Project/Area Number |
22K07326
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51020:Cognitive and brain science-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
勝山 成美 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 特定助教 (00291906)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | Postdiction / Retrograde perception / Multimodal integration / Visual awareness / Perception / Macaque monkey / multimodal integration / 視聴覚統合 / ニホンザル / 機能的MRI |
Outline of Research at the Start |
先行する感覚刺激の知覚が、後続する刺激の影響を受けて変化する現象を、逆向現象(postdiction)という。この現象は、知覚が時間的に遡って影響を受けることを示しているが、その神経メカニズムは不明である。 本研究では、ヒトにおける機能的脳イメージング研究と、サルにおける神経活動の記録、および脳の局所不活化実験を組み合わせることで、脳が後付けで知覚や記憶を書き換え、再構成する機能の神経メカニズムを解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ある刺激に対する知覚が、後から入力した刺激の影響を受け、後付けで解釈される現象を逆向現象(postdiction)という。本研究は、illusory flashとinvisible flashという逆向現象の課題を用いて、ヒトを対象としたfMRI実験と、サルを用いた行動実験、および生理学実験を通して、逆向現象の神経メカニズム解明をめざす。 まず、ヒトを対象としたfMRI実験では、スキャンノイズがある中でフラッシュとビープを呈示したにもかかわらず、いずれの被験者も撮像中の行動課題でillusory flashとinvisible flash効果を示した。しかし、対照条件でスキャンノイズの影響がみられ、MRIデータの解析にも影響を及ぼすことが予想されたため、撮像間の無音状態で刺激を呈示するsilent MRIによる撮像を試みた。その結果、撮像中の行動課題ではillusory flashとinvisible flash効果がみられたことに加え、脳活動データでも視覚野、聴覚野、およびボタン押しに関わる運動野の活動を捉えることができた。そのため今年度中にはその他のパラメータを決定し、本実験にはいる予定である。 サルを用いた行動実験では、これまでに1頭のサルにおいてinvisible flash現象が生じることを確認したが、illusory flash効果は生じなかった。サルの実験ではヒトの実験と比べてコントラストの低いフラッシュを中心視野に呈示していたため、現在は高コントラストの刺激を周辺視野に呈示して、illusory flash効果が生じるかどうかを検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機能的MRI実験については、研究計画が研究代表者の所属機関である京都大学ヒト行動進化研究センターの倫理委員会において承認されたのが2023年5月で(同センターの改組による)、2023年度が実質的に初年度であった。また、この実験は新潟大学脳研究所の共同利用研究を利用して実施しており、新潟大学の共同研究者の協力が不可欠である。そのため実験の回数と1回の研究対象者の数に制限があるため、当初の予定より遅れてしまった。しかし、この1年間の実験で基礎的なデータは集まりつつあり、あと1,2回の予備実験を行えば本実験に移行できる見込みである。 サルの行動実験では、サルへの侵襲を減らすため、加熱によって変形する樹脂製メッシュを用いてサルのマスクを作成し、頭部をチェアに固定することを試みた。この方法をすでに利用している国内の研究者に技術指導を仰ぎ、いくつかのマスクを作成した。その結果、非侵襲的にサルの頭部を固定することができたが、マスク内でサルの頭がわずかに動いてしまい、正確な視線制御ができなかった。そのため何度もマスクの改良を試みたが、精度が改善されなかった。予定では2023年度中に視線を制御した状態でillusory flashとinvisible flash効果の検証を済ませる予定だったが、この作業のため遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
機能的MRI実験については、「研究実績の概要」で述べた通り、silent MRIを用いて、illusory flashとinvisible flash効果に関連する脳活動の探索を行なう。この方法は、撮像を一定の間隔をあけて行ない、その間に刺激を呈示する方法で、スキャンノイズを避けて刺激呈示ができるメリットがあるため、これまで聴覚刺激を用いた機能的MRI研究で多く用いられてきた一方、採取する脳活動のデータ量が通常の連続撮像に比べて大幅に減少するデメリットがある。そのためスキャン中の行動実験の結果に加えて、illusory flashとinvisible flash現象に関連した脳活動を捉えるのに十分なデータを得るための撮像パラメータを決めることが重要である。これまでにいくつかのパラメータを試した結果、視覚野、聴覚野、運動野の活動を捉えるにはrepetition time (RT) = 4秒、acquisition time (AT) = 2秒、スライス数 = 45という条件が最適と思われる。今後は、同じ刺激を観察した時に、illusory flashとinvisible flash効果が生じた試行と生じなかった試行とで脳活動を比較するため、これらの発生率を50%前後にする刺激のパラメータ(フラッシュのコントラストやビープの大きさ)を決め、本実験に移る。 サルを用いた行動実験については、【現在までの進捗状況】で述べたマスクに加え、従来型の侵襲的なhead postを用いてサルの頭部を固定することを試みている。
|