Project/Area Number |
22K07383
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
西田 和彦 関西医科大学, 医学部, 助教 (80448026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片野 泰代 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60469244)
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70276393)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 内臓痛 / 脊髄後角 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、内臓痛特有の痛みをもたらす脊髄神経回路の同定を目指して、以下の2つの研究を行う。第一に、マウス脊髄後角ニューロンの各サブタイプの内臓痛、体性痛への応答特異性を網羅的に調べる。第二に、これらのニューロンの神経機能を選択的に阻害した際の内臓痛応答を調べ、内臓痛伝達におけるそれぞれの役割を検証する。「応答特異性」の評価は内臓痛、体性痛刺激に対するニューロンの神経活動を、in vivoカルシウムイメージングを用いて検証する。「神経機能解析」はDREADD、ジフテリア毒素受容体の細胞種特異的発現系、および機械学習を用いた疼痛時の表情、行動の解析により行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
内臓痛特有の痛みに関与する脊髄後角神経回路の有無を検証するのが本研究の目的である。昨年度までの先行研究により、(1)DSS飲水投与による潰瘍性大腸炎マウスモデルを構築し、(2)このマウスの脊髄においてBrn3a陽性脊髄後角ニューロンの神経活動が強く上昇することを確かめ、(3)内臓痛の痛みのレベルを顔表情解析ソフトPainFaceにより定量解析する系を構築した。 そこで本年度はDSSモデルマウスでの内臓痛伝達におけるBrn3a陽性ニューロンの関与を、DREADD、DTAを用いた神経機能調節、およびPainFaceを用いた内臓痛行動解析系により直接検証した。まず、Brn3a-Creマウスの第6腰髄から第1仙髄の領域にCre依存的抑制性DREADD遺伝子を持つアデノ随伴ウイルスを注入し、Brn3a陽性ニューロン特異的にDREADDを発現させた。このマウスの腹腔内にDREADDリガンド(JHU37160)を投与して神経機能を阻害し、その前後におけるPainFaceスコアを調べた。しかしながら、JHU37160はコントロールマウスに対しても経時的にPainFaceスコアを変動させたことから、この解析方法が実験目的を果たす適切な方法ではない可能性が考えられた。 次に、DTA発現アデノ随伴ウイルスを上記と同様に脊髄に注入し、Brn3a陽性ニューロンの除去を試みた。ウイルス導入後にDSS飲水投与を約1週間行い、DSS投与前後のPainFaceスコアの比較、およびBrn3a陽性ニューロンを除去していないコントロールマウスとの比較を行った。しかしながら、Brn3a陽性ニューロンの除去によるPainFaceスコアの減少は認められなかった。以上の解析から、Brn3a陽性脊髄後角ニューロンは内臓痛による顔表情変化という表現型以外の何らかの過程に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アデノ随伴ウイルス発現系により、脊髄後角ニューロンの特定のサブタイプの神経機能抑制、細胞除去をする系は確立できた。この実験手法を用いて、Brn3a陽性ニューロンの神経機能抑制、細胞除去したマウスでの内臓痛行動解析を行ったが、顕著な変化は認められなかった。したがって、予定通りの解析は行うことができたものの、当初想定していた研究結果を得ることはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で着目した脊髄後角Brn3a陽性ニューロンに関して、そのアイデンティティの探索、および内臓痛以外の体性感覚への関与の解析を幅広く進めていく。 第一に、脊髄後角Brn3a陽性ニューロンに発現するマーカー分子の探索、軸索伸長パターンの解析を行う。Brn3a陽性ニューロンのうち特に後角深層に発現する集団に着目して、これらを標識すると予想される分子マーカーとの共染色、およびこれらニューロンの軸索伸長パターンの解析を逆行性軸索トレーサーによる標識を用いて行う。 第二に、Brn3a陽性ニューロンをジフテリア毒素により除去したマウスを用いて、内臓痛以外の感覚への応答性を調べる。皮膚への機械刺激、熱刺激等の急性疼痛刺激への応答に加えて、ホルマリン、CFAによる慢性疼痛刺激への応答性、さらにアロディニアとの関連についても調べる。 第三に、Brn3a陽性ニューロンの発生における転写因子Brn3aの機能を調べるために、Brn3aの下流で発現誘導される遺伝子の探索を行う。この解析により、Brn3aの下流で発現誘導される軸索ガイダンス因子、神経伝達物質に関する情報が得られれば、感覚伝達におけるこのニューロンの機能の理解が深まると共に、当初予想していた内臓痛伝達との関連の解明に道が開けると期待している。
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