Project/Area Number |
22K07371
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 庸輝 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (60711786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 徳光 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (20346505)
中島 一恵 (久岡一恵) 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (20393431)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ミクログリア / 細胞老化 / 認知機能障害 / 精神神経疾患 |
Outline of Research at the Start |
認知機能障害は、有効な治療法が少なく患者の生活の質を著しく低下させるため、新規治療戦略の確立が望まれている。免疫担当細胞であるミクログリアは、脳内の恒常性の維持に寄与する一方で、その異常活性化は認知機能障害を含む中枢神経疾患の発症・増悪にも関与することが報告されている。また、近年脳内のミクログリアは加齢に伴って、その機能が変容することから、細胞老化現象が誘導されている可能性が示唆されている。しかしながら、細胞老化したミクログリアが認知機能障害の病態へ与える影響には不明な点が多く残っている。そこで、本研究課題はミクログリアの細胞老化に着目し、認知機能障害に対する新たな治療戦略仮説を立案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、作製方法を確立した細胞老化誘導-ミクログリア細胞培養系では、リポポリサッカライド (LPS) 刺激による炎症性サイトカイン発現量が有意に増強されることを明らかにした。本年度は、加齢との関連性が示されているサイトカインとしてインターロイキン1β、インターフェロンβ を用い、これら炎症性刺激に対する細胞老化誘導-ミクログリア細胞の炎症応答性を評価した。しかし、両刺激に対する炎症応答性に統計学的な有意な変化は認められなかった。従って、細胞老化誘導-ミクログリア細胞では、LPS の受容体である Toll-like receptor 4 の下流経路に対して、特異的に細胞老化の影響が及んでいる可能性が示唆された。
自然老化マウスを使用した検討においては、若齢マウス (3ヶ月齢) と比較して、老齢マウス (24 ヶ月齢) では社会行動性や、新規環境下における摂餌までの時間が低下し、うつ・不安様行動を示すことを明らかにした。また、これらの行動表現系との関連性が示されている脳部位である前帯状皮質、海馬、島皮質においてミクログリアを観察した結果、細胞老化マーカーである p16 INK4a の発現割合が亢進していることを明らかにした。さらに、海馬ミクログリアにおいて、加齢に伴い発現が増加するタンパク質 (概要執筆時、未公表のため便宜上 "タンパク質-X" とする) を同定した。タンパク質-Xは、免疫応答において重要な役割を担うことが報告されていることから、さらに詳細な機能解析を行い、うつ・不安様行動との関連性を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに、細胞老化を誘導したミクログリア細胞培養系を用いた細胞機能解析、自然老化マウスの行動解析および脳内の遺伝子発現解析の結果から、ミクログリアの細胞老化が中枢神経機能へ与える影響の一端を明らかにした。さらに、老年期精神神経疾患の創薬標的候補も同定した。また、ミクログリアに対して加齢の影響が観察された、より詳細な脳部位の機能に焦点を当てる準備も整えることができたため、本研究課題は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞培養系を使用し、細胞複製過多による細胞老化がミクログリア機能にもたらす影響の一端を明らかにした。次年度は、本研究課題で確立した細胞老化誘導-ミクログリア細胞を若齢マウスへ脳局所的に移植し、老齢マウスで細胞老化が確認された脳部位 (前帯状皮質、海馬、島皮質) の機能と行動表現型に、ミクログリアの細胞老化が与える影響を評価する。
また、本年度までに同定した、加齢に伴い海馬ミクログリアで発現増加するタンパク質-X (項目5 を参照) の機能制御が老齢マウスで生じる "うつ・不安様行動" に及ぼす影響を評価し、老年期精神神経疾患に対する新たな治療戦略の立案につなげたいと考える。
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