マーカーの開発を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
・前年度までに検討し、確立した患者由来胃がん幹細胞スフェロイドの樹立法についてCancer Science誌に論文発表した。培養基質にマトリゲルとコラーゲンの両方を使用し、培養液に低濃度のWntリガンドを添加することにより、大腸がんスフェロイドの培養条件では増殖しなかった胃がん幹細胞株を樹立することが可能になった。さらに当該年度も患者がん組織からのスフェロイド培養を継続し、10株以上の新規細胞株を樹立した。 ・ヒト正常大腸上皮細胞の分化状態をより詳細に解析するため、最も幹細胞活性の高いLGR5陽性細胞と最終分化した吸収上皮細胞との中間の分化状態であるTA細胞を安定的にスフェロイド培養する条件を見出した。独立した3株のスフェロイド株を用いてRNA-seqを行いmRNA遺伝子発現プロファイルを解析したところ、この条件下でスフェロイド細胞は幹細胞マーカーと分化マーカーの両者を発現していた。また、培養条件の変更によりLGR陽性幹細胞に再び脱分化する可逆性を備えていることがわかった。 ・大腸がん幹細胞スフェロイドにNECAを投与し、mRNA発現プロファイルを非投与群と比較した結果、WAE細胞と共通の遺伝子発現が誘導されていることを確認した。しかし、胃正常上皮幹細胞はNECAに反応せず、胃がん幹細胞スフェロイドでもNECAに反応しない株が多く見られた。このことから、胃上皮細胞ではアデノシン受容体A2Bが機能していないことが示唆された。現在、cAMP経路を活性化する他のリガンドを検索中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では本研究で見出された分化指標により、京都大学の大腸がん患者コホートの予後を解析する予定であったが、患者情報の取得に時間を要しているため当該年度中にデータベースを構築できなかった。また、新たに中間分化細胞の解析を行なったため、機能解析を行う遺伝子の絞り込みが終了しなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、当該年度のDEG解析で得られた遺伝子についてその予後解析と機能解析を行う。予後解析のために、これまでに集積した約100株の大腸がん幹細胞スフェロイド株のRNA-seqデータと対応する患者の予後情報を紐付け、任意の遺伝子の発現量に基づく生存時間解析が可能なデータベースを構築する。これを用いて正常細胞の分化状態を代表するDEGについて生存時間解析を行う。機能解析はDEGの中から高発現群と低発現群で生存時間に大きく差が見られるものを選択し、強制発現やCRISPRによる遺伝子破壊により表現系を解析する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)