難治性乳がんに対する変異p53依存的悪性化・転移機構に対する分子基盤の解明
Project/Area Number |
22K07205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 哲俊 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (10835226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 知明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 難治性乳がん / 変異p53 / メバロン酸合成経路 / がん悪性化形質 |
Outline of Research at the Start |
治治療抵抗性乳がんや再発・転移を繰り返す難治性乳がんに対するゲノムワイドのクリニカルシークエンスが盛んに行われている中、変異p53が獲得する多面的機能が、”MalignantDriver”として積極的ながん悪性化に作用する知見が再注目されている。本研究では、変異p53のもたらす"gain of function"がメバロン酸合成経路に対しどのようなメカニズムで影響を与え悪性形質をもたらすのか、その悪性形質をもたらす直接的な下流標的分子が何であるかを明らかにすることを目指す。この成果により、「変異p53を持つ難治性乳がん」を標的とした新たな治療法の開発や創薬シーズの提案に繋がることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難治性乳がんにおける変異p53のGain of Functionがもたらすメバロン酸合成経路(MVA経路)を介したがん悪性化制御機構の解明と、その悪性形質をもたらす直接的な下流標的分子の探索を目的としている。現在までに変異p53がメバロン酸合成(MVA)経路の鍵因子であるSterol regulatory element-binding protein 2(SREBP2)を介してその活性化を誘導し悪性化をもたらす機序を確認しており、更に変異p53とMVA経路をつなぐ鍵分子も見出している。そこでまず、乳がん細胞株であるMDA-MB-231細胞を用いてその鍵分子とSREBP2のKO細胞株を作成し、in vitroとin vivoの両方で悪性化への鍵分子の関与を確認した。更に変異p53でのみ鍵分子のプロモーター領域に直接結合することも確認し、変異p53による直接的な制御が確認できた。また、3次元培養において細胞外のコレステロール量の違いが悪性形質に変化を与えることも明らかとなった。そこで、scRNA-seq解析とノンターゲットプロテオミクスを実施したところ、変異p53による悪性形質をもたらす群では、脂質代謝やMVA経路などの分子群が活性化されていることが明らかとなった。また、scRNA-seq解析の結果からCDC42やRHOAなどのSmall G proteinの発現が変異p53で上昇している可能性が示唆され、実際にCDC42を阻害すると悪性形質が消失することを確認した。これらの結果から、MVA経路の中でも特にGGPP経路とそれに続くRho-GTP活性を介したアクチンフィラメントの重合作用であるフィロポディアが悪性化に重要な役割を担っていることが示唆された。今後、今回までに明らかになった知見を用いてさらに解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、変異p53を持つMDA-MB-231乳がん細胞株の鍵分子とSREBP2をCRISPR/CAS9を用いてKOすることが出来た。それらを用いることで、3次元培養におけるKO細胞株の悪性形質消失だけでなく、マウスXenograft Modelでの腫瘍の増殖抑制も確認することができ、悪性形質への鍵分子の関与を明らかに出来た。また、変異p53による鍵分子の制御機構に関してもChIP assayを行うことでプロモーター領域に変異p53のみが結合することが明らかとなり、変異p53による直接的な制御を明らかにすることができた。これらの知見から、鍵分子が変異p53とMVA経路を繋ぎ、変異p53による乳がん悪性化の重要なファクターになるという発見に至った。また、Rho-GTP活性を介したアクチンフィラメントの重合作用であるフィロポディアの関与が示唆され、実際に生細胞でのフィロポディアを確認できるLifeactを用いて3次元培養にて悪性形質とフィロポディアの関係性を確認した。その結果、変異p53存在下でのみフィロポディア様の形態が確認でき、悪性形質にフィロポディアが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、p53ステータスの異なるMDA-MB-231乳がん細胞株を用いてLifeactを定常的に発現する細胞株を作成する。それらを用いin vivoでのフィロポディアに関する検討を行い、実際の生体内でもフィロポディアががんの増殖、転移に関係しているか検討する。また、scRNA-seq、Bulk RNA-seq、ノンターゲットプロテオミクスのデータ解析を更に進めることで、悪性形質をもたらす分子群の同定を進める。同定に関しては、GGPP経路とそれに続くRho-GTP活性に関わるもの、フィロポディアに関与するものやMVA経路に関するものといった多様な視点から行う。実際に同定できた分子群に関して、上流転写因子を同定するTRRUST解析やGene Ontology解析を用いてMVA経路との関係を明らかにする。更に乳がん細胞株であるMDA-MB-231にCRISPR/CAS9を用いてそれらの同定した分子群のKO細胞株を作成し、3次元培養での形態変化、生体内での増殖、並びに転移能に関しても検討を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Proteogenomic landscape and clinical characterization of GH-producing pituitary adenomas/somatotroph pituitary neuroendocrine tumors2022
Author(s)
Yamato A,Nagano H,Gao Y,Matsuda T,Hashimoto N,Nakayama A,Yamagata K,Yokoyama M,Gong Y,Shi X,Zhahara N,Kono T,Taki Y,Furuki N,Nishimura M,Horiguchi K,Iwadate Y,Fukuyo M,Rahmutulla B,Kaneda A,Hasegawa Y,Kawashima Y,Ohara O,Ishikawa T,Kawakami E,Nakamura Y,Inoshita N,Yamada S,Fukuhara N,Nishioka H,Tanaka T
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Journal Title
Communications Biology
Volume: 5
Issue: 1
Pages: 1304-1304
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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