腫瘍内の自然免疫・樹状細胞を起点としたがん免疫療法の開発
Project/Area Number |
22K07282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
門脇 則光 香川大学, 医学部, 教授 (60324620)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 自然免疫 / 樹状細胞 / がん免疫療法 / ウイルス療法 / 単純ヘルペスウイルス1型 |
Outline of Research at the Start |
免疫賦活物質(アジュバント)を腫瘍内に投与するintratumoral immunotherapyは、腫瘍内の自然免疫・樹状細胞を活性化し腫瘍巣の免疫抑制環境を打破することにより、抗腫瘍T細胞反応の誘導と活性維持を実現する合理的ながん免疫療法である。本研究では、異なるアジュバントの優劣や、先行して開発が進むウイルス療法の免疫学的作用機序を明らかにするとともに、アジュバント非投与部位の腫瘍での免疫反応を高める方策を見いだす。これらにより、感染免疫のphysiologyを腫瘍免疫で再現するがん免疫療法の開発を推進することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
免疫賦活物質(アジュバント)を腫瘍内に投与するintratumoral immunotherapyは、腫瘍内の自然免疫・樹状細胞を活性化し、抗腫瘍T細胞反応を誘導するとともに、腫瘍巣の免疫抑制環境を打破することにより、誘導された抗腫瘍T細胞の腫瘍巣での機能を高める合理的ながん免疫療法である。腫瘍内に投与するアジュバントには、STINGアゴニスト、TLRアゴニスト、腫瘍溶解性ウイルスがある。本研究は、(1)異なるアジュバントの優劣を明らかにする、(2) intratumoral immunotherapyの中でも先行して開発が進む腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を用いたウイルス療法の免疫学的作用機序を明らかにする、(3)ウイルス非投与部位の腫瘍での免疫反応を高める、という3点を目的とする。以上により、感染免疫のphysiologyを腫瘍免疫で再現するがん免疫療法の開発を推進する。 これまでに、 (1)異なるアジュバントを腫瘍内に投与することにより、これらの優劣を調べる、(2) 遺伝子組換えHSV-1を用いたがんウイルス療法の免疫学的作用機序を、さまざまな遺伝子改変マウスを用いて明らかにする、という2種類の実験を行ってきた。その結果、(1)HSV-1の抗腫瘍効果はSTINGアゴニスト、TLR9アゴニストとほぼ同等であった。(2)形質細胞様樹状細胞(pDC)がTLR9を介してDNAを認識しI型インターフェロンを産生することが、全身的な抗腫瘍T細胞反応を誘導するのに重要であった。これらの結果は、HSV-1ウイルス療法の効果発現におけるpDCの重要性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 遺伝子組換えHSV-1であるT-01、STINGアゴニストDMXAA、TLR9アゴニストCpG DNA、TLR3アゴニストpoly I:Cの腫瘍内投与の抗腫瘍効果を、EL4-nectin-1, B16-nectin-1の皮下腫瘍モデルを用いて比較したところ、T-01, DMXAA, CpG DNAの抗腫瘍効果は同等で、poly I:Cの効果はやや劣っていた。 (2) B16-nectin-1皮下腫瘍モデルにおいて、T-01腫瘍内投与の非投与側腫瘍への効果が、STINGノックアウトマウスに比べ、TLR9ノックアウトマウス、IFNAR1ノックアウトマウスでより強く減弱していたことから、STINGよりもTLR9を介するDNAの認識とそれに引き続くI型インターフェロンの誘導が抗腫瘍免疫反応の誘導に重要であることが示唆された。さらに、形質細胞様樹状細胞(pDC)の除去によってT-01非投与側腫瘍への効果が消失したことから、pDCがTLR9を介してDNAを認識しI型インターフェロンを産生することが、抗腫瘍免疫反応の誘導に重要であることが示唆された。 以上の進捗はほぼ予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
pDCが抗腫瘍免疫反応を誘導する機序を明らかにするために、T-01投与側腫瘍、非投与側腫瘍、脾臓、所属リンパ節の細胞のフローサイトメトリーにより、腫瘍巣および全身において活性化する免疫担当細胞(樹状細胞、ミエロイド系細胞、T細胞、NK細胞)がpDCの有無によってどのように違うかを調べる。また、テトラマー染色にて腫瘍抗原特異的なCD8陽性T細胞を単離し、RNA-seqで遺伝子発現プロファイルを調べることにより、pDCの有無による腫瘍特異的CD8陽性T細胞の発現分子の違いを調べる。さらに、樹状細胞を増加させる造血サイトカインFlt3リガンドの全身投与がウイルス療法の効果を増強するかどうかを調べる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)