Project/Area Number |
22K07486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
井平 勝 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (10290165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 哲史 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80288472)
東本 祐紀 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (20569701)
塩谷 泰子 藤田医科大学, 医療科学部, 助教 (90867590)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | miRNA / Iso-RAM / Real-time RT-PCR / miR-19b / バイオマーカ / Isothermal amplification / Biomarker / ISO-RAM / LAMP |
Outline of Research at the Start |
MiRNAは、様々の疾患のバイオマーカーや疾患の予後予測等に利用可能である。しかし、miRNAの測定は、研究室レベルでの測定にとどまり、臨床現場においてmiRNAのバイオマーカーとしての利用は進んでいない。2009年に発表されたISO-RAM法は、煩雑な検査工程と長い測定時間が問題であるが、等温増幅様式であることから我々が長年培ってきた同様の遺伝子増幅法であるLAMP法の技術を応用した改良が可能であると着想した。測定時間1時間、簡易な卓上小型機器での測定をコンセプトに臨床応用としてHSV-1脳炎予後予測、心筋梗塞診断を対象にバイオマーカーとしての利用するための簡易迅速な測定系構築をめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
等温遺伝子増幅法は、定温増幅が可能で安価な機器で実施可能な核酸増幅法である。昨年、等温増幅法を用いたmiRNA定量を行うIsothermal ramification amplification (Iso-RAM)の工程を簡略化、オリジナル法に対し測定時間を短縮する改良を行った。今年度は、選択的冠動脈形成術(PCI)や冠動脈造影(CAG)の予後予測を目的に心不全や心筋梗塞で発現上昇が報告されるmiR-19bを標的とし臨床検討を行った。 最初に心臓カテーテル検査に必須であるヘパリンの影響を検討しIso-RAMのThreshold time (Tt)は、ヘパリン濃度に比例したTt値の上昇を観察した。選択的心臓カテーテル検査(PCI 10名 CAG 22名)32名の術前、術直後、術後1日に採血し外因性コントロールcel-miR-39-3pをスパイク後にRNAを抽出、改良Iso-RAM、real-time RT-PCRによるmiR-19b測定を行った(術直後はヘパリンによる反応阻害を認め検討から除外)。術前・術1日後の血清中miR-19bは、改良Iso-RAM(⊿Tt)、real-time RT-PCR(⊿Ct)との間に有意な相関(r=0.722 p<0.001)を認めた。心臓カテ検査の合併症4a型心筋梗塞の診断は、術後トロポニン値が正常上限の5倍以上上昇し、かつ新たな血管像消失の両者を満たす必要がある。32名中8名(25%)が施術後にトロポニン値の基準をこえた上昇が確認された。この8名の術前のmiR-19b⊿Ttは基準を満たさない群と比較して有意に低いことが確認されreal-time RT-PCRでも同様の結果を得た。ROC解析は、4a型心筋梗塞基準のトロポニン上昇をmiR-19bカットオフ11.8とした時、感度69.6%、特異度77.8% AUC0.727であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心臓カテーテルで利用されるヘパリン(3000-5000単位)を加えた血清に人工合成したcel-miR-39-3pをスパイク後、抽出したRNAからはいずれのヘパリン濃度からもreal-time RT-PCRで未検出であった。改良IsoRAMは、測定可能であったが濃度に比例してTt値は上昇した。臨床検体による検討でも改良IsoRAM によるcel-miR-39-3p Tt値は術前と術後において有意差を認めないが術直後のTt値は、術前、術1日後の両方に対し有意に大きかった。したがって改良Iso-RAMによる測定でも術直後検体の測定にはヘパリンを分解したのち測定する(ヘパリナーゼ処理)ことが必要になる。臨床検討では、改良Iso-RAMとreal-time RT-PCRの間に良好な相関を認め改良Iso-RAMでも測定は可能であることが示された。さらに術前のmiR-19bにより術後に大幅なトロポニンが上昇する患者を事前に予測可能であるデータを得た。近年、トロポニン上昇を認めるものの明らかな冠動脈狭窄が観察されない患者(INOCA)が指摘されておりこのうちの一部に冠動脈の微小循環障害がトロポニン上昇と関与していると報告されている。miR-19bは、アテローム性動脈硬化症以外にも血管平滑筋細胞の増殖、冠動脈内皮の血管新生など、血管内皮機能に影響を与えるいくつかの病態生理学的プロセスを調節していると報告されている。術前からmiR-19b発現の強い患者は、心臓カテーテルによるプラークやデブリにより冠微小循環が閉塞または循環に影響が出た結果トロポニンの上昇をみたと考えられた。今後、冠微小循環を示すバイオマーカとしてmiR-19bが利用できないか検討する必要があると考察した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では改良Iso-RAMによって工程の簡略化、測定時間の短縮が可能となり測定結果はReal-time RT-PCRと良好な相関をもっていることが確認できた。問題点の一つは、オリジナルのIso-RAMに比して、改良miR-19bは、102倍ほど感度が低い点である。この原因は、オリジナル法では行われているIso-RAN増幅起点構造形成において障害となるmiRNAの分解工程であるリボヌクレアーゼ処理を行っていないことが可能性の一つとしてあげられる。改良法は、cDNA動的平衡状態によるIso-RAN増幅起点構造形成であるがこれが感度に影響している可能性がある。逆転写にRase H活性をもつ酵素をもちいcDNAを作る過程で不要となったmiRNAが分解できればリボヌクレアーゼ処理を不要とできる可能性がある。今年度は逆転写酵素を変更して感度実験を行う。 今後、さらに簡便な検査法としての利用を目指すにあたり試薬の乾燥化による工程の簡略化が必要と考える。最初にIso-RAM工程について必要となる試薬であるprimer、Bst polymerase、d-NTPsの乾燥化を行い、逆転写サンプルを希釈液にまぜて反応がスタートできることを目的とする。乾燥試薬を用いても液状試薬と同様の感度や安定した再現性が得られるかを確認する。
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