Project/Area Number |
22K07302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
船越 洋平 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50566966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 公大 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (80535427)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | MDSC / ヒト骨髄由来免疫抑制細胞 / がん免疫 / T細胞 / 骨髄由来抑制細胞 |
Outline of Research at the Start |
がん免疫を抑制する骨髄由来抑制細胞(MDSC)は、免疫療法の新たな標的として注目されている。我々は、ヒトMDSCを3つの集団(G-MDSC, M-MDSC, I-MDSC)に分けて、それぞれの機能を研究してきた。本研究の目的は、各MDSCのサブポピュレーションの性質や機能を考慮した、MDSC標的療法を開発することである。個別のサブポピュレーションに着目した本研究で、新たながん免疫療法を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒト骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)はがん免疫を抑制するため、がん治療の標的となると考えている。ここで、MDSCはmonocytic-MDSC (M-MDSC)、granulocytic-MDSC (G-MDSC)、immature-MDSC (I-MDSC)の3つの集団に分類されるが、我々は、M-及びG-MDSCはT細胞活性を強く抑制するのに対し(機能性MDSC)、I-MDSCは抑制を示さない(非機能性MDSC)ことを明らかにしている。以上より、MDSCを一つの集団として治療標的にするのではなく、「免疫抑制機能をもつ機能性MDSCを標的とすること」また、「抑制機構が異なるG-及びM-MDSCに対する個別の治療方法を開発すること」が必要であると考えている。 前年度は特にM-MDSCがどのようにして免疫抑制作用を発揮するのか、そのメカニズムを解明することで、M-MDSCの標的分子を同定することを試みた。活性化T細胞培養上清液でM-MDSCを培養すると、その他の上清での培養と比較し、大量のCCL-17を放出することが明らかになった。我々はM-MDSCがCCL-17のレセプターであるCCR4を発現していることを確認しており、CCL-17とCCR4がM-MDSCの活動に大きな役割をもつものと考えるに至った。以上より、CCR4を有望な治療標的候補と位置付けている。 今年度はMDSCを標的とした薬剤として有望だと考える、抗CD38抗体及び抗CCR4抗体の影響をin vitroの実験系にて確認した。抗CD38抗体であるダラツズマブの暴露でG-MDSCの低下を認めた。今後も抗CD38抗体によるMDSCの影響について、詳細を明らかにしていく。前年度有望なデータを得た抗CCR4抗体については、本年は実験を施行できず、次年度に研究を行う。計画よりも進捗がやや遅れているとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、MDSCを標的とした薬剤として有望だと考える、抗CD38抗体及び抗CCR4抗体のMDSCに対する影響をin vitroの実験系にて確認した。具体的には、健常者の末梢血/PBMCを取得し、10cm dishに5×10 6乗個程度を10 mlのRPMI+2%FBSを使用して培養のうえで、それぞれの薬剤を添加した。添加後にPBMCを回収し、条件別にMDSCの存在割合をフローサイトメトリーにて確認した。抗CD38抗体であるイサツキシマブにおいては、Control、イサツキシマブ 500 μl/ml、1000 μl/mlの濃度で24時間の薬剤曝露の後、解析を施行したが、MDSCの存在割合に有意な変化は認めなかった。一方、他の抗CD38抗体であるダラツズマブにおいては、Control、ダラツズマブ 500 μl/ml、1000 μl/mlの濃度で24時間の薬剤曝露の後、解析を施行したところ、Control ではMDSC 2.0%で、その打ち分けはM-MDSC 27.4% 、G-MDSC 10.5%、I-MDSC 58.4%に対して、ダラツズマブ 1000 μl/mlにてMDSCは1.1%と低下 、打ち分けはM-MDSC 9.3%、G-MDSC 13.0%、I-MDSC 59.2%とM-MDSCの低下を認めている。現在、この結果を検証すべく、培養環境、薬剤濃度、暴露時間など条件設定を継続して行い、有望であればin vitro実験でのデータの収集へと実験を進めて行く。また、本年度は実施出来なかった抗CCR4抗体(モガリズマブ)に関しても実験準備を進めており、in vitroでの実験結果を充実させていく。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトPBMCを用いたMDSCの詳細な評価を、in vitroの実験系で行うため条件設定に時間がかかり研究のペースはやや遅れている。現在は様々な条件設定が終了し、抗CD38抗体での解析が可能となっており、研究のペースを上げていく。具体的にはダラツズマブ投与によりM-MDSCの割合の低下を認めているが、さらに優位な条件を設定するために、薬剤濃度や暴露時間の変更を行い、より詳細な解析を進める。また同じ抗CD38抗体であるイサツキシマブではMDSCの存在割合に大きな変化を認めておらず、これら薬材の相違について検討行う。抗CCR4抗体(モガムリズマブ)については、我々は昨年度、活性化T細胞培養上清液でM-MDSCを培養すると、その他の上清での培養と比較し、大量のCCL-17(CCR4リガンド)を放出すること明らかにしており、抗CCR4抗体のMDSCに対する影響についても早々に解析を行う。 In vitroの実験にて有望な薬剤が見つかればin vivoモデルを用いた検証も計画していく。In vitro実験と並行して、in vivo研究の準備について早々に取り掛かっていく。
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