iPS細胞の応用による腫瘍微小環境のT細胞抑制効果に耐性をもつ新規T細胞製剤開発
Project/Area Number |
22K07299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
寺田 晃士 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (70342722)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | がん / T細胞 / T細胞受容体 / iPS細胞 / 腫瘍微小環境 / 腫瘍免疫 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、iPS細胞技術により作製されたT細胞に人工遺伝子を導入することにより、腫瘍微小環境において機能抑制を受けずに活性を維持できる強化型T細胞を作製し、一方で、T細胞への抑制作用を弱めるまたは無効化するような分子を、がん抗原特異的なT細胞受容体を備えたT細胞に発現させることで、腫瘍局所にデリバリーする。このようにiPS細胞技術と遺伝子改変技術を用いて、機能強化型あるいはドラッグデリバリー型の、強い抗腫瘍効果をもつ新規T細胞製剤の開発を推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、がん抗原に高親和性を示すT細胞受容体(TCR)を単離し、細胞傷害性T細胞(T細胞)に導入してT細胞の腫瘍攻撃能を高める研究が精力的に行われている。一方で、腫瘍微小環境下ではT細胞が十分に活性化されないという問題も解決されなくてはならない。本研究計画では、iPS細胞技術により作製された再生T細胞に人工遺伝子を導入することにより、腫瘍微小環境下でも機能抑制を受けずに活性を維持できる強化型の再生T細胞の作製を目的とし、機能強化型あるいはドラッグデリバリー型の新規T細胞製剤の開発を推進する。 申請者はカニクイザルに腫瘍細胞株を移植する実験系において、移植から数日後に摘出された腫瘍から、浸潤していたT細胞をシングルセルに分離し、その腫瘍を認識するTCR遺伝子を単離した。すなわち、その腫瘍を殺傷しないT細胞を、単離したTCR遺伝子を導入することにより、in vitroにおいてその腫瘍を強く殺傷するようなT細胞に変換することに成功した。一方で、その変換されたT細胞を、サルの腫瘍細胞を移植した免疫不全マウスに移入するとマウスの生存期間が延長したが、腫瘍サイズが一旦大きくなり始めると、腫瘍特異的TCRを導入したT細胞を追加移入しても、腫瘍の抑制効果が認められなかった。この観察から、in vivoにおける腫瘍環境下においてはT細胞の機能が低下していたという可能性が考えられた。そこで、腫瘍微小環境においてT細胞の機能抑制に関わる主要な因子のひとつであるTGFbetaの影響を回避するためのキメラ受容体の遺伝子、あるいはT細胞を活性化するサイトカインの遺伝子を外来性にT細胞に導入し、まずはin vitroにおいて、T細胞抑制因子等の存在下における細胞の生存および増殖を評価・検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍微小環境下において、T細胞はTGFbetaなどのT細胞抑制因子の影響により腫瘍攻撃能が低下する。In vitroの実験系においても、ヒトプライマリーT細胞はTGFbetaにより増殖抑制を受ける。そこでまず、iPS細胞から分化誘導して作製した再生T細胞においてもTGFbetaによる増殖抑制が認められるか検討した。その結果、10 ng/mL前後の濃度下で増殖の抑制が認められた。次に、細胞外ドメインがTGFbeta受容体、細胞内ドメインはCD137(4-1BB)というキメラ受容体遺伝子を構築し、GFP遺伝子を標識用遺伝子としてもつレトロウイルスベクターに組込み、再生T細胞に遺伝子導入し、導入効率をGFPの発現を指標にして確認した。現在、キメラ受容体を発現させた再生T細胞をTGFbeta存在下で培養し、増殖や生存などにおける影響を解析中である。他方、腫瘍微小環境下におけるT細胞の増殖能低下の要因には、サイトカインなど活性化因子の欠乏という側面もある。そこで、サイトカインを再生T細胞に発現させることも試みている。T細胞の増殖や生存を担うとされるIL-2、IL-7、IL-15およびIL-21などに関して、発現させた場合に同等に細胞外に分泌させるため、それぞれのシグナルシークエンスをイムノグロブリンカッパのシグナルシークエンスに置き換えた。それらもレトロウイルスベクターに組み込み、現在、再生T細胞への導入を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroにおいてTGFbetaなどT細胞抑制因子の存在下で、TGFbeta受容体-CD137細胞内ドメインのキメラ受容体およびその他の人工受容体の発現により再生T細胞が増殖抑制を免れて正常に増殖するか検討する。また、同様の条件下において、標的細胞を正常に殺傷するか検討する。加えて、遺伝子導入によりサイトカインを構成的に発現させることにより、抑制因子による細胞増殖抑制および標的細胞に対しての殺傷能力の低下が阻止できるか検討する。In vitroの実験系においてキメラ受容体やサイトカインの発現などにより再生T細胞の機能の向上が認められたら、腫瘍を移植した免疫不全マウスを用いて、in vivoにおける腫瘍微小環境下において、遺伝子導入した再生T細胞が機能を維持し続けることができるか検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)